今日のアウトテイク#77(土曜無料版)「2024年のコワーキング経営の7つのヒントに物申す ほか」【メンバーシップ特典】(2024-02-03)
<アウトテイク>
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・投稿せずに、いや、やっぱりやめておこう、と思った殴り書き
・ブログ記事として仕上げる前の思索の断片、または下書き
・一部、筆が乗ってきて文字数多いのもあり〼
・たまに過去に書いたネタを展開する場合も
・要するに「伊藤の現在地点」
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#2024年のコワーキング経営の7つのヒントに物申す
2日前に、オフィスの予約、スペースの割り当て、会員管理、料金設定、請求書作成、レポート生成などの機能を持つコワーキングスペースの管理ソフトウェアのことを書いたが、その開発会社のひとつにOfficeRnD社がある。
同社は、アメリカの他、イギリス、オーストラリア、ブルガリアにオフィスを持ち、一説によると世界各地に300件を超えるクライアント(=コワーキングスペース&フレキシブルスペース)を持つという、この業界では名の通った企業だ。
そのOfficeRnDが、「2024年のコワーキング経営の7つのヒント」と題する記事を公開していたので共有する。
結論から言うと、ごく当たり前のことしか言っていないが、思うところもあったので、一応、羅列しておいて、少しコメントしておきたい。
#1 理想の顧客像(ICP)を明確にする
フリーランサーから多国籍企業まで、誰もが顧客になりうる可能性があるコワーキングにおいては、そのコワーキングにとって理想のコワーカー(ユーザー)像を持っておく必要がある。その層のコワーカーにフォーカスしたサービスの提供をすべき、という当たり前の話だが、ほぼここに収斂されると思う。
同社はコワーキングをビジネスとして捉えているので、ここでは「最も価値の高い顧客のニーズに合わせる」という言い方をしているが、コワーキングをローカルコミュニティとして機能させる意味でも言ってることは正しい。
一方、費用対効果をもって「間違った顧客に時間を浪費するのは避けたい」とも言ってるが、そのコワーキングのカルチャーが毀損される可能性を避けるためにも、これも正しい。
#2 ヒーローと呼べるプロダクトがある
成功しているコワーキングは、際立った商品(サービス)を持っている。これも言えてる。
ただ、ここでは、イベントスペースがあるとか割引クーポンがあるとか建物のデザインがいいとか、言うほど魅力的とは思えない例を上げているが、そんなことより、そこにはコワーカーが頼りにできるコワーキングマネージャーがいるということ、もうこれに尽きる。
何度も書いて恐縮だが、コワーカーをあらゆる角度からサポートできるマネージャーの存在はいくら強調してもし過ぎることはない。
ここにも書いたが、
設備がどうとか料金がどうとかというコモディティな次元はすでに過ぎた。そうではなくて、「誰がそこにいるか」でコワーキングが選ばれるフェーズに入っている。いつも言うことだが、「ハコ」ではなくて「ヒト」。
#3 地元市場で勝つ
ほとんどすべての偉大なコワーキング・ブランドは、地元市場を制覇することから始めた。拙速に逸って版図を広げる前に、小さな町や都市を抑えろ、という話。
中核となる市場に集中し勝ち取れ、と言ってるが、自前でチェーン展開するより、他社とネットワークしたほうがコワーキングの理念に適っているとぼくは思うのだが。
コワーキングは相互扶助が基本だから。
#4位 スモールタウンか郊外か
世界各地で、郊外型のコワーキングスペースが非常に好調なのは周知のところ。その主な理由を、「初期には必然的に競合が少ないこと、そして人々の生活圏に近くなること」としているが、これは賛成。
もともとパイが小さいから利用者がそう多くない、だから、競合が現れにくい。ビジネスという観点からはそうなんだが、それよりも「生活圏内にある」ということのほうに注目しておきたい。
生活圏内のコワーキングについては、例えばスーパーマーケット、
例えば、カトリック教会、
例えば、図書館、
例えば、個人経営書店、
あるいは、空き家対策を題材に、考察してきた。
生活圏内にあるコワーキングに共通しているのは、パンデミックを経て通勤をしなくてよくなったが自宅では仕事しにくい、というワーカーに支持されている、ということ。←ここが大事。
この傾向は今後数年は続くし、それが原因で「働く」という概念にものすごい変化をもたらすと思う。
働き方を変えるということは、多くの場合、生き方を変えるということに直結する。それは人生という限られた時間の使い方を再考する機会にもなるはず。とにかく「通勤」という時間がごっそりなくなるのは大きい。
