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ライフスタイルに合わせた自由な住まい。スケルトン・インフィルの魅力
みなさん、初めまして。かぬと申します。今回は、ほのぼのと建築について語ります。自分の住宅が欲しい人や建築やインテリアに興味がある人、旅行先で建物を見る際に、これまでとは違った見方を感じられるようになれば嬉しいです。近年、パンデミックによる働き方の変化や家族との過ごし方など、私たちのライフスタイルは大きく変化しています。それに伴い、生活の中心である「住まい」について考える機会も増えたのではないでしょうか。賃貸や持ち家の方も、家族構成やライフスタイルが変わるにつれ、我々の住まい方も変化します。その中で、「衣替え」のように、自分の生活にフィットする間取りやインテリアを実現できれば、私たちの生活はさらに豊かになると私は考えます。そこで今回、その一助となる「スケルトン・インフィル」というシステムについて語りたいと思います。このシステムは、私たちの生活へより柔軟に対応し、快適な環境を実現します。そのメカニズムと魅力をお伝えし、一緒に考えていきましょう。
スケルトン・インフィルとはなにか
スケルトン・インフィルとはなにか、「スケルトン(Skeleton)」は建物の骨組み、つまり床や屋根を支える柱や梁、基礎などの構造を指し、「インフィル(Infill)」はその骨組みの中に設けられる間仕切り壁などの内装や設備を指します。それらを分けて作ることで、間取りやインテリアをより気軽に変更できるようになります。
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ライフスタイルの変化に対応できる建物のシステム
なぜこのスケルトン・インフィルが重要なのでしょうか。それは、私たちのライフスタイルの変化に合わせて間取りやインテリアの変更が可能になるからです。例えば、リモートワークの普及により、自宅で働く人々が増えました。Web会議を行うために、セキュリティを確保されたスペースを用意したり、家庭と仕事のスペースを明確に分けることが求められるようになりました。また、シェアハウスのような共同生活スペースでは、セキュリティやプライバシーを保つために個室と共有スペースを分ける必要があります。そのほかにも、民泊や自宅でカフェや教室の運営など、さまざまな用途が混在したライフスタイルが生まれてきました。このようなライフスタイルの変化に柔軟に対応できる住まいの計画が求められています。
10年後も快適な住まいを計画する
パンデミックを通してライフスタイルが大きく変化した
リモートワークが増えたことによって、部屋の間取りを変更した方を多く見かけました。簡易的な間仕切りによって、書斎を作ったり、寝室やウォークインクローゼットなどを活用して、これまで想定していた用途とは違った部屋の使い方によって対応してきました。仕事のセキュリティを担保するため、家族の邪魔をしないために様々な工夫が必要です。また、近年に完成したマンションなどは、当初予定していた間取りがパンデミックの影響により変更され、仕事をするための書斎を設けるなど、私たちのライフスタイルに合わせた変更がありました。
つながりの感じられる大きな空間の人気があった
パンデミック以前は、2Kや3LDKのように細かく個室が設けられた間取りではなく、一続きの大きなリビングとダイニングが合体した部屋が人気がありました。また、これからは出社する機会が増え、新しい間取りを求めるようになるかもしれません。このように、5年、10年などの長い期間でライフスタイルを考えると、私たちの住まいもそれらの変化に対応できることが望ましいです。
建物の価値を維持し、メンテナンスが容易なスケルトン・インフィル
スケルトン・インフィルは、1960年代にMITの名誉教授が提唱した思想と言われております。このシステムを採用することで、スケルトンの長い耐用年数を活かし、耐用年数の短い内装や設備をメンテナンス・更新していくことで、建物の寿命を延ばし、建物の価値を維持することができます。一般的に木造住宅の構造(スケルトン)は、耐用年数が22年とされており、給排水・ガス設備(インフィル)は15年とされています。具体的には、ダクトや配管を自由に変更できる計画とするために、天井や床下に余裕を持った空間を計画する必要があります。また、上下階をつなぐ配管のためのスペースを設け、メンテナンスしやすい計画にします。間仕切り壁に構造から取り外しやすいジョイントを設け、外断熱を行うことで、断熱性能を維持しながら間取りの変更を行うことが可能になります。これらの工夫によって、老朽化による影響が顕著に出るインフィル部分(例えば、壁紙、風呂やキッチン、トイレの位置、間仕切りなど)を容易に更新することが可能になります。
設計者と住人が一緒に考える将来の姿
なぜ、あまり普及していないのか?
しかし、現状としてスケルトン・インフィルの採用した事例はあまり多くはありません。その理由の一つは、設計者と施工者の間にあるギャップです。設計者はどのような間取りや建物の仕様(各種性能やデザインなど)にするか設計し、それを図面にすることが主な仕事であり、施工者はその図面をもとに施工を行います。しかし、現状では図面通りに施工されているか、またインフィル部分が正しく設計されているかを確認するのは困難です。設備の更新を行う際に、床や天井の中にある配管がどのように施工されているかを確認できることが重要です。そのためには、図面通りに施工が行い、図面の信頼性が高いことによって、スムーズな更新やメンテナンスを行うことが可能になります。ここで必要とされるのは、設計者がスケルトン・インフィルシステムの意図を図面を通じて明確に伝えること、そして住む人自身がそのシステムがどのように作られているか理解することです。これにより、住む人自身が自分のライフスタイルに合わせて空間を変化させることが可能になります。
リノベーションもスケルトン・インフィルのおかげ?
リノベーションという言葉をよく耳にします。これもスケルトン・インフィルによって行える計画と言えるのではないでしょうか。しかし、現状のリノベーションは、インフィルの更新が難しく、大掛かりな工事が必要となる場合が多いです。それに対して、スケルトン・インフィルシステムでは、簡易的な工事で空間の再設計が可能となります。私たちの生活は日々変化し、その変化は自分自身にとって最も快適な環境を追求するためのものです。スケルトン・インフィルシステムを理解し、活用することで、私たちは自身のライフスタイルに合わせた住まいを実現することができます。この新しいシステムを通じて、私たちの住まいの未来がより豊かに、より柔軟になることを期待しています。
おわりに
スケルトン・インフィルシステムは、私たちの生活を豊かにする素晴らしい手段です。「住まい」は、多様な人々のによって生み出されています。これには、それぞれの思いや法規制、経済状況などが複雑に絡み合っています。その中で、スケルトン・インフィルシステムのようなシステムを適応するためには、チームが一丸となることが不可欠です。特に、住まいを実際に使う私たちが一緒になって考え、ライフスタイルの変化に合わせて住環境を適応させていくことが重要です。住宅を購入することは、人生における大きな決断の一つです。一時的な満足だけでなく、長期的に快適かつ楽しく住み続けるために、どのように住宅を選ぶべきかを考えることは重要です。この記事を書くにあたり、多くの方々の著書や記事を参考にさせていただきました。情報を発信してくださっている方々へ、少しでも還元できるように記事を書かせていただきました。ここでは、正確な情報を調べながらも、ここでは建築の話を自由に楽しみたいと思っています。その結果、誤った情報が混じることもあるかもしれません。もちろん、物事を色々な角度から見る人もいると思います。この記事を書くことで、少しでも建築に興味を持ってくれる方が増えてくれると嬉しいです。