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【予告】「全国のコワーキングをネットワーク化しイベント情報の共有と収益の分配を可能にするスマホアプリ」開発費のクラファンをはじめます(ぜひご協力ください!)
今回、コワーキング協同組合で、「全国のコワーキングスペースをネットワーク化し、イベント情報の共有と、その売上・収益を分配するスマホアプリ」の開発をすることになり、その開発資金調達のためにクラウドファンディングをすることになりました。そのプロジェクトの内容についてお知らせしておきます。
アプリの概要
このアプリでは、以下のことができます。
1)コワーキングで開催されるイベント(オンライン、オフラインとも)の情報をそのコワーキングが登録・公開し、このアプリを使用するすべてのコワーキングスペース間で共有する
2)各コワーキングが発行する無料アカウントを有するコワーカーがアプリ上でイベントに参加申し込みし、決済する
3)決済が完了するとそのコワーカーにアカウントを発行したコワーキングに紹介手数料を受け取る権利が付与される
4)併せて、このアプリによって組合がプールする積立金の中から、起業・創業などコトを起こすコワーカーに資金提供する
※コワーキング=コワーキングスペースのこと
※コワーカー=コワーキング利用者のこと
※イベント=セミナーやワークショップ、トークセッション、カンファレンス、アンカンファレンス、交流会、パーティ等々、コワーカーを募って開催されるもの
※コト=ビジネスに限らず社会課題の解決なども含めたコワーカーの活動のこと
まとめますと、
全国のコワーキングをひとつの共同体として連携し、その共同体の一員であるコワーカーの小さな行動のひとつひとつが、コワーキングならびにコワーカーの相互扶助を促進する、そういう善循環のエコシステムを実現する
ということです。
発端:コロナ禍におけるコワーキングスペース維持のご相談がコトの始まり
今回の新型コロナウィルスの流行に際して、一昨年から昨年にかけて多くのコワーキングスペースが自主的に休業を余儀なくされ、結果、家賃や人件費も賄えない状態が続き、中には廃業するスペースもありました。
この間、大幅な席数減や営業時間短縮に取り組みながらなんとか収益を得ようとする中、当方にも「どうすれば営業を続けられるか」というご相談が相次ぎました。
コワーカーがコワーキングスペースをリアルに利用するという物理的な行動が制限される中で、いくばくかの支援金はあったにせよ、それは一時的なものであり、何か他の継続的な収益モデルを考える必要がありました。
解決策:オンラインイベントの開催を提案
そこで、これまでオフライン(リアル)で開催していたセミナーやワークショップなどのイベントを、オンラインに置き換えて開催することで売上をあげることを提案していました。
これは、コロナ終息後も、もはやオンラインとオフラインの融合型(ハイブリッド)のコワーキング運営は必至であると考えていたことも理由の一つです。
オンラインイベントには、コロナ禍の感染予防以外にも、コワーキングにとってオフライン(リアル)にはないメリットがあります。
まず、会場であるコワーキングに物理的に移動してこなくてもいいので、逆に日本全国はおろか世界中から参加者を募ることが可能です。一方、参加者も実際に移動する手間がなくなり、どこからでも参加できます。つまり、距離の問題がなくなります。
これは実は、セミナー講師やプレゼンター、パネラーなど、イベントのプログラムを進行する側の人にも言えます。講師は会場であるコワーキングに行かなくとも、自宅や出かけ先からでもオンラインイベントにログインして講義することができます。
また、会場の席数に関係なく、進行に支障のない限りより多くの参加者を集めることが可能です。面積の問題がなくなるということです。例えば、うち(カフーツ)なんか12席しかありませんが、ことと次第によっては120人集めることも可能なわけです。
さらに、会場設営が必要ないぶん、同じ日に複数のイベントを開催することも容易です。仮に時間帯がかぶっていても、進行管理をうまくやれば理論上は可能です。
これらは必然的に、オンラインイベントによってコワーキングの収益性が高まるということを意味します。
また、コワーカーがコワーキングに期待していることの一つに、「仲間を得る機会創出」があります。今ではフリーランサーに限らず、企業に勤めるワーカーも、会社の内外により多くの人的リソースを持つことがこれからの社会で生きていく上で不可欠であると考えています。
オンラインイベントなら、距離の問題でこれまでつながる可能性がなかった多くのコワーカーや講師、プレゼンターとの接触機会を持ち、以後、交友関係を結ぶきっかけにもなります。
また、そのコワーキングとの接点ができたことで、将来、実際にそのコワーキングを訪れる動機になる可能性もあります。オンラインイベントで知り合い、友達申請をし、その後リアルに会うことで更に親交を深めるというケースは多々ありますが、それと同じことがコワーキングに対しても言えます。
