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パキスタンがサウジアラビアにコワーキングを開設する、そんな時代:今日のアウトテイク#290(2024-09-03)

<アウトテイク>
・SNSに投稿するのではなく、これを自分SNSとした投稿
・記事として仕上げる前の思索の断片、または下書き
・一部、筆が乗ってきて文字数多いのもあり〼
・たまに過去に書いたネタを展開する場合も
・コワーキング関連のネタが多め
・要するに「伊藤の現在地点」
・いずれKindle本にまとめる予定


#今日のBGM

#今日のコトバ

「おとぎ話って、みんな、『昔々…』ではじまるの?」
「そうじゃない。ほとんどが、『私が当選したら、こうすることを約束します』ではじまるんだよ」
(チャーリー・ブラウン)

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Posted by Best Comic on Wednesday, August 28, 2024

#「コワーキング曼荼羅に学ぶローカルコワーキング基本のキ」受講者募集開始

9月より、「コワーキング曼荼羅に学ぶローカルコワーキング基本のキ」を開講します。

この講座は、自分たちにコワーキングが必要と考える人たち、そして、コワーキングを利用するコワーカーのカツドウを支援したいと考える人たちを対象にした講座です。

自分たちのローカルコワーキングの開設・運営をお考えの方は、ぜひ、上記のサイトをチェックください。

#現代のおどろくべき「世間師」の数奇な人生

オモシロイものを読んだので共有する。今、併読しているうちの一冊が、加藤秀俊氏の『社会学 わたしと世間』だが、

最初の方に「世間師」の話が出てくる。

「世間師」については、以前、少し触れた。

世間と世間のあいだを行き来して、情報やさまざまな価値観などを交換していく人のことを「世間師」という。ぼくらのような全国のコワーキングで仕事する「移働者」(リモートワーカー)は、現代版「世間師」と言えるかもしれない。で、そういう人は、まあ、いろんな経験をしている。

で、この本の中にこんな一節がある。こりゃ、スゴイ。

現代にもおどろくべき「世間師」がいた。たとえば小沢昭一が採集した落語家二代目桂枝太郎の生涯。明治二十八(一八九五)年生まれの枝太郎は青山学院から明治薬専(現在の明治薬科大学)にはいり、工業薬品の会社を経営しようとするが、横浜のインド人の店ではたらき、人妻と駆け落ちしようとしたら電車のなかで知り合いの落語家に会って弟子入りしたものの、満足がゆかず、薬科学校の学歴を活用して、無資格で町医者の代診。そのあとこんどは東芝に経理見習いで入社。関東大震災のとき、焼け跡の会社の金庫のうえで弁当を食べていたら、その姿が社長の目にとまり、その忠誠心をみとめられて、すぐに四日市の工場長。やがて本社の経理部長にまで出世するが、また落語家に戻って浅草演芸ホールを設立した。そのかたわら航空学校の一期生として操縦を学んで航空評論をしたり、あるいは川柳協会の理事をつとめたり、人生まことにめまぐるしく、その物語を読んでいるだけで目がまわる。

いまでも「話題の豊富なひと」というのは現代版の「世間師」なのかもしれない。昼休みだの飲み会だの、おたがいいろんな世間話に興じているとき、めずらしい話題を提供してくれたり、相づちを打ったり、あらゆる話題にたのしくつきあってくれる「物知り」がいる。あんまり知ったかぶりをして、ひとりよがりのウンチクをかたむけたりすると毛嫌いされるが、おおむね好感をもって歓迎されたりタヨリにされたりする。落語でいえば横町の隠居のようなひと。それが「世間師」であり市井の「社会学者」なのだ。

(出典:加藤秀俊『社会学』)

波乱万丈というか行き当たりばったりというか、その変わりようが図抜けている。が、どこかスジが通ってるようにも見える。

きっと、枝太郎師匠は人生を楽しんでたのだろうなぁ。やりたいことをついつい優先するあまり、思わぬ道に引きずり込まれてしまう。電車で落語家に会うとか、金庫の上で弁当食ってたとか、偶然もあるけれど、意外とこういう人ほど偶然が幸いするんじゃなかろうか。つまり、行動する人だ。

最近、よくキャリアブレイクという言葉を耳にする。今の仕事を一定期間離れて、自らのキャリアを見つめ直す期間のことを言うらしい。

しかし、この言葉には、人は必ずどこかに属していなければならないというある種の固定概念が裏に潜んでいる気がする。少なくとも日本では、「無職」であることを否定的に捉えているように思われるがどうだろうか。

