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足立区議・白石正輝氏の問題発言


 10月の頭から、足立区議の問題発言がニュースでばんばん叩かれていて、足立区議会がこんなに注目を集める事は滅多にないぞと思った。

 白石正輝区議の主張をしっかりと理解してから批判すべきだと思ったため、LGBT差別としてバッシングを受けた彼の発言を文字起こししてみる。

1989年、平成元年の年に出生率が1.57になった。1.57というのは、丙午の年よりもさらに下がった。この時はさすがに、政治家も、マスコミも、社会も、このままいったら日本はどうなってしまうだろう、そういう危惧を抱いて、日本の国立の、社会保障・人口問題研究所が、このままもし、1.45の出生率でずっと続いたら、日本はどうなってしまうかという数値を示しました。この数値を見て、いわゆる1.57ショック、日本人が大変なショックを受けた。1.45でこのまま続くと、西暦3000年には、日本人は絶滅してしまう。ほぼいなくなってしまう。もちろん足立区民だっていなくなるわけです。
 そういうことで、大変な騒ぎになって、例えば、政治もですね、第一次エンゼルプラン、その後には第二次エンゼルプランということで、子供をどうするか、子供をたくさん産んでもらうにはどうしたらいいかということを、国も地方自治体もあげて、努力をしてきたんです。ところがこの努力が、あっという間に1年ちょっとで終わってしまった。
 国会議員のなかに、「子供を少しでもたくさん産んで欲しい」「最低3人は産んで欲しい」こういう発言をした国会議員がいると、「女性蔑視だ」「国が、産むか産まないかまで関与するのか」「子供を産むか産まないかは女性の権利なんだ」滅茶苦茶に叩かれてしまって、もうそれ以降、誰も子供を産んでくれと言わなくなってしまいました。その結果がどうなったか、皆さん方、十分にお考えを頂きたいのです。
 最近は、1.45でもゼロになるんですよ、千年すると。ところが最近は、足立区は1.2〜1.3を少し超える程度。一番悪いときには1.22です。国だって一番悪いときには、1.29という驚くべき出生率を示すようになりました。
 1.45で千年で日本人が、いなくなってしまう。1.22だったら一体どうなってしまうのか。去年の日本の人口減少率は、新聞等に出ておりましたから、皆さんがたもよくご存知だとは思いますけれども、驚くことに、1年間で51万人減りました。1年間で51万人減った。これは、11年ずっと続けて減ってきてる。まだこれからも減ります。51万人、1年で減ると、250年で1億2750万減ります。今の日本の人口とやや同じです。1億2750万が、今のまま、51万人減った今のまま続いたとしても減ってしまう。まさに日本人は絶滅種族だ。人間は、植物だとか動物、絶滅危惧種として、保護してなんとか増やそうと努力してるじゃないですか。日本人は減らないんですか。
 今の、学識経験者等の話によると、もういまさら遅いんじゃないのかと。1.2台に出生率が落ちたということは、これから産んでくれる女性の数がうんと減っちゃったわけですから。「もう今更何やったって遅い」こう言っている学者もいます。
 しかし皆さん、考えてください。私たちが政治を今やっているのは、将来の足立区民がもっと幸せに暮らせるように、将来の日本人が、今よりももっと豊かになれるようにということで、政治をやっているんじゃないですか?執行機関の皆さん方も、日本人はいなくなってもいいんだ、足立区民はいなくなってしまってもいいんだと思いながら、行政を行なっているはずがない。
 しかも加えてですね、性の多様化だとかLGBTと言われて、性の自由を尊重しようという地方自治体が、あちこちに今生まれつつある。私は、人間の生き方ですから、本人の生き方に対して干渉しようとは思いません。LであろうとGであろうと、本人の生き方に干渉しようとは思いませんけれども、考えてください。こんなことはありえないことですけれども、日本人が全部L、日本人が男は全部G、次の世代は生まれますか?一人も生まれないんですよ。1000年とか200年じゃない。次の世代を担う子供達が一人も生まれない。本当にこんなことでいいんだろうか。私たちは、人間も動物の一種ですから、なんとしても子孫の繁栄というものを基本にして、ものを考えなくちゃいけない。子孫は、どうなってもいいんだという考え方、今後、日本も足立区もどうなってもいいんだという考え方に立ってものを考えるわけにいかない。
