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提言兼備忘録:クローシス邪神門
はじめに:構築にあたり
ゴッド・ゲートに依存しない型の研究はずっと行っていた。
現状ゴッドの問題点といえば速度が足りない割に防御が薄いことである。というのも特性上「限界のギリギリを攻めてもSTは10枚(光魂Go2投を想定していた)積めるかどうか、その内4枚はミルクであるため直接防御力にはならない」という問題がかなり足を引っ張っていたのである。
また、速度問題はどうあがいても解決するものではないため必然「トリガーを増やせる構築」「防御力を固められる構築」の模索に追われていた。
というわけで「邪王門使えば?」という神託を受けたのである。
だが、これが中々上手くいかなかった。
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邪王門とゴッドのシナジーについて
例によって箇条書きとする。
邪王門視点での長所
・「コスト6以下」という制限を守りつつ場に出た際にリンクして大型獣に化ける為力負けが減る
・cipやシステムクリーチャーが多めな種族なので単に出すだけでも何かしらのアクションが取れる
・ブロッカーがそれなりに積めるので邪王門1枚で2体止めが狙える
同短所
・1体1体がショボい
・ゴッドというアーキタイプはスーサイド戦術が取れず、攻めの使い方が出来ない
・そもそも条件に合致するゴッド(赤or黒)が少ない
ゴッド視点での長所
・ゲートやプロジェクトゴッドに次ぐ第3の展開札として使える
・防御の為にワイアードを採用しなくて済む
・単純に薄かった受けを補強出来る
同短所
・極限竜極神ゲキメツが居ないのに赤黒という色
・黒幕やGイズモなどの主要中央神が出ない
・赤黒に絞ると相当左に偏る(というか左の採用候補がヘヴィとMロマノフで後者は進化ゴッドなせいで邪王門に引っ掛からない)
と、大体こんな感じだった。特に色制限が本当に致命的で、ワイアードもサマソニアも使えない。そこでこの方向性を諦め、大人しく初期構想段階でボツにしていたクローシス案を取り出した。
クローシス化によるメリットと追加シナジー
面倒なので結論から言おう。サイクルペディアだ。
cipでプロジェクトを使い回していい感じにしたい。邪王門もあわよくば使いたい。つまりサイクルペディアである。結果こうなった。
・最初この構築に消極的だったのは前述の中央神不在で引き起こされるパワー不足が理由だったのだが、諦めて打点不足を数でカバーする戦略に舵を切った。というのもメタルは右神唯一のパワード・ブレイカー持ちであり、コイツとパワー5000以上のゴッドがリンクすれば3点に手が届く。便利。ギリこれで足りる。
・邪王門で落としたプロジェクトをサイクルペディアが拾ったり手元のプロジェクトをアクの効果で墓地に落としたり出来る。
・プロジェクト手打ちによるメリットはゼロに近い。あらゆるゴッドデッキの中でもトップクラスにメリットが少ない上4マナあればチョイワルで軽減されたサイクルペディアが出るので本当に意義が薄い。サブプランの運ゲー程度に考えていた方が良い。
・プロジェクト、ゲートの採用で大型神を出せるようにはなっているが邪王門で外れるのが痛すぎる上枠が足りないので無視。60枚構築で漸く4枚入るかどうかと言ったところでは無いだろうか。
・サイクルペディアが場にいる状態でターン1の再利用能力をSTのゲートに使うか邪王門に使うかだが、最終的に場にリンク済みゾロスターが2体以上(またはヘヴィ−ゾロスター−メタルが)完成する見込みがあるならばゲートで展開を狙った方が良い。基本は邪王門の嵩増し。
各種採用カード
チョイワ・ルピア
・2コストのドラゴン軽減。ヘヴィ、ラウドパーク、サイクルペディアの軽減を担当する。チック医スルッチと相互互換。こちらを採用した理由は「手元にあったから」なのでどっちでもいい。一応色管理の問題があり、好みで選択されたし。
プロジェクト・ゴッド
・いつもの。今回はサイクルペディアが居るため手打ち非推奨。そのマナでゴッド出して相手ターンに邪王門からリンク完成を狙った方が強い。一応チョイワル→ヘヴィorラウパ→プロジェクトとシームレスに繋がりはするので、行けそうなら視野に入れても良い。
極限龍神ヘヴィ
