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自分で書いて自分で販売する新しい出版のカタチ:今日のアウトテイク#219(2024-06-24)

<アウトテイク>
・SNSに投稿する前の推敲(もしくは配慮)なしのメモ、殴り書き
・ブログ記事として仕上げる前の思索の断片、または下書き
・一部、筆が乗ってきて文字数多いのもあり〼
・たまに過去に書いたネタを展開する場合も
・コワーキング関連のネタが多め
・要するに「伊藤の現在地点」

※コワーキング本を自分で出版しようと思ってる、という話。


#今日のBGM

#今日のコトバ

"インスピレーションを求めて、過去に自分が書いたものを読み返すようになったら、もうおしまいなんだ。"
(レイモンド・チャンドラー『ロング・グッドバイ』)

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#自分で書いて自分で販売する新しい出版のカタチ

さっきまで、このイベントにオンライン参加してた。

「軽出版」とは簡単に言うと、自分で原稿を書いて、表紙も自分でデザインし、オンライン印刷業者で製本して、ネット通販と独立系個人経営の書店、一箱本棚のようなシェア型書店、それと文学フリーマーケットのような展示即売イベントで本を販売する、という出版の仕方。

ここに、今日、講師をされた仲俣暁生さんのブログがあって、実に明快に説明されている。

引用すると、

出版界は長らく、本を大量に安く売ることをよしとしてきた。巨大な装置産業である大手印刷会社や、全国一律発売を担う大手取次会社に支えられた、雑誌や文庫や新書を中心とする大規模出版は、これらの商品が与える軽やかな印象とは裏腹に、実際は巨大な装置と資源を必要とする「重たい出版」だと言える。たくさん売らねばならないために中身も薄く浅いが、にもかかわらず、それはまさしく「重出版」なのだ。

一方、「軽出版」は、

たくさんは作らない。読者も限られていてよい。売る場所も、ネット以外は限られた書店や即売会だけでよい。少部数しかつくらないから在庫も少ないし、運よく売り切れたらその都度、また作ればいい。そのかわり中身は、好きなことをやる。重たい中身も軽出版なら、低リスクで出せる。

読んでほしい人が誰かが判っていて、どれぐらいのボリュームかも判っていて、その人に届けばいい、というシンプルさ、というか、潔さ。そうすると、誰にでも売れるような媚びは必要ないし、余計な体裁も省ける。要は中身だと。

自分で書いて出版するというと、AmazonのKindleを思い起こすが、これはあくまで紙の本の出版。だから、印刷物というブツがあるので、印刷費というコストと在庫を抱えるというリスクがあるのだが、そこをいろんなツールやサービスを使ってカシコクできるように、実はなっている。

#「軽出版」のボリューム感と収益性

「軽出版」の何がいいって、部数も定価も卸値も全部自分で決められること。当然、利益も自分で計算できる。これは大きい。

従来、大手出版社は大量生産、大量消費、大量返品を前提にぐるぐる回してきたが、それもすでに制度疲労を起こしていて、出版社も書店も非常にマズイ状況に追い込まれている。

そのへんのことは、ここにも書いた。

もう少し少部数で勝負する中小版元やひとり出版社は1,000〜10,000部。ここは、書店との直取引や取次代行を使ってビジネスをしており、また、100部未満となると例のZine(ジン)がネット通販や即売会、あるいはZine文化に理解のある個人書店なんかで販売される。

で、そのあいだの100〜1,000部が「軽出版」に頃合いのボリュームになる。不特定多数のできるだけ多くの人、ではなくて、これぐらいの規模の読者に届けられればそれでいい、という考えで出版したい人に向いている。

でこれが、前述の執筆、デザイン、印刷、製本、発送も、各種サービスをうまく組み合わせることで、ほぼひとりでも可能という、有難〜い時代になっている。

例えば、試しに100部刷って、残りが20部になったら増刷する。それも100とか200とかの単位で、小刻みに、小出しに、様子を見ながらできる。いきなり10,000部とか刷ったりしない。そもそも、そんなマーケットを対象にしていないし。それを前述の流通に乗せてコツコツ販売する。

小さいけれども展示即売会なら現金収入になるし、ネット通販すれば入金サイクルも短いのでキャッシュフローも助かる。金融機能として使い勝手がいい。第一、粗利も商業出版の印税の比ではない。

一般に出版社の印税は早くて3ヶ月後、半年後なんてのはザラで、しかも印税率が超売れっ子でない限り7〜10%と極めて低い。1500円の本でわずか100円ほど。(ただし、発行されれば店頭で売れようが売れまいが部数に応じた印税は入ってくる)

思い出した。ぼくの場合、12年前にこれを翻訳したときには、10%を原著者と折半したから5%だった。いや、待てよ、12%の6%だったかも(記憶が曖昧。ただし、アドバンスをもらったような気がする)。

「軽出版」なら、例えば1500円の本に原価500円かかっても相応の利益が確保できて、初期コストを回収するのも早い。だから、その後、じっくり販売できる。

ポイントは一気に大部数印刷して、取次を通して全国の書店にあまねく配本、なんてことはしないこと。そうではなくて、いろんな流通経路を使って地道にチマチマ自分で売っていくということ。

決して、大儲けしたいわけではなくて(まあ、できたらできたでウレシイけれど)、特定のいわばファン層に届けられればそれでいい。それを、大きな装置を動かすのではなく、ハンドメイド、手作りでできるのが痛快だ。