でも、卑下する必要は全然ない。ポッカリ空いてしまっても、文字通り、生き方を考え直す機会として堂々とその時間を使えばいいと思う。

ただし、籠もってしまってはいけない。考えながら体を動かす。動かせばアタマも働く。誰かに会う。会って話をすれば、アイデアも浮かぶ。仲間もできる。次の道も拓けてくる。だから、そういうときにこそ、コワーキングを使うのだ。

師匠を見ろ。コワーキングは使わなかったと思うが、元の落語家に戻って浅草演芸ホールまで作ってしまった。それは、しかし、ずっと落語家で過ごしてきたらできていなかったかもしれない。いろんな寄り道をしていろんな経験を積んだから、そしていろんな人間関係を結んできたからできたんだと思う。

この本のサブタイトルは「わたしと世間」だ。そうそう、世間と関わって生きていこう。

#パキスタンがサウジアラビアにコワーキングを開設する、そんな時代

これはちょっとオドロイタ。が、十分あり得た話。

在サウジアラビア・パキスタン大使館が、サウジアラビアの市場参入に関心のあるパキスタンのスタートアップ向けにコワーキングスペースを、大使館敷地内に設置することを決定した、と。え?と思うでしょ。

パキスタンは資金難にあえいでいて、経済多角化で急成長する湾岸市場の恩恵を狙っている。

そこで、海外市場でビジネスするための資金を調達しようとしているスタートアップ向けに、自国ではなくて、サウジアラビアにコワーキングスペースを開設するらしい。

繰り返すが、このスペースは、「サウジアラビアでビジネスを立ち上げようとしているパキスタンのスタートアップ企業、起業家、技術系企業」に提供される。

つまり、他所の国に自国のスタートアップのためのコワーキングを作る、という話。

早速、引用する。

パキスタン当局は、サウジアラビアやその他の湾岸諸国からの投資を求めており、これらの国が経済を多角化するにつれて急成長している同地域の市場から利益を得ようとしている。

ヘルスケア、金融、教育、ロジスティクスなどの分野で事業を展開するパキスタンのスタートアップの活動は活発化しており、その多くが製品開発や新市場進出のために多額の資金を獲得している。

共有オフィス環境を提供するコワーキングスペースは、諸経費を削減し、地元企業とのコラボレーションを促進することで、パキスタンのスタートアップがサウジアラビア市場を開拓するのに役立つ。

スタートアップ的には、大変、合理的かつ、実効的な発想かと思う。

大事なのは、「地元企業とのコラボで、パキスタンのスタートアップがサウジアラビア市場を開拓するのに役立つ」というところ。よく判ってると思う。

コラボといえば例の「知の再結合」だ。ただ、あれはデジタルノマドを対象にしているが、これはスタートアップを動員して起こそうとしているわけ。

しかも、受け入れ側の国ではなくて乗り込んでいく側の国が「結合」を企んでいる。あまりにストレートで笑ってしまったが、これを国策と言わずして何と言おう。

で、これが、在サウジアラビア・パキスタン大使館が投稿したX(旧Twitter)。

「在サウジアラビア・パキスタン大使館は、サウジアラビア外交区にある大使館敷地内にコワーキング・スペースを開設することをお知らせします。パキスタンのスタートアップ企業、起業家、技術系企業で、サウジアラビアでのビジネス立ち上げを検討されている方にご利用いただけます。」

パキスタンのスタートアップには、すでにドバイでの資金調達に成功してサウジアラビアで金融・物流サービスを開始した企業もあるそうで、海外での資金調達に積極的に取り組んでいる模様。そこを大使館がバックアップする。その中心にコワーキングがある。←ここ、大事。

これぐらい胆力のある発想と行動力が日本の政府にもほしいと思うのはぼくだけだろうか。コワーキングをただの作業場だと思ってる限り、そんなこと、思いもつかないかもしれないが。

スタートアップだけに限ったことではない。ただハコを創るだけではなくて、個人、法人問わず、さまざまなカツドウをサポートするコワーキングというスキームを、政策の中に盛り込むことをもうすこしマジに考えてほしい。まずは、公民館の再生からどうか。

ただ、パキスタン大使館はひとつだけ間違いを犯している。

コワーキング(Coworking)にハイフンは要らない。

ということで、今日はこのへんで。

(カバー画像:Haidan


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