見出し画像

ドイツの企業の73%が週4日就労制の恒久化を希望している:今日のアウトテイク#342(2024-10-25)

<アウトテイク>
・SNSに投稿するのではなく、これを自分SNSとした投稿
・記事として仕上げる前の思索の断片、または下書き
・一部、筆が乗ってきて文字数多いのもあり〼
・たまに過去に書いたネタを展開する場合も
・コワーキング関連のネタが多め
・要するに「伊藤の現在地点」
・1ヶ月ごとにKindleでコラム集にまとめていってます


#今日のBGM

#今日のコトバ

"壊れた心と汚れた窓は人生を見えにくくする
だから昨夜も今朝もいつも同じに見える"
(ジョン・プライン)

Broken hearts and dirty windows Make life difficult to see That's why last night and this morning Always look the same to me —John Prine

Posted by Poetic Outlaws on Wednesday, October 23, 2024

#Kindleでコワーキングコラム集Vo.1、販売中!

「今日のアウトテイク」からコワーキングネタだけをピックアップして、Kindle(電子書籍)でコラム集として発行するプロジェクトの第1号、販売中です。

ぜひ、お読みになって感想などお聞かせください!

#ドイツの企業の73%が週4日就労制の恒久化を希望している

久しぶりの週4日就労制の話題がドイツから届いた。

ドイツでは45社が参加して6ヶ月にわたって実施された週4日就労制の実証実験が終わった。その結果、参加した企業の73%がこの変更を恒久的なものにするか、実験を延長する用意があると答えた。スゴイ。

このドイツでの試みは、ポルトガルをはじめ、南アフリカ、イギリスなどで試行してきたニュージーランドを拠点とする支援団体、4 Day Week Globalが行なった試行としては2番目に大規模なものだ。

週4日就労制については、以前から何度か書いている。

注目なのは、このドイツでの実験では、これまでの他の国での方法よりも更に厳密な調査をしていること。

毛髪サンプルを使って、ストレスに反応して分泌されるホルモンであるコルチゾールのレベルを測定したり、スマートウォッチを使って従業員の活動と睡眠パターンを追跡したりもしている。結果、参加者は、身体活動の増加と睡眠の質の向上を経験し、週平均38分の睡眠時間が増加した。まあ、一日5分程度だけど、一応、増えてる。

また、約70%の雇用主が、週4日就労制によって人材を集めやすくなったと報告している。これは、人口減少による熟練労働者の不足に直面しているドイツの多くの雇用主にとっては喜ばしい。

ただ、すべての参加企業がこの実験に肯定的であったわけではない。 2社が途中で脱落し、残りの企業のうち、20%が5日制に戻すことを決めた。脱落した理由は経済的困難と、なんと、従業員の支持が低いというものだった。ま、労働者の職種、立場によっては否定的になることは想像できる。

経済界や政府の著名人は、週4日制の導入に慎重な姿勢を示している。

クリスチャン・リンダー財務相は、労働時間の短縮は繁栄を脅かすと述べ、ドイツ銀行のクリスチャン・ソーイング最高経営責任者(CEO)は、国は「より多く、よりハードに働く」準備が必要だと述べた。彼は週労働時間の延長を提唱している。

あるメーカーでは、こういう事態が発生した。

週の労働時間が短縮されたことで、通常の注文と、顧客から返品された不良品の修理など予期せぬ仕事をこなすのが難しくなった。生産部門では、病欠する従業員が増え、欠勤が増えた。

なぜ病欠が増えたのだろう?記事ではその理由には触れていないが、他の企業は「健康面や精神面では改善が見られたものの、病欠登録日数には大きな変化は見られなかった」と答えている。普通、そうじゃないですかね。なんでだろう?業種によるのか?

