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家主と利益を共有する共同経営でコワーキングを運営する方法:今日のアウトテイク#278(2024-08-22)

<アウトテイク>
・SNSに投稿するのではなく、これを自分SNSとした投稿
・記事として仕上げる前の思索の断片、または下書き
・一部、筆が乗ってきて文字数多いのもあり〼
・たまに過去に書いたネタを展開する場合も
・コワーキング関連のネタが多め
・要するに「伊藤の現在地点」
・いずれKindle本にまとめる予定


#今日のBGM

#今日のコトバ

"現実を知れば知るほど、世界は非現実的になる。"
(ジョン・レノン)

“The more real you get, the more unreal the world gets.” – John Lennon

Posted by Humanity & Peace on Tuesday, August 20, 2024

#「コワーキング曼荼羅に学ぶローカルコワーキング基本のキ」受講者募集開始

9月より、「コワーキング曼荼羅に学ぶローカルコワーキング基本のキ」を開講します。

この講座は、14年前のぼくと同じく、自分たちにコワーキングが必要と考える人たちを対象にした講座です。場所貸しのビジネスありきではなく、参加するワーカーのカツドウがより良い社会にするために有効であると考える人たち、その人たちを支援したいと思っています。

自分たちのコワーキングの開設・運営をお考えの方は、ぜひ、上記のサイトをチェックください。

#まずは音楽をどうぞ

この「今日のアウトテイク」には、毎日、冒頭に「今日のBGM」を貼り付けてる。音楽でも聞きながら読んでもらえたら、と思ってそうしてるのだが、今日、「ちゃんと再生して聴いてますよ」という方とお会いした。ウレシイですね。

さて、今日のBGMはお気に召したでしょうか?

#松岡正剛氏の人生と編集工学

『地の編集工学』『千夜千冊』あるいは『日本という方法』の松岡正剛さんが亡くなった。

そしたら、このビデオが追悼記念として公開されてたので貼っておく。日本が、日本人がなんでこうなったのか、という話が非常に深い。(ただし、いつまで無料公開なのか判らないので、興味ある方はお早めに)

アウフヘーベン、二項対立に対して「三」でいくというのは日本的方法だな、と思ってるんですけど、のくだりは、ハッとした。

「三つ目というのは自由度が増すわけですよね。そしてカオスの淵に創発が起こって、今までないものがそこにふ〜っと出てくるわけだから、やっぱり三が必要なんじゃない」

「日本には一がない。一ってのは片、片割れ、ていうことは二が一。二つで一つ。それが割れてるほうが一、二分の一が一。
(略)
三のうち二つは一緒になり得る。二つが響き合って、AとBが引き合ったり近くなって、一と二が動き合うのを二項動態と言ってるんですが、そういうのを時々感じますね」

確かに日本は「三」が好きだ。なんとなく座りがいい。というか、都合によってはどっちにでも立場を変えられる。あえて対抗を避けてるのかもしれない。それも知恵だ。

それと、「稼ぎと勤めがあって、両方あって一丁前」というのは、あー、そうやなぁ、と思った。

そして、「編集する」という行為は、単に記事や映画に限ったことではなく、すべからく生きるということ自体が自分の人生を編集している、ということだなとあらためて思った。

それで言えば、コワーキングもさまざまな属性、領域の人たちをミックスして新しい価値を生むことだから、それもまた「編集」だ。

ということはつまり、コワーキングマネージャーは「編集者」でもある、ということ。心して。

ご冥福をお祈りします。

#家主と利益を共有する共同経営でコワーキングを運営する方法

WeWorkが破綻したのは不動産ビジネスとしてであって、コワーキングとしてではない、というのは何度も書いた。

WeWorkは、オフィスの長期賃貸契約を結び、そのワークスペースを短期的に貸し出すこと、つまりサブリース業で急成長を遂げた。が、思うように契約更新するテナントが集まらず、売上よりもコストが嵩んで事業が回らなくなった。単純に転貸業の失敗。