考えたらその点、音楽業界は進んでる(いや、出版業界が遅れてるのだけど)。仲俣さんも言っておられたけれど、メジャーレーベルに属していないインディーのミュージシャンが自分でCDを制作して、ネット通販はもちろん、ライブ会場で手売りするなんてことは、もう20年以上前(いや、もっと前か)からやってる。そういえば、ぼくも友人から何枚かCDを買った。

聞けば、『共産党宣言』も『学問のすすめ』も『遠野物語』も、最初は自己出版、つまり「軽出版」だったんだそう。

長い時間を経て出版業界を取り巻く状況が変化し、いよいよどん詰まりに陥ってきたところで、時代に即した新しい技術を応用して元の「軽出版」に立ち返るのはありだと思う。

#で、何を出版するのか

かく言うぼくも、昨年、やりたいこと宣言で「本とコワーキングの融合」をプレゼンして以来、ずーっと出版のことを考えているけれど、もう1年経ってしまった。

で、そろそろこの「軽出版」の方法でやってみようかと考え始めてる。ネタはいくつか、もうある。

①まず、この「今日のアウトテイク」だ。これも、今日で連続219日目。結構なボリュームのコンテンツ量になってる。

仲俣さんもこう書いておられる。

私のような仕事をしていると、雑誌やウェブに書いた後、とくに本にまとめられることもなく、二度と誰にも読まれないままの原稿が山のように溜まっていく。

ここから、コワーキングネタだけをいくつかピックアップして、いわば増刊号的にまとめて一冊にするのはどうかなと考えている。もしくは、あまりページ数が多いのもナンだから、月ごとにまとめて「◯月号」とするかな。

②それと、各地のローカルコワーキングを訪ねて、彼らがコワーキングというスキームを活かして、コワーキング内にとどまらず、まちを舞台にどんなカツドウしているか、コワーキングの次の次元を垣間見せてくれている貴重な取材ネタも貯まっている。それを本にまとめたい。

これは単なるハウトゥ本ではなくて、コワーキングという(ハコではなくて)仕組みがこれからの社会にどういう役割を担うか、を先を行ってる人の事例をあげて論考し提案するもの。

③もうひとつは、これまで何度か開講してきた「コワーキングマネージャー養成講座」。これを講座とは別に本にしようか、という話もある。

これは、7科目あるから、科目毎に分冊したほうがよさそう。課題はページ数かな。それと、毎回、内容はアップデートしてるから、紙に印刷してしまう「軽出版」の場合、そこをどうカバーするかが悩みどころ。

そのようなテキストを、zineを作るくらいの気楽さでサクサクと出版していきたい。そんな風に考えている私にとって、ネットの軽印刷業者で印刷し、SNSで告知し、即売会や独立系書店で売るのは最適のやり方なのだ。

いや〜、ホント、そう思います。

実をいうと、Kindleにしようかと考えていた。印刷しなくていいし、Amazon内での同種の本のレコメンドパワーは大きいので、未知の読者に出会える可能性もあるし。

でも、コワーキングがテーマとすると読者もニッチに限られるから、「軽出版」で作っておいて、自分とのつながりの中でお届けするのがいいのかもしれない。たぶん、多くても300部ぐらいじゃないかしらね。

あ、そうそう、もうひとつ。

④10年ぶりに『コワーキングマガジン』を復刊するという企画も進めなくては。これも自前で制作して、2,000部刷って、完売するのに8年もかかったけれど、逆にそれだけの期間、それだけの人数に届けてきたということは誇りに思ってる。

今見たら、この10年前の『コワーキングマガジン』の中古本が、なんと「コレクター商品 - ほぼ新品 ¥9,721」で出てる。高っ!

で、こっちは全国をいくつかのエリアに分けて、エリアごとにコンテンツをまとめてくれる編集委員をまず募集して、企画・編集会議を開くところから始める予定。

ただ、そうすると結構なページ数になりそうなので「軽出版」でやるかどうかは要検討。あ、待てよ、そのエリア別に発行してもいいかな。それもオモシロイ。ちょっと考えるとして、追って告知しますので、編集、ライターの方、ぜひご参加ください。

#そういえば 、昔やってたのとやり方は同じ

元々、ぼくはメーカー出身だ。そのせいか、自分で作ったものに自分で値段をつけて世に出す、というのが性に合ってる。と書いてて、ふと思い出した。

そういえば、小学6年生のとき、模造紙を切って漫画を描いてホチキスで止めて、今で言うところのZine(ジン)をクラスに回し読みしてた。表紙はなぜか横山やすし師匠だった。

あーそれと、1999年からアコースティックギターのネットショップをはじめてウェブの世界に入ったのだけれど、そこでアメリカのギタリストのLP音源しかないアルバムのCD化を、こっちで企画してプレスしてネット通販してたこともある。ナツカシ〜。

なので、まったくのド素人というわけではない。やり方もほぼ同じ。モノが違うだけ。だから、この企画は楽しんでやれそう。

しかし、この言葉はビビビと来ましたね。

本を作るのは容易く、売るのは難しい。でもいちばん難しいのは、書くべきことを書くこと、売るためでなく書くために書くことだ。
軽出版は、書き手が書くことの自由を取り戻すための仕組みでもある。

書き手が書くことの自由を取り戻す。そこですね。

※追記
公開してから思い出した、オンデマンド出版という方法もある。

データさえ上げておけば注文のたびに印刷して発送までしてくれる。これはこれで、考慮しておいてもいいですね。販売チャネルは多いほうがいいし。

ということで、今日はこのへんで。

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「Beyond the Coworking 〜移働の時代〜」では、これからのコワーキングとその周辺に…

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