蛇足ですが、多くのオンラインイベントでは、録画しておいて、後日、参加者にビデオファイルを限定公開するということもよくあります。セミナーなどでもう一度確認したい場面があるときに大変便利です。
オンラインイベントはコワーキングとコワーカー双方に多くのメリットをもたらすわけです。
目的:コワーキングとコワーカーをネットワーク化し相互に助け合う仕組みを作ること
ところが、当組合が相談に対応するうちに、自らイベントを企画、開催したことのないコワーキングが多数あることが判ってきました。また、企画、開催したことのあるコワーキングでも、過去のイベント参加者を把握できておらず、集客に繋げられていないケースもあることが判りました。
オンラインイベントを企画・開催するにあたっては、そのテーマ決めから講師のアサイン、告知、参加申込みの受け付け、参加費の徴収と支払い、配信の設定と当日の進行などやるべきことは多岐に渡り、その手間を考えて開催数が抑えられる場合も考えられます。
そうした課題を解決するために、当組合のノウハウを少しでも多くのコワーキングスペースに伝え実践できるようにすることが必要だと考えました。それはコワーキングの経営環境を改善するだけでなく、引いてはコワーキングというコミュニティを必要とするコワーカーにとっても有効であり、以って、これからのハイブリッド社会においてコワーキングが役割を果たすことにもつながると考えたのです。
そこで、当組合ではコワーキングスペースの運営・経営サポートという事業分野において、新たなサービスを提供し、以下の3つのテーマを実行することとしました。
①全国のコワーキングスペースとコワーカーのネットワーク化
②コワーキングスペースとコワーカー情報のデータベース化
③オンラインイベントの情報共有と収益分配による相互扶助の仕組みづくり
①と②は③を実現するための必要条件です。
※なお、本プロジェクトが起案された当初は、まだコロナ禍真っ最中であったため、対象を「オンライン」のイベントに絞り込んで創案されていましたが、ここへ来て世界的にもやや落ち着きを見せ、人の移動も再開されてきたことから、現時点では「オフライン(リアル)」のイベントもアプリ上に登録・公開する対象としています。
スマホアプリが提供する各機能
当アプリでは、初期段階において以下の機能を提供します。
(1)コワーキングスペース基本情報(前述②コワーキングスペースとコワーカー情報のデータベース化部分)
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コワーキングスペースの基本情報、運営者プロフィール、コワーカーへのメッセージを掲載し、アプリ利用者が情報を検索参照し、自分が利用したいシーンにあったスペースを見つけることが可能になります。また、公開情報は、各スペースが随時更新できるものとします。
(2)各コワーカーのプロフィールページ(前述②コワーキングスペースとコワーカー情報のデータベース化部分)
利用するコワーカーが、プロフィールを公開できる機能。どんな職種でどのような技能・知識・経験があり、どんなカテゴリの案件に対応できるかなどを掲載することで、営業ツールとして活用することが可能です。
この情報をもとにコワーキングスペースや他のコワーカーが仕事を頼みたい人を探しているときにメッセージ等でオファーをかけることも可能になります。
また、公開範囲はコワーカーが任意に設定可能ですが、コワーキングスペース側としては自身のスペースや、過去のイベント参加者の属性を把握しマーケティングへ活用することが可能となります。
(3)メッセージ交信機能(前述①全国のコワーキングスペースとコワーカーのネットワーク化)
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日頃のコミュニケーションツールとして、コワーカー同士、コワーキングスペース運営者とコワーカー全員、そしてスペース運営者と特定のコワーカー間でメッセージを送受信することが可能です。言い換えると、コワーキングに紐付けされる人たちだけのSNSです。
従来、コワーキングの情報伝達の方法として既存のSNSを使うケースが多くありましたが、今日では多くの情報の波に飲み込まれて、コワーキングが真に伝えたいことをコワーカーにもれなく伝えることは困難になっています。また、アルゴリズムの変更に伴い、交友関係からの情報より、過去の行動履歴に基づいた広告やおすすめ投稿などが増えてきていることも災いしています。
一部、SlackやTeams、あるいはDiscordなどのウェブサービスを導入しているコワーキングもありますが、このアプリの目的は専らコワーキングで開催されるイベント情報の共有と収益の分配ですので、もっとシンプルに、あえてクローズドな環境下で交信できるツールを提供することが、プロジェクトの前提になると考えました。
この機能により、顔を合わせる機会が少なくなってもコミュニティが維持できます。
(4)イベント登録・告知・集客・決済機能(前述③オンラインイベントの情報共有化による相互扶助の仕組みを作ること)
