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ルーラルコワーキングとRES-MOVEの話があまりにも本質を突いている件:今日のアウトテイク#288(2024-09-01)
<アウトテイク>
・SNSに投稿するのではなく、これを自分SNSとした投稿
・記事として仕上げる前の思索の断片、または下書き
・一部、筆が乗ってきて文字数多いのもあり〼
・たまに過去に書いたネタを展開する場合も
・コワーキング関連のネタが多め
・要するに「伊藤の現在地点」
・いずれKindle本にまとめる予定
#今日のBGM
#今日のコトバ
"手にしたことのないものが欲しければ、やったことのないことをしなければならない。"
(ゲイリー・ヴェイナチャック)
If you want things you've never had, you gotta do things you've never done.
Posted by Gary Vaynerchuk on Sunday, September 1, 2024
#「コワーキング曼荼羅に学ぶローカルコワーキング基本のキ」受講者募集開始
9月より、「コワーキング曼荼羅に学ぶローカルコワーキング基本のキ」を開講します。
この講座は、自分たちにコワーキングが必要と考える人たち、そして、コワーキングを利用するコワーカーのカツドウを支援したいと考える人たちを対象にした講座です。
自分たちのローカルコワーキングの開設・運営をお考えの方は、ぜひ、上記のサイトをチェックください。
#ルーラルコワーキングとRES-MOVEの話があまりにも本質を突いている件
Jeannine van Der Linden氏が、ルーラル(田舎町の)コワーキングについてとても大事なことを言っている。コワーキングおよびコリビングを、こういう視点で捉えてカツドウしているのかと、目を開かされたので紹介する。
彼女は元々アメリカはジョージア州アトランタで生まれ育ち、長じてからは弁護士となり2児の母でもあったが、2004年にオランダに移住した際、いちからロースクールに通って新しい法制度を学ぶより、起業の道を選びコワーキングを始めたという異色の経歴の持ち主。
こちらが、彼女が運営するコワーキング「De Kamer」のサイト。現在、全部で9箇所のスペースがある。
![](https://assets.st-note.com/img/1725194146563-RSrQ1h7aY9.png?width=1200)
ここを拠点に「新たな資金源を生み出し、起業家に価値あるリソースを提供することを目的としている」。
各拠点で80名から100名の起業家をサポートし、信頼されるコミュニティの醸成を目指しています。ビジネス用の住所を必要とする方から、従来型の賃貸物件を必要とする方まで、さまざまな方が会員となっています。私たちの仕事は、必要なすべてのスペースとサービスを確保し、メンバーの仕事をキッチンテーブルの段階から本格的なビジネスへと導くことです。
この記事で彼女は、特にルーラル(田舎町の)コワーキングについて語っているが、その趣旨とするところは、ぼくがいつもテーマにしている「ローカルコワーキング」と合い通じるので共有しておきたい。
ちなみに、ぼくは「ローカル」という言葉を、「地方都市の」「田舎まちの」「郡部の」という意味で使っているが、「大都会の中心ではないその周辺(または周縁)部」という意味でも使っている。
以下、彼女の発言を(カットする必要がまるでないので)そのまま転記する。
サードプレイスの創出
地方のコワーキングについて興味深いのは、何をもって「地方」や「周辺」とするかという議論です。人口50,000人程度で大きな分岐点があります。この閾値はアメリカの調査によって初めて特定されたもので、コワーキングスペースの機能には歴然とした違いがあります。人口50,000人以上の地域では、コワーキングスペースの需要が高いため、ホットデスクやプライベートデスクのような従来のモデルで繁栄しています。Oosterhoutのような小さな町では、そのようなサービスを求める人が少ないため、従来のコワーキングモデルは単純に機能しません。そのため、こうした地域でのコワーキングには、より柔軟なアプローチが必要であり、メンバーを惹きつけ、維持するために幅広いサービスを提供する必要があります。
小さな町では、コワーキングの定義を、単なるシェアオフィスだけでなく、もっと広げなければなりません。地方のコワーキングスペースでは、パーティーや洗礼式など、あらゆる種類のコミュニティイベントを開催しており、こうしたコミュニティには、家庭や職場以外の場所で人々が集い、交流できる「第3の場所」が必要だと認識しています。伝統的にヨーロッパでは、社交の中心はスポーツクラブや教会、あるいは近所のパブでしたが、現代のコミュニティは新しい中心的な場所に落ち着いていません。私がルーラル・コワーキングで目指しているのは、この第3のスペースの開発を促進し、コミュニティ意識をサポートし、人々がつながり、協力し、祝うことができる多目的な環境を提供することです。 そうすることで、私たちはギャップを埋め、これらの小さな町の社会的交流の中心になることを目指しています。