・いつもの…と見せかけて今回は毛色が違う。攻撃誘導はあまり使わず「低コストゴッド」「cipでの破壊&ドロー」を擦る珍しいパターン。前述の通りヘヴィ-ゾロスター-メタルでパワー16000ブロッカースレイヤーが完成するので流石にそうなれば盾として機能するか。cipでは大抵チョイワルを砕いてドローする。
真滅右神ラウドパーク
・数合わせ。ブロックパーティーではない理由はドラゴンとブロッカー。初動でコイツを出すとプロジェクトでメタルが釣れないという点でヘヴィに劣っている。
極限究極神アク
・色問題の解決と手札管理を兼ねる。プロジェクトを最低1枚は墓地に置きたいし、デッキから邪王門を持って来たい。ついでに殴ると除去を飛ばせる偉い奴。余談だがここの枠を1枚絶望神サガに変えても良いと考えている。
偽神類ゾロスター
・いつもの。4投こそしているが2枚〜3枚にして他の札を入れても良い。現在4投の理由は素出しのパターンを加味しての事だが、邪王門やゲートからしか出さないなら4枚は不要かもしれない。
極限龍神メタル
・赤ゴッド代表。邪王門で出して一番旨いゴッドノヴァ。ヘヴィゾロスターと繋げてパワーを上げるも良し、返しのターンで一度分解して最小限のゴッドで3点を作るも良し。素出しは望めないので手札に来たらマナに埋める事が多い。ランデスが地味に強く、ゲートや邪王門で合計2枚も捲れればほぼ追加ターンが来たようなもの。邪王門型を作ったキッカケの1枚。
龍素記号wD サイクルペディア
・当デッキの核。4Tで出せば邪王門の増幅、ゴッドの後ならプロジェクトの複製、そもそも邪王門で出せば登場時に墓地のプロジェクトを使い回し…等色んなルートで絡んでくる。それ故に重要度が高く、プレイ中はデッキ内に何枚残っているかを常に把握する事が求められる。あと普通にJDブロッカーは強い。
ゴッド・ゲート
・いつもの。今回手打ちは想定してないので容赦なくマナに置いて良い。そもそも現代デュエマを前にこのデッキが6マナ貯める余裕は無い。
百鬼の邪王門
・核その2。とにかく手札に持っておきたい。サイクルペディアの能力が絡んだ際のゲートとの優先度関係は前述した為省略。
サブ採用候補について
止めすぎ…?【クリック】
・プロジェクトや邪王門を使う都合でデッキ燃費がとにかく悪く、LO一歩手前まであっという間に追い込まれることがある。ラウドパークのcipが強制なのもあり安全策としてピン投くらいはアリ。ちなみに、環境を鑑みるに交換するならゴッド・ゲートの枠だと思っている。
ゲンムエンペラー〈ヘヴィ.Star〉
・打点不足を一撃で解消する。Gゼロ条件が「リンクしたゴッド」なのでそこまで難しくもないだろう。
ヨミとイズモの計画
・墓地にゴッドが落ちるため採用可能だが、撃ち所が限定的すぎるのが玉に瑕。こちらも山札を消費するので止めすぎと併用したほうが良い。
変更履歴
Ver1 デッキが完成。
Ver1.1 プロジェクトを1枚止めすぎに、ゾロスターを1枚ヘヴィ.Starに変更。前者は中長期戦を主眼にしておきながらミッドレンジを相手にするとデッキアウトがチラつき邪王門を撃てなかった為。プロジェクトである理由は思ったより手打ちの機会が無く墓地に1枚落ちれば良さそうっぽいから。ヘヴィ.Starはお守り。
基本的な挙動について
邪王門系のデッキに必須のスーサイド(カンゴクやルピ&ガナ等)は無い。なので大人しく敵に盾を割ってもらう。
邪王門の特徴の一つとして「展開札でありながら能動的」という点を挙げる。天門やゴッド・ゲートとは違い出した後にオマケでバトルも可能なため、要所々々で致命的なポイントを避け得るのが強み(だと勝手に思っている)。
というわけで、自分のターンにやるべきことは優先度が高い順に「赤黒のマナを揃える」「サイクルペディアの着地を目指す」「ヘヴィかラウドパークを出す」「アクを出す」「ゴッドの展開を狙う」である。サイクルペディアの着地に被らない程度にゴッドを出しつつ相手が攻撃するのを待つのが基礎戦術だ。
プレイ中の小技(長文)
なるべく非公開情報を武器にして戦いたい。具体的に言うと「安易にチョイワルとラウドパークを出すな」である。
というのもただでさえゴッドは使い手が多くないデッキであり、その数少ないユーザーですら「ゴッド=ドロマー」という認識が常だろう。ヘヴィやチョイワルの存在は前提をそもそも狂わせ、デッキタイプの誤認を誘発させる「見せつけるための武器」としても使用出来る。