 そこで、二つばかりこの問題に絡んで、お伺いをいたしますけれども、足立区の第一回定例会で、当時、我が党の政調会長であった、ただ議員が質問をいたしました。この質問に答えて、指名されてないんですよ、副区長。あなたは指名されてない。ただ議員が副区長どうですかと聞いたんなら、副区長手を挙げていいですよ。そんなこと何にも聞いてない。副区長は熱心に手を挙げて、足立区の出生率の目標は、1.4だと言ったんだ。1.4を目標にして、これからの政治をやりたい。1.45でいなくなっちゃうんですよ。1.4は更に低い数字です。副区長、あなたは足立区の行政の中では二番手の、近藤区長に次いで二番手の立場にある人です。この人が、足立区に区民が一人もいなくなってしまう数字を目標にする。こんなこと許されていいんですか。先ほども言いましたように、日本全体で出生率があって、1.3〜1.4の下の方です。それでも、我が党の政府は、たしかに現実は出生率ひくいけれども、日本の今後を考えたときに、出生率が低いということは、生産労働人口が減るということです。税金を納めてくれる人たちがどんどん減っていく。そして、日本人がいなくなったんじゃ困るから、国は難しい目標だとは言いながら、出生率1.8を目標にしてるんですよ。この事についてはマスコミ等で、副区長はよくご存知だというふうに思います。1.8だからといって減らないわけじゃないんですよ。減るんですよ。今の人口を維持していくためには2.08なければ人口は絶対減少していくんです。それでも、1.8ならば、1000年じゃなくて、2000年、3000年先まで延びるかもしれない。この間に色々と手をうって、日本の安全で安心、経済が発展している、経済が豊かだ、この日本を守っていくためには1.8は必要だ、難しい目標かもしれないけれども、1.8を目標にして、我が自由民主党と公明党の連立政権は、全力で努力をしたい。そう言っている矢先に、私の足元の足立区の副区長が、1.4でいいんですよ、足立区は1.4を目標にしてますよ、こんなことをもし言って、行政が行われていくとしたら、あなたは一体なにを考えてそこに座ってるんだ。区民なんかいなくていいんなら、そこに座る理由なんか何にもない。この事については、担当部長に答えさせずに、あなたが積極的に手を挙げてそう言ったんだから、あなたの言葉で答えてください。なんで1.4でいいと言ったのか、たしかに難しい目標です。大変と難しい目標。難しいから逃げるんですか。これは難しいからやんないよ、ならいくらでもやんなくていいことがあるんだ。いくら難しくても目標は高いところに掲げて、その目標に向かって努力するのが政治家じゃないですか。その目標に向かって努力するのが、少なくとも区長・副区長を含めた足立区の管理職の責任じゃないですか。この事については、副区長、副区長の言葉で答えてください。他の人の答弁はいりませんから。
 もう一つ、これは教育長にも伺いたいんですが、先ほど取り上げたLGBTの問題。まぁBとTについては、これは生まれつきのこともありますから、必ずしもここで色んなことを言うべきではないのかもしれません。でも、L レズとG ゲイについてはだけは、もしこれが足立区に完全に広がってしまったら、足立区民いなくなっちゃうのは、もう、100年とか200年先の話じゃない。私たちの子供が一人も生まれないということですから。次の時代、30年後か40年後にいなくなっちゃう。そのことを考えたときに、性の多様性とか、性を尊重する、そのことはわかります。そのことはわかりますけれども、これを学校教育の中で取り上げたときには、普通の結婚をして、普通に子供を産んで、普通に子供を育てることが、いかに人間にとって大切なことであるか。また、育てている間は大変ですよ。私も3人育てましたけれども、それは大変です。大変だけれども、今になって思うと、その子供達に孫ができて、孫の一番上にはひ孫もできました。そういう状況を見ていると、子供を産んで良かったなぁと、私は今、思います。育てる時は、たしかに大変かもしれないけれども、後で振り返ってみた時に、子供を産んで良かったな、子供を育てて本当に良かったなぁと。ひ孫まだ2歳ですよ。ちっちゃいですよ。もう少しすると3歳になりますけども。この子供の顔を見ていると、この子供たちのために、この孫やひ孫たちのために、この足立区は絶対に守っていくんだ、改めてそういう考えが生じますけれども、教育長、子供を産んで子供を育てることは、経済的・社会的にも大変かもしれないけれども、本当に素晴らしいことなんだ、本当に楽しいことなんだ、そのことを、教育の場で子供たちにしっかり教えないと。
 LだってGだって、法律で守られてるじゃないかなんていうような話になったんでは、足立区は滅んでしまう。そのことをよく考えて、教育の中でこの問題をどう取り上げていくのかについて、ご答弁を頂きたいと思います。