コワーキングは、ずばり、「社会的交流の中心」という言葉に見事に集約できる。単なる「作業場」ではなく、人と人が交流、交差するところ、そしてコトが勃発するところだ。
だから、ルーラルコワーキングはメンバーを惹きつけ、維持するために幅広いサービス(テーマ)を提供する必要があるというのは同意。ぼくはそれを「コワーキング曼荼羅」で表した。
![](https://assets.st-note.com/img/1725195143743-aatC3QBGNa.jpg?width=1200)
もちろん都会にあるコワーキングもその例外ではない。が、慌ただしい毎日を過ごすワーカーが多く、勢い、仕事をするだけの「作業場」になる傾向にあるのは否定できないし、それはそれで仕方ないと思う。
ただ、日本の、地方でコワーキングを開業、運営しようとする場合、案外その大都市圏のコワーキングのイメージに囚われているケースが多い。ぼくはそこに、前提条件が違うのだから真似する必要はないと警告を発している。
都市圏はそもそも人が多い。当然、ワークスペースのニーズも高い。一方、ローカルではその母数が小さい。だから、ただ作業をするだけの刹那的な利用で終止し、その利用料金の売上だけで維持しようと思っても、ローカルではきっとうまくいかない。
そうではなくて、利用者で構成するコミュニティを作り、それをベースにチームで仕事案件を受託する、自ら稼ぐコワーキングになることが望ましい。
なお、このことは今度の講座でも講義します。
それに、ルーラル、ローカルでは、ありとあらゆる相談事が持ち込まれる、いわゆるワンストップのコワーキングが重宝される。これにも、チームでなら対応できる。
彼女の言うように、「コミュニティ意識をサポートし、人々がつながり、協力し、祝うことができる多目的な環境を提供すること」、これに尽きる。
で、ハッとしたのはここ。
コリビングとコワーキング
コリビングとコワーキングの関係は、特にヨーロッパにおける深刻な住宅危機を考えると、地方では特に有益です。コリビング(Coliving)はこの危機に対する解決策として登場し、手頃な価格でコミュニティに焦点を当てた居住空間を提供しています。多くの地方では、若者がより良い機会を求めて他所へ移ってしまうという大きな問題があります。コワーキングスペースとコリビングスペースを融合させることで、彼らが滞在する魅力的な理由を作り出し、新たな住民を呼び込むこともできます。この組み合わせは、住む場所だけでなく、活気あるコミュニティやプロフェッショナルなネットワークを提供し、帰属意識や安定感を生み出します。コワーキングスペースはダイナミックな仕事環境を提供し、コリビングスペースは支え合う生活コミュニティを提供することで、地方を活性化させ、相互に結びついた活気あるコミュニティを築くことができるのです。
「多くの地方では、若者がより良い機会を求めて他所へ移ってしまうという大きな問題がある」というのは、日本でも同じだ。それはまた別稿で書こうと思うが、住宅危機が原因ではないはず。
彼女はそれを「コワーキングスペースとコリビングスペースを融合」で解決し、かつ、「新たな住民を呼び込むこと」を考えている。←ここ注意。旅人ではない、住民。ほー、と思った。
コリビングについては過去にも何度か書いている。これは、5年前(つまり、パンデミック以前)に書いたものだが、内容は古びていない。
コリビングは共同生活のいち形態だが、「ただ家賃を按分して安く住まうという目的だけではなくて、逆にメンバーのさまざまな目的(ビジネスとは限らない)の達成のためのひとつの装置としてコリビングがある」。
同居するメンバーとのあいだでコミュニケーションするうちに互いにヒントやアイデアが交換され、プロダクティビティやクリエイティビティが増幅され、場合によってはチームを組んでビジネスが起ち上がる。
(略)
「コワーキング+コリビング」は、特定のオフィスで仕事をしなくなったリモートワーカーにとって、新しい出会いを生み、互いの創造力を拡張し、より深いレベルで他のプロフェッショナルとつながるインフラとして機能している。
コリビングは手段であって目的ではない。この点は、コワーキングスペースと同じ。あくまで方法論だ。
ついでに、その5年後はこういうことも起こっている。
ここでも重要なのは交流だ。
その目的は、リモートワーカーやデジタルノマドが地元のリモートワーカーや起業家と交流できる新たな目的地を作るということ。
彼女が言うように「地方を活性化させ、相互に結びついた活気あるコミュニティを築くことができる」。こういう発想が日本にも、とりわけ日本の地方にもほしい。ただ、人を土地に縛り付けるのではなく、彼らのカツドウを支援し、生きがいのある人生を実現することを目的とする。それがないから出ていって帰ってこないのではないか。
で、最後のこの部分でまた唸ってしまった。コワーキングが難民問題を解決しつつ、同時に地方の活性化にも効果を上げる、というアイデア。
RES-MOVEとコワーキング
