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コワーキングツアー再再開のお知らせと、うんと先行くRemote Yearのデジタルノマド向けの新しいサブスクリプション・プランがイケてる話。

2016年からはじめたコワーキングツアーを、コロナ禍の中断を挟んで今月から再再開する。2022年7月19日〜23日の「コワーキングツアーVol.21〜天地創世の国を往く、島根編〜」がそれ。

今回、5日間で4つのコワーキングにおじゃまする予定で、途中、出雲らしいスポットにも足を運んで「余白」を愉しむ。


コワーキングツアーとは

コワーキングツアーとは、日頃、行ったことのない地方のコワーキングスペースに何人かでおじゃまするカツドウ。そこで仕事したり、イベントに参加したり、交流会(ま、呑み会ですね)も開いて、その土地の人ともコワーキング仲間になり、ついでにコワーキングスペースもつなぐ、というのが趣旨。原則、現地集合・現地解散、途中参加・途中離脱OKで、当日になってみないと何人来るか判らない、実に自律的かつゆる〜いイベントだ。

当初、コワーキングツアーに公式のウェブサイトはなく(実は今もない)、Facebookのグループからはじめた。※OGPは出ないみたいなのでスクショを貼ってリンクしておきます。

その第1回目は、2016年3月28日〜30日の「福岡編」で、3日間で5ヶ所のコワーキングにおじゃました。今考えたら、結構、急ぎ足だったが、東京からも参加者が現れて初回にしては割とうまくいった(と、自画自賛した)。

福岡に続いて、愛媛・香川・徳島・福島・広島・熊本・長野・千葉・滋賀・石川・山形・沖縄・神奈川・岐阜・福井・鹿児島・兵庫…と、コロナで中断しつつもこれまでに計18の県の100のコワーキングスペースを訪れた。(※ツアーではなく個別に訪れたスペースを入れると多分その倍にはなるはず)

第4回目からはFacebookページに移して、そこで毎回告知している。ちなみに、このデザインでステッカーも作って、まだ在庫がある。ほしい方は連絡ください。(要らないか)

当時、行く先々で主宰者にお話を伺い、ルポ記事を書いてさるウェブサイトに連載していたのだが、残念ながらそのサイトは諸般の事情でクローズになり、その記事も幻となってしまった(泣)。

せっかくだから、写真だけでも貼っておこう。これは、2016年8月の長野編から。もう6年も前か(遠い目)。夏の盛りに8日間で8軒回ってキツかったけれど、多くの出会いを得て充実していた。

上田市 HanaLab.(ハナラボ)UNNO(現はたらクリエイト)
佐久市 コワーキングスペース iitoco!!(その後クローズ)
JR小海線滑津駅(乗り過ごして1時間待ちぼうけ)
富士見町 富士見 森のオフィス
松本市 Social Hub Space Knower(s)
長野市 CREEKS COWORKING NAGANO

こっちに各回のアルバムがあるのでよかったらどうぞ。※Facebookページに保存してるのでログインが必要かも。

コワーキングツアーのおかげで各地にコワーキングつながりの仲間が増えた。中にはそのときに一度だけしかリアルにお目にかかったことがないのに、何か要件があって連絡すれば皆さんすぐに対応してくれる。実に有難い。

コロナ禍のせいで制限されていた「人との出会い」は、オンラインでいくらかはカバーできたけれども、やっぱりリアルに顔を合わすほうが理解が早いし深いし、その関係の継続性も高い。まさにサステナブルだ。

そういう人間関係は、日頃利用しているコワーキングでも、もちろんできる。しかし、いまどき、自分のネットワークは自分で広げていかねばならない。行ったことのない土地で初めての人と知り合うことも、自分の行動範囲を広げ、そのつながりを得てこれからの人生を豊かで楽しいものにするのにはやっぱり必要だ。

