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果たして投資家はコワーキングの何に価値を感じて投資するのか:今日のアウトテイク#284(2024-08-28)
<アウトテイク>
・SNSに投稿するのではなく、これを自分SNSとした投稿
・記事として仕上げる前の思索の断片、または下書き
・一部、筆が乗ってきて文字数多いのもあり〼
・たまに過去に書いたネタを展開する場合も
・コワーキング関連のネタが多め
・要するに「伊藤の現在地点」
・いずれKindle本にまとめる予定
#今日のBGM
#今日のコトバ
"賢者は、愚者が賢者の答えから学ぶよりもっと多くのことを、愚者の質問から学ぶ。"
(ブルース・リー)
Mind Scan Quotes🌺🌹❤️ . . . . #Wayofwisdom #jenniferlopez #alexandradaddario #AngelinaJolie #MeganFox...
Posted by Way Of Wisdom on Sunday, August 25, 2024
#「コワーキング曼荼羅に学ぶローカルコワーキング基本のキ」受講者募集開始
9月より、「コワーキング曼荼羅に学ぶローカルコワーキング基本のキ」を開講します。
この講座は、自分たちにコワーキングが必要と考える人たち、そして、コワーキングを利用するコワーカーのカツドウを支援したいと考える人たちを対象にした講座です。
自分たちのローカルコワーキングの開設・運営をお考えの方は、ぜひ、上記のサイトをチェックください。
#果たして投資家はコワーキングの何に価値を感じて投資するのか
DIC川村記念美術館が、資産効率の観点から運営方法を見直しして、移転するか運営を中止するかを検討していたらしいのだが、これ読んで投資家って一体なんだろうね、と思った。
同美術館はクロード・モネの「睡蓮」やパブロ・ピカソなど384点を保有していて、全作品の資産価値は、6月末時点で112億円(簿価ベース)あるらしいけれど、それって、株主のもの?じゃなくて、大きく考えたら人類みんなのものじゃないの?
とか、勝手なこと考えてたら、DIC社から以下のドキュメントがPDFで公開されているのを見つけた。
「価値共創委員会による「美術館運営」に関する助言並びにそれに対する当社取締役会の協議内容と今後の対応についての中間報告(PDF)」
外部人材で構成する「価値共創委員会」を設置して、そこから助言もらって経営陣が対応策を講じる、ということらしい。
その助言の中に、
当社が美術館を運営するためには、美術館の存在価値や目的、理念を明確化する必要があり、特に株主に対する説明責任が求められること
とある。美術館の存在価値を株主に説明する責任がある、というところにひっかかる。それって儲かるかどうかだけで、美術館の本来的価値はどっかに追いやられてるのではないかしら、と訝しんだりするのぼくだけかな。
ところが、次いでこうあった。
現在の当社業績、美術館と当社経営・事業との関係、投資家からの意見等を踏まえると、現状のまま美術館を維持、運営することは難しいと考えられ、また運営コストを考慮すると、現実的に詳細検討すべき案は東京への移転を想定した「ダウンサイズ&リロケーション」もしくは「美術館運営の中止」を前提とした2つの案となること
要するに、企業全体の業績がイマイチなのに、大して利益を生まない美術館なるものにコストかけていつまでもやってていいのか、ということ。ま、仰ることは筋が通ってる。
ただ、モノがモノだけにスパッと排除できない、というか、そのやり方次第で効果も全然違ってくるのは容易に想像できる。
で、今のところ、
(a) 美術館運営の効率化のため、「ダウンサイズ&リロケーション」を具体的なオプションとして検討し、2024 年 12 月までに結論付けること
(b) 上記を基本的な方針としつつ、「ダウンサイズ&リロケーション」の実現性、ブランド価値向上の有効性、作品売却による経済価値等を総合的に勘案し、美術館運営の中止の可能性も排除せず、詳細検討を行うこと
ということで、とりあえずは規模を小さくして継続運営を目指す(それはよかった)、けれども、必要に応じていくつかの作品は売却することになる模様。なんか、モヤモヤしますね。モネやピカソも売っ払われるのかしら。