RES-MOVEは、亡命・移民・統合基金(AMIF)が資金提供するEUプロジェクトで、難民の統合ハブとして機能するコワーキングスペースのネットワークをヨーロッパ全土に構築するという先見的な目標を掲げています。このプロジェクトは地方に焦点を当て、大都市以外の難民の統合を支援するためのベストプラクティスを開発することを目的としています。現在、難民は、公共交通機関やその他のサービスのような必要不可欠な施設が利用できることから、大都市に集中しています。しかしヨーロッパでは、難民をより均等に分散させ、新しい社会への統合を促進しようという動きが高まっています。
重要な課題のひとつは、農村部には都市部に見られるようなインフラや接続性がないことが多いことです。このような課題にもかかわらず、私たちはコワーキングスペースが、単に働く場所を提供するだけでなく、難民がつながり、学び、より効果的に統合できる支援的なコミュニティを提供することで、このイニシアティブにおいて重要な役割を果たすことができると信じています。コワーキングスペースは難民が新しい環境に適応するためのリソース、メンターシップ、ソーシャルネットワークを提供することができます。 都市部にありがちな集積を避けることで、より有意義な統合を促進し、地方に多様で活気あるコミュニティを作ることができます。統合が成功し、難民と地域社会にとって有益なものとなるよう、慎重かつ思慮深くアプローチすることが重要です。
「コワーキングスペースは難民が新しい環境に適応するためのリソース、メンターシップ、ソーシャルネットワークを提供する」。これは事情の違う日本ではなかなか思いつかない。その結果、「地方に多様で活気あるコミュニティを作ることができる」。ここらへんは、国境があるようでないEUならではの感覚だろうか。
つまるところ、誰がコワーカーであってもいいのだとぼくは思っている。IT関係のフリーランサーであろうが、子育て中のママさん、パパさんであろうが、芸術活動に勤しむアーティストであろうが、旅の途中のデジタルノマドであろうが、無農薬農家であろうが、釣り船の船長であろうが、そのまちでカツドウして、そのまちで暮らす人たちがつながることで、また新しい価値がそのまちに生み出される、そのためにコワーキングがある。あえて言えば、それはルーラルでも大都会でも同じことだ。
ちなみに、AMIFとは
欧州委員会の亡命、移民および統合基金は、移民および内務総局が管理する資金提供プログラムであり、移民の流れの効率的な管理と、欧州における亡命および移民への共通のアプローチの実施、強化、および開発を促進します。連合。デンマークを除くすべてのEU加盟国は、この基金の実施に参加しています。
で、RES-MOVEとは、移民の包括的統合のための共同スペースを活用するための新しいEUプロジェクトのこと。
これがまたスゴイ。
RES-MOVEは、亡命・移民・統合基金(AMIF)が資金提供するEUプロジェクトであり、移民が機会、ネットワーク、リソースとつながることができるコワーキングスペースへのアクセスを促進することによって、これらの課題に取り組み、それによって彼らの雇用可能性と社会的貢献を高めている。
RESMOVEは、コラボレーションスペースのユニークな可能性を活用し、移民を包括的に統合するハブに変えることを目指している。 多様性、革新性、社会的結束を促進することで、EU全体でよりダイナミックで包括的な労働市場を創造することを目的としている。
いや、ルーラルコワーキングといえば、小さな町にあるこじんまりしたコワーキングスペースを想像するが(実際、そうなのだが)、しかし、そこが担う役割には、実は地球規模で貢献することがあるということ、そのことにしばし言葉を失った。
RES-MOVEの「目的と目標」にこうある。
RES-MOVEは、コワーキングスペースの変革に取り組んでいます。
包括的な職場環境の創造
移民労働者特有のニーズをサポートするためにコワーキングスペースを再設計する。
雇用経路を構築する
移民、特に女性に雇用への直接的な道を提供するプログラムを開発する。
教育を通じて力を与える
新しい市場で必要とされるスキルを移民に身につけさせるための研修やワークショップを提供する。
地域社会のつながりを育む
移民と地元の専門家の協力とネットワーキングを奨励する。
スバラシイ。
対象となるのは、フリーランサー、熟練技能移住者、知識労働者、スタートアップ起業家。これらのワーカーが存分にカツドウすることで、そのまちもまた活性度を上げ継続性が増す。
もちろん、地元と移民にまつわる課題はどこでも山積しているけれども、コワーキングというプラットフォーム、ベースキャンプ、を作って共用することで、その距離を縮め、相互に持てるものを提供し合うことで解決の道も開けるのではないだろうか。
そう考えると、コワーキングってホントすごいな。
そうそう、そもそもコワーキングとは、ヒトとヒトをつなげる仕組みだから。
ということで、今日はこのへんで。
(カバー画像:European Coworking Assembly)
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