ところで、コワーキングツアーは何もぼくの専売特許ではない。むしろ、日本中で各自が参加者を募って、いろんなコワーキングを訪ねて仲間づくりをしてほしいと願っている。

それにほんの数日のイベントなので、もっと中長期のコワーケーションというほどのものではないけれども、そのイントロ、あるいは予行演習にはなる。

ただ、それぞれがバラバラに告知しても、人の目に触れる機会は限られるのは確かだ。

そこで、コワーキングツアーを企画する人たちのグループを作り、そこでスケジュールを共有して参加者を募る、いわばポータルになるページを開設するつもりだ。

ということで、前述の「コワーキングツアーVol.21〜天地創世の国を往く、島根編〜」は、絶賛、参加者募集中だ。ぜひご参加くだされたい。

さて、世界にはもっと面白いツアーがあるのでここで紹介したい。

Remote Yearの新しいプランが気が利いている

それがRemote Yearだ。

・Remote Year

Remote Yearについては、以前、ここでも書いてるので、そこから少し引用すると、

Remote Yearは参加者をグループにして、世界各国を1ヶ月単位で移動して(1ヶ月、4ヶ月、 6ヶ月、12ヶ月の各コースがある)、行き先で滞在し、仕事もすれば交流も深める、まさにデジタルノマド(リモートワーカー)が一番やりたいことをパックにして提供してくれるサービスを運営していた。数年前には京都にも来ている。
その後、コロナ禍でそのビジネスモデルが成り立たなくなり、あえなくクローズする事態に陥っていたが、2020年10月に7ヶ国に拠点を持つブティックホテル・チェーンのSelinaに買収されている。

で、そのRemote Yearが、先日、新しいサブスクリプション・プランを発表した。

これまでRemote Yearでは、1ヶ月、4ヶ月、6ヶ月、12ヶ月の滞在プランを提供していた。1ヶ月間のプログラムに対して850ドルの前払い、トータル2,000ドルの費用が必要だった。12ヶ月のプログラムでは、同じく5,000ドルの前払いと最低でも月に2,250ドルの支払いが必要だった。

これ、結構、相手を選ぶなぁと思っていたが、今回、グンとハードルを下げて、「コミュニティ会員」「エクスプローラー会員」「ノマド会員」の3つのメンバーシップを売り出した。つまり、サブスクリプションだ。

「コミュニティ会員」
月額19ドル(ただし年払い)で、今すぐに旅に出るつもりのない人向け。

・4,000以上のプロフェッショナル(ワーカー)のコミュニティ
・150以上のオンラインコミュニティ
・月例のローカルイベント
・仕事案件や町のガイダンスにもアクセスOK
・Remote Yearが四半期ごとに催す会員限定イベント(※)に1,500ドルから参加
※モロッコ、ギリシャ、ブラジル、タイなど

「エクスプローラー会員」
月額49ドル(同じく年払い)で、1〜3ヶ月の旅をする人向け。「コミュニティ会員」の特典にプラスして、

・世界の80以上のローケーションに1ヶ月2,050ドルから滞在可
・新規プランに3日前から申込み可
・Remote Yearが四半期ごとに催す会員限定イベント(※)に50%(750ドル)OFFで参加
・Selinaのホテルに10%OFFで宿泊

「ノマド会員」
月額99ドル(年払い)で、年に4ヶ月以上旅に出る人向け。「コミュニティ会員」の特典にプラスして、

・「エクスプローラー会員」の特典がすべて25%OFF
・世界の80以上のローケーションに1ヶ月1,535ドルから滞在可
・新規プランに7日前から申込み可
・Remote Yearが催す四半期ごとに会員限定イベント(※)に年に一回無料で参加
・Selinaのホテルに20%OFFで宿泊

まず「コミュニティ会員」になると、「RY Nation Community」にパソコンからでもスマホアプリからでもアクセスでき、プロフィールページを作ってグループに参加したり、ディスカッションしたり、マンツーマンで交信したりできる。イベントカレンダーも用意されているので、いつでも世界中のイベントに参加可能。

自分の体験や知見を任意に発信するというのは、こうしたサービスに積極的に参加する人に共通の適性であり、文字通り「コミュニティ」の一員として行動することが期待できる。

これもそもそも、既存のメンバーからの「何から始めればいいのか」「どうやってつながればいいのか」というフィードバックを得て起ち上げたらしい。毎度のことだが、マーケティングの鉄則、「客に訊け」ですね。

ここで見逃せないのは、そこで共有される情報は、こと「旅」のことに限らない点。むしろ、旅するプロフェッショナル=ノマドワーカーにとって役立つ仕事やビジネスの情報を分け合う姿勢を忘れてはいない、ということ。←ここ大事。

それが証拠に前述の通り、ジョブボードに仕事案件が掲示されていたり、遠隔地のチームを率いる方法や旅先での財務管理など、旅するプロフェッショナルに関連したテーマのワークショップも配信される。

つまり対象となるのは、ただ旅するだけの風来坊ではない、ということ。これからの時代の中心的ワークフォースになる、移動しながら仕事をこなすリモートワーカー、つまり遊びもビジネスもしっかりやるデジタルノマドがメインユーザーだ。