破産手続きが進む中、イギリスなど一部持ち直しているところもある一方、ニューヨークでは190以上のリース契約について再交渉を行い、不採算と判断した170カ所余りから撤退した。繰り返すが、これはあくまでも不動産賃貸借契約というビジネススタイルを甘く見た結果だ。

ところが、そこをうまく解決して成長している大手コワーキング業者もある。ウォール・ストリート・ジャーナルが、そのひとつ、Industriousを紹介している。

同社は200以上の拠点を管理していて、大きな資金調達にも成功し、企業買収を積極的に進めている段階。WeWorkの旧ミッドタウン・マンハッタン本社も最近買収したらしい。

2019年以来、Industriousは130の新しい場所をピックアップし、その収益はほぼ3倍になった。 CEOのジェイミー・ホダリ氏は、2年以内の株式公開を望んでいると語っている。

サイトはこちら。

ポイントは、物件を借りない、ということ。借りると毎月決まった金額が財布から出ていく。それは家主とコワーキングとの関係が「貸し手 vs 借り手」になってるからだ。当たり前の話。

そうではなくて、「vs」ではなくて、「with」の関係になる。つまり、収益を家主と共有する共同経営の立場になるということ。すると家賃というものは発生しなくなる。

事実、Industriousはそうしている。やっぱり、そうよね。

(WeWorkとは)対照的に、Industriousは、家主と利益を共有する管理契約モデルを採用している。このアプローチでは、需要が旺盛なときのアップサイドは制限されるが、スペースを求める人が減ったときのダウンサイドは大幅に減少する。
この緩やかだが着実なアプローチは、新たな業界標準として期待されている。

WeWorkがこんな簡単なことに気づかなかったはずはないのだが、なぜ、この方法を選択しなかったのかは謎。この記事によると、さすがのWeWorkも今では「数十の家主」との管理契約に向けて取り組んでいるらしい。そりゃそうよね。というか、遅い。

誤解のないよう書き添えておくと、ぼくはなにも大きなコワーキングチェーンがいい、と言ってるのではない。ビルオーナー、家主との共同経営、共創関係を結べないかどうか、一度は検討してみるべきだと言ってる。

かく言うぼくも、14年前に(Industriousと比べ物にならないほど小さな)カフーツを開いたときは、家賃は払っていなかった。日本に前例のない「コワーキング」というものが果たして成り立つのかどうか、その実証実験をしたいとビルオーナーにプレゼンして、家賃ではなく、売上を折半することでOKしてもらった。そのことはここに書いた。

オーナーはこの実証実験のために部屋を提供する。ぼくはコワーキングを運営する役務を提供する。で、売り上げを折半する。光熱費はぼくが負担する。これを半年やってみてうまくいきそうなら継続する、というアイデアだ。

結局、その実証実験は1年間続き、2年目からは賃貸借契約を結んだ。しかし、この1年間のいわば助走段階において家賃というコストを抑えられた、というか、発生させなかったのは、この環境を維持継続させるためには非常に有効だった。

よくコワーキング開業のご相談を受けるが、課題となるのは運営コストをどう賄うか、だ。コストで大きいのは家賃と人件費。家賃については、ややもすると、「まずは場所を借りてから」と考えがちだが、借りなくてもいい方法はないか、一度は考えることをオススメする。

双方に欠けているところを、お互いに補完することで、賃貸ではないアライアンスを組む。それはまったく不可能ではない。例えば、空き家、空き店舗の再利活用としてのコワーキングを提案すれば、案外、好条件が提示されるかもしれない。

ニューヨークやサンフランシスコ、ボストンなんかでは、オフィスビルの空室率がどんどん高まっている。

Industriousのような契約形態は、長期テナントが不在でオフィススペースの過剰に行き詰っている家主にとっても良い選択肢になり得る。これは、今後、デフォルトの契約形態になる可能性もあると思う。

規模の大小は関係ない。Industriousのような巨大コワーキングチェーンでも、コストをいかに抑えるか知恵を絞り、相手を見て交渉している、ということは肝に銘じておきたい。

ということで、今日はこのへんで。

(カバー画像:Industrious)


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