では、デッキの詳細が分からない状態でメタルを目にした時に予想されうる採用意図とは何か。恐らく相手の頭に浮かぶのはゴッドに対する理解度が低い人間から順に「デスフェニのデッキである可能性」「リンク獣のパワー嵩増し」「ランデス手段」「タマシード等非クリーチャーに対する除去」辺りだろう。或いはそれこそゲンム〈ヘヴィ.Star〉の存在に気付く相手もいるかも知れない。場合によってはヘヴィやラウドパーク、サイクルペディアが見えているならチョイワルと相まって「ドラゴン軸ゴッド」などという突飛な発想にも行きかねない。日蓮ランデス位でしか採用実績が無いこのカードだが、最初の2-3ターンで「これがゴッドのデッキである」以上の情報を引き出せるプレイヤーは数少ないと思われる(ゴッド使いを相手取る場合はこの限りではない。3Tのマナ置きで光マナが見えない時点で異常を察知される可能性が高いからだ)。
つまり、「邪王門を積んでいる」という事実を邪王門を唱えるその瞬間まで意識させずに進められる可能性がある。
この情報格差は大きく、キルターンの誤認や攻撃リスクの過小評価等を引き起こさせ返ってきたターンでワンショットを狙う、といった立ち回りが多くなると予想出来る。
ここで上記2体が問題なのだ。単純にcipで邪王門が露見した場合そこで警戒レベルが上がってしまう。前述の「ゾロスターを素出しする場合」というのは、相手に赤入り4cゴッドであるとデッキタイプを誤認させるダミーの役割をここで果たす場合があった為である。とにかくこの初見殺しに近い性能を以てこのデッキを完成としたい。
余談:今回の構築から見たゴッド・ノヴァの本質
以上が今回開発したデッキの構築録である。以下は当デッキとは関係ないゴッド・ノヴァOMG全体に対する完全な余談であるため読む必要はないが、違和感を感じたため書き残しておくべきだと判断した。
ゴッド・ノヴァOMGという種族の文明別特性
ゴッドの本質はドロマーではなくクローシスにあるのではないだろうか?既存の白黒青の3色を持つカードと言えばイエスザナドゥやペンダットが挙げられるが、両者には「防御力(光)、リソース増幅(水)、妨害的干渉(闇)の存在」という共通項がある。翻って同3色のヨミを見てみるとブロッカーこそ持つもののその能力は破壊と蘇生というかなり闇文明寄りの能力である。更にゴッドノヴァ全体を見てみても光OMGはそれ単体であまりにも閉じられているのだ。
光OMGはE3の時点でやや水寄りの能力を持つ防御的な種族だった。呪文の回収やシールドの追加、ドロー能力など「リソース管理」という観点から見れば十分なスペックだと思われる。手札やシールドは謂わば二次エネルギーであり、変換や加工を挟まず使用可能な純リソースである。光OMGはそんな「有れば有るほど良いリソース」を増やすのが主目的である。
一方、闇OMGはその扱いが難しい。そもそも「即席でゴッドのデッキを組め」と言われた際に採用候補に挙がる闇単色のゴッドは恐らく黒幕とヘヴィ、そこにダフトパンクとラウドパークが入るかどうかだろう。
ダフトパンク・アライブがもたらした蘇生能力は確かに大きな価値がある。だが、闇文明の──つまり「妨害的干渉」「墓地の利用」という──視点からは彼らは足りない。肥やした墓地を有効に活用しきれないのだ。
ヨミとイズモの計画はそこにスポットライトを当てた好カードである。が、今度は「入れる場所がない」という問題が立ち塞がる。光OMGを押し退けてまで入れる価値が無いのだ。つまり、展開能力とリソース管理を天秤にかけなければならないというジレンマが発生している事になる。
しかも、ゴッドのパッケージ内で墓地をリソース源とするのはこの計画のみという事実にも向き合わねばならない。つまり、「墓地ソース」という考え方を単独で採用出来ないのだ。とはいえ、今回邪王門の存在がこれを可能にした。
可能性の話
奇しくも、「墓地ソース」というアーキタイプが発生したのは同じE3出身の5000GTの為であった。この時開発された概念は後に同じアウトレイジであるテスタ・ロッサがクローシス墓地ソースとして活躍する程に強固なものである。墓地を参照し大量展開を可能にする計画に、プラスアルファ。当初はDOOMドラゲリオンすら検討していた程に、ゴッドはかなり墓地が肥えやすい種族だと考えて良い。
となればそこにはそれを利用する札が入り得る。今はまだ上がってこないが、仮にこの条件を満たすカードが現れるならそれは赤黒なのではないだろうか。完成されている光OMGというセットから解放されたゴッド・ノヴァは、ともすればここに行き着く可能性が最も高い。と、勝手に考えている。