Eコマース専用のコワーキングがさらにサービスを充実させて躍進中:今日のアウトテイク#294(2024-09-07)
<アウトテイク>
・SNSに投稿するのではなく、これを自分SNSとした投稿
・記事として仕上げる前の思索の断片、または下書き
・一部、筆が乗ってきて文字数多いのもあり〼
・たまに過去に書いたネタを展開する場合も
・コワーキング関連のネタが多め
・要するに「伊藤の現在地点」
・いずれKindle本にまとめる予定
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#Eコマース専用のコワーキングがさらにサービスを充実させて躍進中
2年前に、業種特化型として紹介した、小規模なEコマース事業者のためのコワーキング「Saltbox」が新展開を見せているようだ。
そのSaltboxの新しいウェブサイトを公開した。
発祥は2020年のアメリカ、アトランタで、先の記事を書いたときは、ダラスに2拠点目を開設したところだった。その後、シリーズAラウンドを終了して1,060万ドルを調達して、ロスアンゼルス、シアトル、と次々に拠点を開設し、現在、12箇所まで成長している。
アメリカの小売業もご他聞に漏れずコロナウイルスの大流行によってEコマースが急成長した。当時、2020年の消費者のオンライン支出は8,600億ドルを超え、前年比で44%も増加していた。
一方、当時、北米には353,000の企業がオンラインで商品を販売しており、その88%が年間売上高100万ドル未満の企業だった。こうした多くの小規模な電子商取引会社が必要とするのは、500sqf(約46㎡)から3,000sqf(約280㎡)の倉庫だが、その規模では従来の倉庫の家主が提供するのは難しいとされてきた。つまり、敬遠されていたわけだ。
そこを救ったのがSaltboxだ。ラストワンマイルと呼ばれる、顧客の玄関口に最後に配送する部分のニーズが高まっていることに目をつけた。カシコイなぁ。
パンデミックが一応の落ち着いた現在、この勢いは一向に衰えていないと見える。考えてみれば、コロナのせいでリモートワークが常態化してハイブリッドワークへと移行するように、買い物のプロセスもずいぶん変わってきている。
で、Saltboxの提供するソリューションがさらに充実している。
ちょっと列挙すると、
つまり、単独で倉庫を借りて自前で発送業務をするのではなく、同業者で共同で倉庫を借り、かつ、配送、出荷業務は専門スタッフに任せるという、実に合理的な方法を取っている。
発送業務ってモノの大小に関わらず結構手間がかかるので、これは大いに助かる。まさに同業者によるコワーキングの理想的なパターンだと思う。
さらに、ビジネスの成長、もしくは縮小に応じて利用サイズを変更できるのも、一般の不動産賃貸借にはない柔軟なソリューションだ。利用契約であるコワーキングの最大の費用対効果。
ちなみに、オフィスはこんな感じ。
この他、ラウンジもあるのでコミュニティの運営にも対応している。確か、Slackも運用していたはず。
さらに、Saltboxでは、初期段階のEコマース事業者へのメンターシップも実施している。発送業務をアウトソーシングするだけでなく、その時間を経験豊富なチームによる指導で、ビジネスについて学ぶ時間に振り替えている。
つまり、起業家育成だ。要するに、ハコだけではなくてヒトを育てている、ということですね。「Saltboxでブランドを起ち上げましょう」と言ってるが、言ってるだけではなくガチのよう。スバラシイ。
それだけではない。Saltboxでは、コミュニティ内でパートナーシップを結べる中小企業や起業家が活躍する活気あるコミュニティを創造するために、ビジネスオーナーとその地元地域を盛り上げてくれるパートナーや仲介業者を求めている。
これなんか、まさにコワーキングマネージャーがコワーカーに対して果たす役割に他ならない。
が、もっと驚いたのは、独自にロジスティクスを管理するソフトウェアを自前で開発して、ユーザーに提供していること。
「Parsel」というそのアプリには、以下の機能がある。
リアルに倉庫のあるサービスだけに、サポートがすぐそばにいるというのは心強い。オンラインでしか提供されていないアプリにはないアドバンテージだ。
で、このアプリは何百ものSaltboxメンバーが利用しているので、特別な配送料金を実現している。もちろんこれは単独の事業者では叶わないことだが、Saltboxメンバーをひとつの事業者とする、いわゆるスケールメリットが働いている。
おかげで、「効率的な梱包ワークフロー、迅速な配送時間、全国、地域、新興の輸送会社とのシームレスな統合から利益を得ること」ができる。
しかも、ParselはSaltboxのメンバーなら誰でも無料で使える。至れり尽くせりとはこのことかと。まさに「All under one roof すべてがひとつ屋根の下に。」というスローガンの通りだ。
で、また考えた。
共用ワークスペースであるコワーキングが、単なるオフィス機能から、特定の業界、業種への補助的サービスとしても有効であるとして、今後もニッチな領域に特化したコワーキングが現れてくるのは時間の問題かと思う。
バイオテクノロジーや製薬業界の研究室をコワーキングとして提供するこれなんかはそう。
業種特化型とした場合、Parselのようなそのビジネスに最適なソフトウェアも開発して提供すると、更に利用価値が上がることは十分に考えられる。
さて、日本でもそういうコワーキングが生まれてくるかどうか。
ということで、今日はこのへんで。
(カバー画像:Saltbox)
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