つまり、これ、どこにオフィスというハコを置くかという単純な話ではなく、人の生き方に大きく変革をもたらし、そこから社会の成り立ちそのものを変えてしまう、そのプロローグでもある。
リモートワークのキモは「場所」ではなくて「時間」なのです。
#5位 ただ利益を上げる
「2024年には、ただ利益を上げなければならない」。そりゃそうだ、というか2024年でなくともそう。
「最高の業績を上げているコワーキングスペース運営会社の中には、個々の拠点ベースでEBITDAマージン20%を生み出しているところもある」として、「とても大変なことだが可能性はある」、と。あのね、何でも可能性はありますよ、そりゃ。
収益の改善の方法として、
・基本賃料の再交渉
・営業効率の改善
・営業・マーケティングにおけるAIの活用
・優れた技術への投資 など
と割と平凡な答えだが、AIはたしかに気になる。
ちなみに、優れた技術への投資というのは、どうやら同社が開発している管理ソフトを導入しろ、ということみたい。そりゃ、そう言いますよね。
#6位 家主とより良い契約を結ぶ
家賃はコワーキングスペースの最大のコストのひとつ。もうひとつは人件費。さっきも「基本賃料の再交渉」とあったが、家主との関係を見直す(これから始めるという人は、考え直す)ことは決して無駄ではない。
ここでは、「優れたブランドは、インセンティブをうまく調整し、家主を強力なパートナーに変えている」としている。これ、アリです。話が通じそうなら大いにやるべき。
だいたい、不動産物件を借りるのは「不動産賃貸借契約」が必須、と思い込んでいる人が意外に多い。それは「部屋というハコ」を借りる、という考えにこり固まっているからで、その部屋を利用するためには、双方が合意すれば別の契約方法でも構わない。
そのひとつがここに挙げられているパートナーシップ、つまり「提携」関係を結ぶということ。コラボと言ってもいい。要するに規定のルールに則って収益を家主と分け分けするということ。
実はぼくがカフーツを開いたときも、果たしてコワーキングなるものが日本で根付くのかどうかを確かめる実証実験として始めた。ビルオーナーはぼくの提案に賛同してくれて、結局、最初の1年間、家賃はなし、その代わり売上を折半することを条件に、不動産賃貸借契約ではなく共同プロジェクトとして契約した。
そのことはここに書いた。
蛇足だが、不動産賃貸借契約を結ぶ場合も、必ずしも不動産仲介業者は必要ない。当事者同士が合意する文書を交わせばOK。それで無駄な仲介料を節約できる。
カフーツのときも仲介業者は介在していない。それは、ビルオーナーが結構な資産家で不動産取引に詳しかったことと、ぼくが以前、建築・不動産業界にいたので、ふたりともそのへんの事情に詳しかったからだが、家主とのパートナーシップは一度は検討すべきだ。
#7 適切な資金を確保する
最後はやっぱり資金調達。ここでは、「VC(ベンチャーキャピタル)はコワーキングスペースにとって間違いなく最悪の資金調達」としているが、ぼくもそう思う。WeWorkを見れば判るが(たぶん判る)、「VCの支援を受けたコワーキングスペースはほとんどすべて失敗している」。
理由は簡単だ。「VCの投資先が、極めて高成長で利益率の高い、主にハイテクビジネスに限られているのに対して、不動産業や接客業ではそうなりにくいため、すぐに事業者と投資家の間に大きなズレが生じてしまう」。
まあ、コワーキングに限らず、企業価値が最高潮になったところでサッサと売り抜くことしか考えていない、心血注いで育てた事業を株券としてしか扱わない者とは、誰も仲良くししたくないと思うのだけど。
というか、コワーキングの根幹がコミュニティだとしたら、VCの介在はかえってジャマになるのは必至と思う。まあ、コワーキングを不動産業だと考えている人は、こんな理屈は知ったことではないだろうけれども。
ところで、他の資金調達の方法としてファミリーオフィスが挙げられているところに注目しておきたい。
ファミリーオフィスとは、
上記の引用先によると、ファミリーオフィスには、
という側面がある。これを読む限り、個人の資産管理にとどまらず、資産運用の先に社会貢献的要素も絡んでいるように思える。
もしそうだとしたら、ローカルコワーキングのパートナーとしては理想的かもしれない。まだ日本ではそういう例は寡聞にして知らないが、意識しておくべきかと思う。
…とかなんとか書いてたら、また4400字を超えてしまった。土曜版は軽くいくつもりだったのに。
ということで、今日はこのへんで。
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