職場がワーキングマザーのために搾乳室を用意する時代へ:今日のアウトテイク#300(2024-09-13)
<アウトテイク>
・SNSに投稿するのではなく、これを自分SNSとした投稿
・記事として仕上げる前の思索の断片、または下書き
・一部、筆が乗ってきて文字数多いのもあり〼
・たまに過去に書いたネタを展開する場合も
・コワーキング関連のネタが多め
・要するに「伊藤の現在地点」
・いずれKindle本にまとめる予定
#今日のBGM
#今日のコトバ
#オンライン講座の受講者募集中
いよいよ来週から、「コワーキング曼荼羅に学ぶローカルコワーキング基本のキ」を開講します。
この講座は、自分たちにコワーキングが必要と考える人たち、そして、コワーキングを利用するコワーカーのカツドウを支援したいと考える人たちを対象にした講座です。
自分たちのローカルコワーキングの開設・運営をお考えの方は、ぜひ、上記のサイトをチェックください。
#Kindleでコワーキングコラム集Vo.1、ついに発行!
「今日のアウトテイク」からコワーキングネタだけをピックアップして、Kindle(電子書籍)でコラム集として発行するプロジェクトの第1号、ついに発行されました。
長短織り交ぜて52本を収録。文字数は68,132文字。ページ数にすると154ページ(ただし、ガジェットによって文字の大きさは変えられるのでページ数は変動的)。
ぜひぜひ、お読みください!
#職場がワーキングマザーのために搾乳室を用意する時代へ
ワーキングマザーの授乳ってこんなに大変だったとは、恥ずかしながら知りませんでした。
この記事によると、通常、搾乳機(breast pump)をバッグに入れて出勤し、仕事の途中で数時間おきに小さなクローゼットやトイレに入って服を脱いで搾乳し、終わるたびにポンプを掃除して片付けなければならない。それを一日に3〜4回繰り返す。うわ〜。
それを解決するのが、このMilkmate。
このサイトに貼ってある37秒のビデオを見るとよく判る。
同社は、1回の搾乳時間を15分短縮する方法を開発した。「仕事中に毎日3回ほど搾乳する必要があるワーキングマザーにとっては、年間23日もの労働時間を節約できることになる」。23日!それは大きい。
Milkmateでは、以下がオールインワンで提供される。
その搾乳用のポンプを滅菌済みのキットをストックしたキャビネットとともに職場に設置する。集乳と搾乳の仕組みは、二次汚染を防ぐために別々に保管されている。
母親はキットを手に取り、搾乳するだけ。部品を洗ったり滅菌したりする必要もなく、ポンプをオフィスまで持ち運ぶ必要もない。
これを、不動産デベロッパーのハインズ社や、法律事務所のBlank Rome、ダートマス大学などが、授乳中の親をサポートするためにすでに導入している。
実はアメリカでは、2022年、「授乳中の母親のためのポンプ法(PUMP for Nursing Mothers Act)」という法律で、「母親の権利を拡大し、雇用主に浴室以外のスペースでミルクを搾乳する時間を労働者に提供する」ことが義務付けられている。なるほど、それで。スバラシイ。
しかも、これを使用する母親は1ドルも払う必要はない。ますます、いい。
Milkmateのセットアップの初期相談、導入、設置には約4000ドルから9000ドルかかり、継続的なサービスは年間平均5000ドル必要らしいが、それは設置するスペース側の負担。ま、義務付けられているからそうなりますわね。
Milkmate社は、従来のオフィススペースだけでなく、病院、ホテル、製造工場などにも進出するチャンスを伺っているとのこと。
というのも、
という事情があるからだ。
それは、労使双方にとってマイナスだ。「授乳中の母親のためのポンプ法」が法制化されるのも当然だろう。
ちなみに、アメリカの労働力人口のうち、昨年の時点で、1歳以下の子供を持つワーキングマザーは560万人いた。さらに、1,000人の母親を対象とした2023年の調査では、31%が仕事に復帰しなければならなかったために母乳育児の目標を達成できなかったと答えている。
つまり、相応の市場規模があるわけで、同様のサービスを提供する企業は他にも、Work & Mother や nessel がある。
前述の不動産デベロッパーのハインズ社は、このシステムは商業用不動産スペースに競争上の優位性をもたらすとして、「Milkmateがユーザーから好評であれば、他の物件にも導入する可能性がある」と語っている。
ここ、オモシロイ展開ですね。搾乳システムの有無が不動産物件の価値を左右する、ということが起こってるということ。
で、なぜこの話題をここで取り上げてるかというと、コワーキングスペースでも早晩、取り入れるところが出てくるのではないかという予感があるから。アメリカはもちろん、ここ日本でもその需要は間違いなくあるはず。
育児世代のワーカーをサポートするコワーキングは、日本でも各地にできてきているけれども、まだここまでのケアは流石にないのではないだろうか。もちろん、こんな立派なシステムは、それこそ法律の支えがなければ難しいかもしれない。
ただ、コワーキングの開設に要する費用を援助する補助金制度は各地で実施されているから、設備のひとつとして認められる可能性はないこともないと思う。
「コワーキング曼荼羅」の中にも「育児」は重要テーマとして掲げられている。ここを細かく分解すれば、例えば、「ワーキングマザー」というコマがあり、またその中に「授乳〜搾乳」というコマがあってもおかしくない。
そういう風に、この曼荼羅はそれぞれが持つテーマを細かく解きほぐしていくことで、どういうカツドウをするかを考えるツールになっている。
次回の講座では、曼荼羅の分解もワークでやっていただく。ぜひ、受講ください。
ということで、今日はこのへんで。
(カバー画像:Tim Bish)
最後までお読みいただき有難うございます! この記事がお役に立ちましたらウレシイです。 いただいたサポートは今後の活動に活用させていただきます。