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コワーキングスペースによるイベントの告知と集客、参加の申し込みの受け付け、さらに参加費の事前決済機能を、手の平に乗るスマホアプリひとつで提供します。これにより、今まではコワーカーにダイレクトに伝えられず機会損失となっていたことを防げると共に、ツールの一本化による手間の削減が図れます。
なお、参加費の支払いは、決済代行サービスのStripeとの連携により参加申し込みの段階で完結します。事前決済することでドタキャンのリスクも回避できます。
さて、ここまでは既存のサービスとそう変わりはありませんが、このアプリの真骨頂と言えるのが以下の機能です。
(5)コワーキングスペース連携およびイベント情報の相互提供と収益分配機能(前述②コワーキングスペースとコワーカー情報のデータベース化、③オンラインイベントの情報共有化による相互扶助の仕組みを作ること)
オンラインイベント情報を共有する機能により、ひとつのコワーキングスペース内だけではなく、アプリでつながっている他のコワーキングスペースのコワーカーにも通知でき、広い地域からより多くの参加者を募ることが可能になります。
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この時、そのコワーカーにアプリのアカウントを発行したコワーキングスペースが紹介手数料を収受できる権利を付与します。
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例えばAというコワーキングスペースが主催するオンラインのセミナーに、Bというコワーキングスペースがアカウントを発行したコワーカーCが参加した場合、コワーキングスペースBに受講費の◯%を紹介手数料として支払うという仕組みです。
これにより、主催する側のコワーキングスペースは広く参加者を募ることができ、結果的にコワーキングも講師も収益が増すと共に、アカウントを発行した(=受講者を紹介した)コワーキングにも収益が発生します。
もちろん、紹介手数料は通常の参加費(受講費)の◯%ですが、このプロジェクトに参加することで、わずかずつとはいえ、自前でイベントを企画しなくても売上が上がります。そして、アプリを利用するコワーキングとコワーカーが増えるに従って、塵が積もって山となります。
システム内では、協力するコワーキングスペース(この場合、B)がアプリ内に登録されたイベント情報の中からコワーカーに伝えたいものを選択さえすれば、コワーカーへの告知と集客、決済、手数料の分配を自動的にシステムで処理されます。またコワーカーが、アプリ内で興味のある分野からイベントを検索することも可能です。
この時、コワーカーCがどこのスペースのどんなテーマのセミナーに参加したかをデータベースに保存し、コワーキングBもその情報を、今度は自前でイベント企画する際に役立てることができます。(ただし、コワーカー情報は本人の希望により公開範囲の制限は可能とします)。
現代のネットユーザーの約85%がパソコンからではなくてスマホからアクセスしています。(以下、加筆修正→)今回、初期段階ではいわゆるウェブアプリとして開発、提供しますが、近い将来、ネイティブアプリもリリースします。その場合、スマホに本アプリをインストールして常駐させると、いつでもアラート(通知)機能が働いてコワーカーに情報を伝えられ、見逃さずに済みます。
本アプリを利用する全国各地のコワーキングスペースをネットワーク化しイベント情報を相互に提供し合う仕組みを構築することで、コワーカーは複数のコワーキングスペースのイベントが一覧でき、どこのコワーキングスペースのどのコンテンツにも参加できるようになります。
逆に、コワーキングスペースはこれまで自前のユーザーリストに限定されていたデータベースを何倍もスケールアップして活用できるようになります。
そして、もうひとつあります。
(6) 手数料収益の一部をプールし起業・創業資金を提供する機能
コワーカーがイベント参加費を決済する際に組合が収受する手数料のうち、一部を組合が積み立て(プール)しておき、年に一回、公開の審査会を経てコワーキングスペースまたはコワーカーの事業計画や起業プラン、活動計画に対して資金提供します。
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これはコワーキングという共同体の中から、起業・創業、あるいはビジネスに限らず社会的インパクトを伴うさまざまな活動のための資金を、このプロジェクトに参加する皆の総意で以って提供するものです。
ここにおいても、人と人をつなげ、コトを起こし、新しい価値を生むハブであり、インフラであるコワーキングというスキームを活かしたいと考えています。
また、これは当組合が一般の事業会社ではなく、事業協同組合という組織形態であることも大いに関係しています。事業協同組合は非営利法人ではありませんが、組合員である事業者(個人、法人問わず)の事業支援のためにある組織です。従って、プールした資金を事業者に還元するのは理に適っています。
コワーキングとコワーカーのアカウント発行について
