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海外IT系企業の嗜好から見る2024年のコワーキングスペース動向:今日のアウトテイク#303(2024-09-16)

<アウトテイク>
・SNSに投稿するのではなく、これを自分SNSとした投稿
・記事として仕上げる前の思索の断片、または下書き
・一部、筆が乗ってきて文字数多いのもあり〼
・たまに過去に書いたネタを展開する場合も
・コワーキング関連のネタが多め
・要するに「伊藤の現在地点」
・いずれKindle本にまとめる予定


#今日のBGM

#今日のコトバ

"「事業を始めたいが、何をすればいいのかわからない」とよくアドバイスを求められる。
僕が知っているおすすめの方法は、たったひとつしかない。
「自分が持っているものをシェアすることから始めよう」だ。"
(デレク・シヴァーズ)

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#海外IT系企業の嗜好から見る2024年のコワーキングスペース動向

TechBehemothsが、2024年7月29日から8月7日にかけて、52カ国から1,064社のIT系企業を対象に、コワーキングスペースの利用状況、嗜好、トレンドに関する調査を実施した。その結果が公開されたので共有しておく。

回答者の業種は、ウェブ・ソフトウェア開発が57.4%、広告が19.2%、ビジネスサービスが10.2%、デザインが7.9%、サイバーセキュリティ、ブロックチェーン開発、広報などのその他の分野が5.3%となっている。

(出典:TechBehemoths)

コワーキングスペース利用者のほぼ半数(46.1%)は、チームメンバーが2~9人だけの小規模企業だった。企業規模によって利用席数を増減できる柔軟性と安価な利用料が、中小企業やスタートアップに最適だということが判る。

(出典:TechBehemoths)

コワーキングというと、IT系企業の巣窟のようなイメージを持つ人もいるが、現実はそうではない。この調査では「まったく利用していない」という回答が37.5%で最も多かった。ただし、「時々利用する」が30.9%、「定期的に利用する」が13.8%、そして「コワーキングスペースを本社として利用している」が17.8%だった。IT系企業にはコワーキングの利用はほぼ当たり前になっていると言えるが、頻度はさまざまだ。

(出典:TechBehemoths)

それでは、コワーキングを利用する理由はなんだろう。まず数字を見ておこう。

柔軟性がトップで27.60%。 次にリモートワークの選択肢(職場)が続き26.7%。 コスト効率が23.1%で、コラボレーションの機会が22.60%だった。

(出典:TechBehemoths)

AminSofttech社はこうコメントしている。

コワーキングスペースを利用する第一の理由は柔軟性です。コワーキングスペースは企業や個人に、従来のオフィスリースに代わる柔軟で費用対効果の高い選択肢を提供します。
コラボレーション環境、ネットワーキングの機会、生産性や創造性を高めるアメニティやサービスへのアクセスを提供します。
さらに、コワーキングスペースはスタートアップ企業やフリーランサー、リモートワーカーにとって理想的であり、長期的なコミットメントや個人オフィスの所有や賃貸に伴う諸経費なしにプロフェッショナルなワークスペースを利用することができます。

(出典:TechBehemoths)

ただし、44.7%の企業がプライベートスペースを好んでいる。オープンスペースが28.9%で、専用デスクが22.3%。

まあ、企業となればそうでしょうね。いや、個人事業者でもそうか。でも、意外と気にしていない人は多い(と思う)。

が、今後、ハイブリッドワークが常態化すると、つまり、企業のコワーキングの利用頻度が高まると、多様な仕事環境の中のプライベートスペースが占める割合は大きくなる可能性は十分ある。

(出典:TechBehemoths)

で、次に非常に興味深い調査結果がある。

コワーキングスペースの理想的なサイズに対する企業の好みについては、実に50.6%が中規模スペースを好むと答えた。続いて39.5%が小規模スペースで、大規模スペースを選んでいるのは9.9%だけだった。

(出典:TechBehemoths)

この小規模、中規模、大規模が、それぞれ、何席なのかこの記事では判らないが、ざっと10〜50、51〜100、101以上、ぐらいではなかろうか。

利用する企業の規模にもよるだろうけれども、使うのは生身の人間。そこでモノを言うのがコミュニケーションする距離感だ。他のワーカーと接する距離感として、小規模、中規模ぐらいが心理的にストレスないと考えるがどうだろうか。

あんまり広すぎて話しかけるのに「おーい」と大声上げたり、何メートルも歩いていかなくてはならない距離感はいただけない。もちろん、費用対効果もあるから、広いフロアでただポツンとひとりになれるシチュエーションを期待する人にも向かないと思う。

要するにスペースの面積の大小は関係ない、ということだ。時々、日本最大級などと謳うコワーキングの広告を見るが、それになんの意味もないことは推して知るべし。ただ、だだっ広いフロアが長い間空いていただけの話。

さて、もうひとつ興味深いデータがあった。好みのコワーキングプロバイダー(コワーキング運営社・事業者)はあるか、という問い。

(出典:TechBehemoths)

なんと82.3%が好みの特定のコワーキングプロバイダーはいないと回答している。これは調査対象が企業であったことが一つの要因かと思う。

企業が選定したコワーキングを指定して従業員に使わせている場合、この質問自体、意味がない。一方、個人事業者の場合、このへんは結構好みが反映されると思う。とりわけ、「頼りになるコワーキングマネージャー」がいるコワーキングを贔屓にするようになる。ま、当然といえば当然。

というか、自らそのコワーキングに関わろうとするコワーカーもたくさん存在する、それがインディー・コワーキングだが、企業の場合、それは考えにくい。だからこういう結果になるのだろう。

なお、好みを表明した中で一番多かったのはWeWorkで8.4%だったそうだが、何度も言ってるがWeWorkはコワーキングではない。シェアオフィスだ。(シェアオフィスという意味ではグレードの高いサービスを提供しているようには思う)

その他では、プロフェッショナルな環境で知られるリージャスや、刺激的なオフィスデザインで知られるSoacesなどが挙げられる。さらに、Factory Berlin、Impact Hub、Workstation 、Daftarkhawan でのポジティブな経験も指摘されたとのこと。

きりがないのでこれで終わるが、コワーキングは今後も増加傾向にあると考えられており、65.1%が今後2年間でさらに人気が高まると予想している。19.1%は状況は変わらない、15.8%はコワーキングスペースの魅力がなくなると考えている。この15.8%の回答のその理由が知りたいが、ここにない。

(出典:TechBehemoths)

他にもグラフが公開されているので、興味ある方は元記事をあたられたし。

蛇足だが、海外では持続可能性も注目されており、環境に配慮した取り組みをしているコワーキングが注目されている。

この調査でも、回答者の15%がより環境に配慮した取り組みに注目している。エネルギー効率に優れたデザインであれ、リサイクルプログラムであれ、コワーキングスペースはよりグリーンになっていくのは明らか。

グリーンエネルギーとコワーキングについては以前にも書いてる。

繰り返すが、これはIT系企業が対象になった調査結果だ。他の業界、それこそニッチな業界や、個人事業主やフリーランサーを対象にするとまた違う傾向が見て取れると思う。にしても、参考にはしておきたい。

いずれにせよ、2024〜25年のコワーキングは、ハイブリッドワーカーの受け入れ体制、それに伴う生活圏内のコワーキングの整備がメインのテーマになると思う。

ということで、今日はこのへんで。

(カバー画像:Raj Rana


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