ちなみに、連邦労働安全衛生研究所のデータによると、2022年にドイツの労働者は平均21.3日欠勤し、2,070億ユーロ(34,082,757,000,000円!)という驚異的な付加価値の損失を計上したらしいのだが、ホンマですかね、これ。

それはともかく、多くの労働者側は週に一日休日が増えたことを(当然ながら)歓迎している。あるイベント企画会社の18人の従業員は、ジムに通ったり、家族と過ごしたり、趣味に没頭できるようになった。

「週休4日制は経済的にも利益をもたらしている。 数カ月前、チーム全員とこの延長について話し合ったとき、『もちろん続ける』ということがはっきりしました」

で、こういう企業では、「不必要な会議は削減され、エクセルのリスト編集のような単純作業には人工知能が使われるようになった」。←ここが大事。そうそう、週4日就労制にはAIが威力を発揮する、というか不可欠だと書いた。

ここから、気になる数字を引用しておくと、

・米国の労働者の92%(と、多くの著名な業界リーダー)が、週4日就労制を支持している。

・イギリス、ポルトガル、アイスランドを含むいくつかの国では、週4日就労制の試験導入に成功している。 ドイツでは現在、45社で週4日就労制を試験的に導入しており、AIを活用して適応スピードを加速させている。

・コンサルティング機関であるAutonomyは、 英国の労働者の88% 、米国の従業員の71%がAIによって労働時間を少なくとも10%短縮できることを明らかにする調査を実施した。報告書は 、AIによって英国と米国では2033年までに労働者の3分の1が週4日勤務になる可能性があると結論づけている。

・「Impact of Technology on the Workplace」レポートによると、 週4日就労制を導入している企業の29%が(業務の合理化のために)AIを多用しているのに対し、週5日就労制の企業でAIを活用しているのはわずか8% だった。
また、同レポートでは、企業の93%が(AIの支援を受けて)週4日勤務への移行に前向きであることも明らかになった。

・ゴールドマン・サックスは、生成AIの使用によって生産性が年間1.5%上昇すると予測しており、アメリカの職業のおよそ3分の2がすでにAIによってある程度の自動化にさらされていると推定している。

・TechNET IT Recruitmentが実施した調査によると、AIは データ入力などのルーチンワークを自動化することで、採用コンサルタント1人あたり週平均21時間の時間短縮を可能にしている。
この調査ではさらに、AIを使用している従業員の59%が、仕事への満足度が高いと回答していることが強調されている 。
しかし、このような利点があるにもかかわらず、 AIを業務に完全に組み込んでいる企業は 25社に1社しかない。

概して、週5日就労制の企業ではAI導入に慎重なのが判る。卵が先か鶏が先か、だが、AIをうまく活用することで週4日就労制にスムーズに移行できるのは容易に想像がつく。

もちろん、どんな業種、職種にもすぐに通用するわけではないが、工夫のしようはいくらでもあると思うのだが、どうか。

というか、そこでも書いたが、日本はどうなってるのかな?政府と経済界が主導して何社かで一定期間、実験してみるという動きがあるのかないのか、なーんにも聞こえてこないが。

一部、大企業では取り組みが始まっているけれども、何事も「みんないっしょに」式の日本では、どこかで号令かけないとなかなか浸透しないと思う。少なくとも、実験ぐらいはやろう、実験ぐらいは。

デメリットもありつつ、労働者のウェルビーング、組織へのエンゲージメントなど、メリットも多いし、それとここが肝心なのだが、新たに空いた時間で複業したり、仕事以外のカツドウをしたりするようになると、コワーキングの需要が高まるはず。そこでまた、人と人がつながり新しい価値を生む。

ぜひ前向きに取り組んでいくべきだと思う。

#世界的な年次コワーキングトレンド調査が再開された

Deskmagの Carsten Foertsch 氏が、2024 年コワーキング トレンド調査を開始した。

ここは毎年、この時期に世界中のコワーキングを対象に実態調査を行い、極めて貴重なインサイトもたらすリポートを発表していて、ぼくもずっと参加している。もう15年になるらしいが、ぼくの記憶では、パンデミックのここ数年はやらなかったのではないかしらね。あった?

「今年の 10 分間の調査では、コワーキング オペレーターにとって何がうまくいっていて、何がうまくいっていないかについて、公平で現実的な結果を得ることを目指しています」。

ぜひ、あなたもこちらから参加しよう。

ということで、今日はこのへんで。

(カバー画像:Norbert Braun

ここから先は

0字

「Beyond the Coworking 〜移働の時代〜」では、これからのコワーキングとその周辺に…

BASICプラン

¥1,000 / 月
初月無料

PLUSプラン

¥2,000 / 月
初月無料

最後までお読みいただき有難うございます! この記事がお役に立ちましたらウレシイです。 いただいたサポートは今後の活動に活用させていただきます。