蛇足だが、くだんのSelinaはもうはっきりとその層にフォーカスしてグローバルに展開している。

ここが、観光旅行視点から一歩も脱却できずに「日本型ワーケーション」を推し進める日本の旅行・観光系企業にはできていない点、というか、発想すらしていない気がする(してたら、すみません)。

なお、空港送迎やSIMカードのレンタル、アパートクリーニング、トレーニングジムのパス、さらには語学教室やCovidテストといったものをメンバー向けに販売する予定らしい。ホント、至れり尽くせり。

ちなみにRemote Yearの既存顧客には、いずれかのメンバーシップがプレゼントされるらしい。それはウレシイですね。

しかし、この3つのメンバーシップの差別化は、ビジネスの観点からしてもすごくよく考えられている。コミュニティベースの会員制プラットフォームと旅行のためのマーケットプレイスを組み合わせる画期的な取り組みになるだろう。

そして、当然ながら、Remote Yearはフリーランサーや起業家だけを対象にしているのではなく、有能な社員を維持しておきたい企業にもこのパッケージが利用されることを期待している。

今年、4ヶ月のプランで日本(大阪)にも来るらしい。

と、今見たら、1週間という短いリトリート・プランもあった。

こうしたRemote Yearのような、デジタルノマドを対象にしたリモートワークと旅のパッケージを提供するプログラムは、海外にざっと10社ほどある。簡単に例を上げると、まずここ。

・Hacker Paradise

ハッカー・パラダイスというぐらいだから、ハナからエンジニアやデザイナー、ライター、マーケターなどのフリーランサー、ビジネスオーナー、あるいは起業家、それとリモートプレナー(移動しながらビジネスを起ち上げていく起業家)が対象だ。

ここは、1ヶ月、3〜12ヶ月以外に、2週間からメニューを選択できる。2週間というのはお試しにはいいかもしれない。

と思ったら、この記事でも取り上げたポルトガルのマデイラ島があった。2週間で1,850ドルから。

それと、ここも結構以前からやっている。

・UNSETTLED

トップページのビデオを見ると遊んでばっかりに見えるが、UNSETTLEDが対象にしているのも、起業家やアーティスト、デザイナー、その他の「野心的なリモートプロフェッショナル」だ。

ここも1週間から参加できる。これなんかがそう。2,000ドルもするけど。

但し書きしておくと、いずれもワーケーションという、仕事と遊び(旅)を分けた、いわゆる「ワーク・ライフ・バランス」という発想からのものとは根本的に違う。

そうではなくて、これらは仕事も遊び(旅)も一緒くたのデジタルノマド系リモートワークありきのプランであること、つまり「ワーク・ライフ・インテグレーション」の発想が前提だ。

ただし、Hacker ParadiseもUNSETTLEDもサブスクリプションのメニューは今はない。ないが、Remote Yearの動きを受けて、早晩、レースに参加する可能性はないとも言えない。いや、あるな、きっと。そうして、また日本が置いてけぼりになる。

いま、妄想していること

で、最後に、このマガジンの購読メンバーにだけお話ししておきたい。以前もちらっと書いたが、Remote Yearのようなパッケージを日本でやってみたいと妄想している。

これまでやってきたコワーキングツアーをベースに、各地のコワーキングと宿泊施設をセットにし、ワークショップや地元のアクティビティも絡めつつコミュニティとして運営し、「ワーク・ライフ・インテグレーション」をコワーケーション、もしくはコリビングの作法でやってみる。

ことに、ローカル都市のコワーキングスペースが「滞在型」のコワーキングを実践するのに有効だと考えている。

まずは日本のデジタルノマド向けにやってみる。滞在期間は、日本の場合、1週間単位で、最長1ヶ月がいいかもしれない。←ここ思案どこ。

要領がつかめたら、今度は海外から呼び寄せる。こっちは1〜3ヶ月がメイン。とか言ってるうちに、日本も1年とか2年のデジタルノマドビザを発給するようになるかもしれない(希望的観測)。コロナ次第だが、様子を見ながら、ボチボチやって見る価値はあると思う。さて、どこから、いつから手を付けるか。

…と考えているのですが、皆さん、どう思います?

(Cover Photo:Remote Year)

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「Beyond the Coworking 〜移働の時代〜」では、これからのコワーキングとその周辺に…

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