日本政府のデジタルノマド政策は実はイケてるのかも:今日のアウトテイク#203(2024-06-08)
<アウトテイク>
・SNSに投稿する前の推敲(もしくは配慮)なしのメモ、殴り書き
・ブログ記事として仕上げる前の思索の断片、または下書き
・一部、筆が乗ってきて文字数多いのもあり〼
・たまに過去に書いたネタを展開する場合も
・コワーキング関連のネタが多め
・要するに「伊藤の現在地点」
※風邪もだいぶ良くなりました。皆さん、お気遣いいただき有難うございます。
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(ウィリアム・シェイクスピア)
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#日本政府のデジタルノマド政策は実はイケてるのかも
ポルトガルがデジタルノマド政策で後退した。予想されてはいたけれど。
ポルトガルは割と早いうちから、世界中からデジタルノマドを誘致する政策を推し進めてきている。ことにリスボンやポルトのような町にノマドが殺到し、その結果、地元に物価高騰の悪影響をもたらしている。
今回、ポルトガル政府は、これまでEU加盟国以外の国民が雇用契約なしでポルトガルに移住することを認めていた「manifestation of interest」条項を撤廃する 。
この条項により、非EU市民は雇用契約を結ばずにポルトガルに入国し、1年間の社会保障費を支払った後に居住権を申請できるようになっていた。デジタルノマドにとっては理想的な居住ルートであり、ポルトガルの遠隔地で仕事をしながら社会保障費を支払うことになる。
また、入国前に仕事を確保するのに苦労していたような、低賃金で不安定な分野の労働者にも人気のある選択肢だったと、ロイターは報じている。
その結果、
確かに美味しい政策だったろうけれども、その代償として自国民に不利益を押し付けては政権も危うい。それで、「manifestation of interest」条項の撤廃と相成った模様。
実は同国は、外国人が不動産を購入すればポルトガルに居住することを認めていた「ゴールデン・ビザ・プログラム」も、昨年、一部閉鎖している。この税制は、外国人が一律の所得税を支払いながら最長10年間ポルトガルに居住することを認めていた 。
あげくに、より快適な生活を求めてポルトガルを完全に離れたりするケースが増えていて、実際、この1月、ポルトガルの移民観測所によると、ポルトガルの15歳から39歳の30%が国外に出たと報じられている。30%!まったく、本末転倒とはこのことだ。
このへんのことは、以前に書いた。
それとこれ。
そんな中、見落とせない情報として、ポルトガル政府はビザに新たな抜け穴を設け、ポルトガル語圏出身者、学生、高技能労働者など特定の個人を優先的に受け入れる、としている。
そうした場合、ポルトガルのPublico によると、インド、ネパール、バングラデシュといった国々からの移民が、この変更によって最も影響を受ける可能性が高いらしい。
ポルトガルのルイス・モンテネグロ首相によると、現在40万件の正規化手続きが保留されており、政府はスタッフを増員し、特別タスクフォースを設置することで対応する見込みであるとのこと。
つまり、約40万人の求職者が 自分の在留資格について不明なままになっている。これは不安だろうなぁ。
で、今、日本でも日々、デジタルノマドの話題を目にするが、これ、対岸の火事ではないかもしれない。
とにかく、日本に誘致して何某かの売上を狙ってる、その気持は判るが、こういう危険性も孕んでいることは、特に行政、というか、国は承知しておく必要がある。
と、書いてきて、「いや、待てよ」と思い出した。以前、日本のデジタルノマドビザの発給内容があんまりイケてないと不平を鳴らしたが、
それとこれ。
デジタルノマドにとってのメリットが、例えば台湾なんかに比べて見劣りしてたのだが、これ、もしかしたら、野放図にデジタルノマドを受け入れて、ポルトガルのような非常事態を招くことへの予防線だったのかもしれない。そうだとしたら、日本政府、やるやん。ゴメンね、ブーブー言って。
してみるに、デジタルノマドなら誰でもいい、というフェーズはそろそろ終わって、「来てほしい人」にフォーカスする段階に来ているのだろう。前にも書いたが、ヴェネツィアやバリでは、明らかに「高い技術を持った人々」と自国の人々が交差することにより「知の再結合」が起こることを企図している。
その「高い技術を持った人々」とは、ミレニアル世代のSTEAM(*)分野に能力の高いデジタルノマドのことを指す。
(*)STEAM=Science(科学)、Technology(テクノロジー)、Engineering(エンジニアリング)、Art(芸術)、Mathematics(数学)
もちろん、IT分野に限らない。もしかしたら、農業かも、医療かも、教育かも、育児かも、健康かも、あらゆる分野のうち、来てほしい人は誰かを特定する。はっきり言って、誰でもいいのではない、この層の人に来てもらいたい、という意思表示だ。こういう毅然とした態度が肝要。
でこれをコワーキングに置き換えて、「うちのコワーキングに来てほしい人は誰か」を考えるのも有益。そのコワーキングの持つカルチャーを理解し、共感し、仲間としてコワーキングを利用するコワーカー、とはどんな人か。
というとき、これがまた役に立つ。
昨日もプロファイリングのことを書いたが、ときどき、これを考えることで、そのコワーキングが向かおうとしているベクトルを再認識することは必要だと思う。
ということで、今日はこのへんで。
(カバー画像:Nick Karvounis)
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