企業はボランティアではないから、常に利益追求だから、という声は聞こえてくるし判る。ただ、いわゆる株主(株券)資本主義が跋扈することで、社会に資するもの、本当に価値あるものが毀損されていくのは見るに忍びない。どこかに「じゃ、全部、うちが買い取って社会のために運営しましょう」という人、いないかしらね。
で、思った。企業って、なんだかんだと窮屈なことになるのに、なんで上場するのか。資金調達の方法だから仕方ないじゃん、と言うだろうけれど、他にも方法あるんじゃないかしらねと、書いてきて、あー、いや、DICみたいな重工業系の古い会社は、それしか方法がなかったのか、そうか。。
そういえば、多くの人から少額ずつ集めてきて、それを合わせて、資本として事業を興すのを「合本主義」と言って、日本に導入したのは確か今回お札にもなった渋沢栄一さんだけど、今、彼がこれを見たら、どう思うだろうか。
渋沢翁によれば、合本主義とは「公益を追求するという使命や目的を達成するのに最も適した人材と資本を集め、事業を推進させるという考え方」を意味する。美術館って公益だと思うのだが。
合本主義についてはこちらに詳しい。
そういえば、とまた思い出した。その昔、これ読んで感銘を受けたんだった。
会社は大きいほうがいいなんて幻想だ。今日では誰でも自分のアイディアをもとにビジネスを始められる。高価な広告、営業部隊、オフィス、いや、会議も事業計画もいらない。昼間の仕事をしながら、初めは週末の数時間を費やすだけで十分だ。小さな所帯で、シンプルに、迅速に、臨機応変に――それで僕らは成功している。 二つの大陸に散らばった十数人のメンバーだけで数百万人のクライアントを抱えるソフトウェア会社37シグナルズ。その創業者とカリスマ開発者が、成功をつかむためのシンプルかつ常識破りな手法を伝授するビジネス書の新スタンダード。
つまり、いち企業が巨大化するのではなくて、デキる者と連携して仕事する、ビジネスする。これ、原著は2010年だからちょっと古いけど、今でも通用する、どころか、今のほうがうんとテクノロジーが進化しているから実現性高いと思う。
ついでに同じ著者のこれなんか、まさにコワーキング。
37signalsというのはBasecampというプロジェクト管理プラットフォームを開発、提供している会社だ。自らリモートワークのチームを組んで少人数でビジネスをグローバルに展開している。
もちろん重厚長大な印刷会社とウェブサービスの会社を同列で見るのはフェアではないかもしれない。けれども、ここの代表は、「上場なんてとんでもない、自分たちのサービスを自由に開発して、それを愛してくれるユーザーと共に育てていきたい、投資家のものになるなんて信じられない」、という趣旨のことを言ってて、ぼくなんかはそこにいたく共感する。
なので、日本のスタートアップが、すぐに上場を目指す、と言うのがホント危なっかしいなぁと思ってる。手塩にかけて開発したプロダクトが、ユーザーともども他人のものなるってこと、判ってるのかなぁ。
そういえば、コワーキング界隈でも資金調達して拠点数をどんどん増やしてチェーン化し、そのうちどこかに売却する算段らしき事業者をチラホラ見受ける。というか、このところ海外からは、やれどこそこのコワーキングプロバイダーは何百万ドル調達した、とかいうニュースが結構多い。
ただ、ぼくはコワーキングはそれ自体、スタートアップにはならないと思ってて、以前、書いた。
コワーキングだけではないが、スタートアップの最大の投資価値は、そのサービスが保有しているユーザー(数)だ。だからチェーン化して母数を増やそうとする。ある意味、ユーザーが売り物になってる。ぼくはそれがコワーキング本来の存在価値を台無しにしていると感じる。
もうひとつ、思うことがある。果たして投資家はコワーキングの何に価値を感じて投資するのか。それが場所貸しビジネスとしてのハコが生む収益なのか。それとも、コワーキングはあくまで新しい価値を生み出すための手段、装置であって、肝心なのはその新しい価値のほうなのか。
もし後者なら、いわゆるインキュベーション施設としての可能性に期待してるということだが、前者なら、それはちょっと考えが浅いと言わざるを得ないと思う。
そして、そうそう、コワーキングもまた公益であることを、付け加えておきたい。
ということで、取り止めないので、今日はこのへんで。
(カバー画像:DIC川村記念美術館)
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