コワーキングスペースはコワーキング協同組合の組合員になることでこのアプリを使用できます。組合の加入者は出資をして組合員となります。コワーキング協同組合の出資額は一口1,000円、3口(3,000円)以上と、世間一般の組合出資金と比べて非常に少額です。出資金は退会時に返金されます。
また、組合員には賦課金という年会費が毎年課せられます。コワーキング協同組合の年会費は6,000円(月500円)です。これも、極めて安価です。言い換えますと、月額500円でこのアプリを利用できます。
コワーカーのアカウントについては、そのコワーキングスペースのメンバー(マンスリー会員等)の他、ドロップイン(一時利用)利用者であっても、そのコワーキングがそのコワーカーをこのアプリを利用するに妥当であると判断した場合、そのコワーキングによってアカウントが発行されます。コワーカーのアカウントは無料です。
このアプリが実現することの本当の意味
このアプリは、コワーキングスペースがイベント情報を提供し合い、同時にコワーカーが自由にイベント参加することで、お互いにコワーキングスペースの維持継続のために寄与貢献する相互扶助の仕組みを提供するものです。
これは、いつもお話しする以下の「コワーキングの5大価値」の概念にも合致するプロジェクトです。
・Accessibility(つながり)
・Openness (シェア)
・Collaboration (コラボ)
・Community (コミュニティ)
・Sustainability (継続性)
「コワーキングの5大価値」についてはこちらを参照ください。
また、SDGsの「9.産業と技術革新の基盤を作ろう」には、「すべての人々に安価で公平なアクセスに重点を置いた経済発展と人間の福祉を支援するために、地域・越境インフラを含む質の高い、信頼でき、持続可能かつ強靱(レジリエント)なインフラを開発する」という目標が掲げられていますが、このアプリはまさしくそのテーマに適っています。
当組合は、過去10年の間に、いわゆる「草の根」的なさまざまな活動を通じて全国各地のコワーキングスペースとのつながりを構築してきました。そのネットワークをベースに早期にこのアプリを開発、提供したいと考えています。
そして、このプロジェクトに賛同するコワーキングならびにコワーカーの参加を得ることで、昨今、世界中で生まれているプラットフォーム協同組合(https://platform.coop/ ※ワーカーが共同出資してワーカー自身が組合の所有者となり、ウェブサイトやスマホアプリを介して商品やサービスを販売するビジネスを民主的に運営する組織)としての体制が出来上がります。
プラットフォーム協同組合については、3年半前にこちらに書いています。長文ですが(いつもですが)、これからの社会には、本当の意味でのシェアリングエコノミーとしてこういう事業形態も不可欠であることをぜひ知っておいていただければと思います。
このアプリでは、プラットフォーマーによる利益の寡占ではなく、プロジェクトに参加する者がつながり合うことで、適正に利益を分け合うビジネスモデルが実現できます。プラットフォーマーが一人勝ちするのではなくて、協力する皆に分配される仕組みが理想であり、それこそがシェアリングエコノミーたるコワーキングの本質だと言えます。
蛇足ですが、コワーキング曼荼羅にも「シェアリングエコノミー」があります。
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そして、こうしたコワーキングの理念に基づいた共同体を維持継続することが、結果的にコワーカーの理想とする環境整備につながっていること、そして、そのことに自らも参画して実現に協力するコワーカーのためにもなると確信しています。
個人的に調べた限りでは、前述の積立金を事業者に資金提供する仕組みは、ニュージーランドのEnspiralが実施していますが、その他に、イベント情報の共有と収益の分配をする機能を持つコワーキングの共同体は、世界のどこにも見当たりません。(もし、ご存じの方おられましたらご教示ください)
従って本プロジェクトは、「コワーキングスペースをネットワーク化し収益をシェアする」ことでコワーキングそのものをアップデートする、世界初の画期的な取り組みです。
ぜひクラウドファンディングへのご協力をお願いします
以上が、今回のプロジェクトの概要ですが、アプリの開発資金の調達方法として、2月上旬にクラウドファンディングの実施を計画してします。
詳細なリターンについては、その公開ページにて詳しくお知らせしますが、なかなかにユニークな内容になっています。
実は上記の各機能の次のフェーズに、追加で実装したい機能もすでにアイデア出しできています。しかし、まずは第一歩を踏み出したい、そのためのクラウドファンディングです。
追ってお知らせしますので、ぜひ、クラウドファンディングへのご協力をお願いします!
それでは。
Cover画像:Tran Mau Tri Tam
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