参考:

足立区議会 本会議録画配信

ポリタスTV 白石正輝議員(足立区議会自由民主党)一般質問 - 足立区議第3回定例会(2020年9月25日)

 以上が、白石正輝足立区議会議員(自民党)による、本会議での質問である。この白石区議の発言について、いちおう東京の地方紙である東京新聞の記事を確認したところ、このように書かれていた。最初の段落を以下に引用する。

東京新聞
同性愛広がれば「足立区滅びる」 白石正輝・自民区議が議会で発言
2020年10月03日 19時44分

(魚拓https://archive.vn/xX9c6)

 東京都足立区議会で9月、自民党の男性区議がLGBTなど性的少数者に関して、同性愛が広がれば足立区は滅びるとの趣旨の発言をしていたことが分かった。区議は本紙の取材に発言を認め「少子化の中、子どもを産み育てる大切さを教育の場で伝えてほしいとの趣旨だった。差別する意図はない」と釈明した。当事者らからは認識不足や差別的だとの批判が出ている。 (奥野斐)

 私には、この記事が事を煽っているように思えてしまう。足立区民の私でさえ、足立区議会の議事録を見る事は滅多にない。それを、日本全国、はたまた世界中の人々が、報道によって簡略化された発言だけを、インターネットで見てしまうのである。

 もう一度、東京新聞の表現を見てみよう。

“自民党の男性区議がLGBTなど性的少数者に関して、同性愛が広がれば足立区は滅びるとの趣旨の発言をしていたことが分かった。”

こう書いてある。だが、白石区議は質問の中で、「こんなことはあり得ないことですけれども」と、先に断りを入れていた。この一言があるかないかでだいぶ印象は変わると思われる。また、白石区議の発言にある「性の自由を尊重しようという地方自治体が、あちこちに今生まれつつある。」という部分だが、東京都では、同性カップルに対して、結婚に相当する関係を認める証明書を発行する自治体が、ここ数年で増加している。それはいい事かもしれない。しかし、同性パートナーシップ制度をすでに導入している地域は、渋谷区、世田谷区、中野区、府中市、江戸川区、豊島区、港区、文京区と、どこも足立区より金持ちである。足立区は、23区でビリなだけでなく、東京都◯◯市や、◯◯村にも負けるほどに金がない。

 足立は、渋谷や世田谷のように、芸能人が稼げるようになってからもずっと住みたいと思う街ではないのだ。下積み時代に仕方なく住む街、それが足立である。それを理解していれば、白石区議を激しく責める事は出来ないのである。失言である事はもちろん認めるし、あの発言に当事者が怒るのは至極まっとうである。

 子を持つことが出来ない私は、足立区で子を持ってくれる人達を神だと思っている。多くのLGBTたちも、子を持つ人(シスヘテロに限定しない)のことを尊敬し、感謝していると思う。白石区議の発言は、LGBTについての失言以外は、大事な主張だったと思う。

 私が子供の頃は一人っ子が少なかった。子供の頃の友人は、多い順に、2人きょうだい→3人きょうだい→ひとりっこ→4にんきょうだい…。それでも現役世代の税負担はじわじわと上がっている。

 シスヘテロの人も、LGBTの人も、いつ介助が必要な体になるかわからない。人々が歳を重ね、命の危機に瀕する時、年下の人が助けてくれる事で社会は回っているのである。災害時に現場までやってきて、救助してくれる救急隊員・消防隊員・自衛隊員たちの平均年齢は、救助される被災者の平均年齢より低いだろう。

 LGBTかシスヘテロか、子持ちか子持ちでないか、という事は抜きにして、日本の人口減少の問題はみんなで考えないといけない。

 私は多様性を大事にしたいので、白石区議の今回の発言は非難するが、足立区民として、白石区議の辞職は求めない。なぜ、彼が11期も足立区議会議員を務めているのか、これまでの功績があるからだろう。足立区民が選挙で選んだ区議にたいして、区外の人たちが「辞めろ」と言っているのがとても不快である。本当に辞職させたいのなら、足立区民がリコール署名をすれば良い(沖縄などは、政治目的での移住者が多いため、対策を練るべきだとは思うが)。SNSやメディアを使って、国会議員や評論家たちが世論を煽るのはやめるべきだ。

今回の件を、アベプラが取り上げた際、コメンテーターの一人であった夏野剛(ドワンゴCEO)氏が、「足立区民が恥を知るべき」と言っていたが、私は白石区議に投票した事はないし、足立区の新日本婦人の会(日本共産党の支持団体)も白石区議の発言に抗議していた。

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 「足立区民」は69万人いる。全員が白石区議を支持しているわけがない。居住地で人を批判するのは差別ではないだろうか。

 私は、足立区議会議員のTwitterを選挙後に全てチェックしたのだが、立憲民主党・銀川ゆい子議員は選挙期間からしばらくすると、アカウントを非公開にしてしまった。私の知り合いは、足立区民としてフォロー申請をしたにもかかわらず、断られてしまったようだ。この出来事が、1人にだけ行われたとは思えない。選挙より前に起きていたら、区議選での彼女の票はあそこまで伸びなかっただろう。自身の選挙区に住む人を拒否する区議会議員の公式アカウントなんて無い方がましである。そして聞いた話によると、彼女は白石区議の問題発言について、区議会の動画のリンクをツイートしたものの、自身の言葉では批判をしなかったのだ。彼女は、2019年の区議会議員選挙で得票数第1位(8018票)だ。白石区議は15位(4640票)である。足立区の代表として、銀川区議が区議として、白石区議を批判するべきではないのか。銀川区議よりも、彼女の周りの活動家が、白石議員を批判していたのでは、区議としての存在が無意味ではないか。

 日本共産党足立区議会議員のぬかが和子氏は、しっかりと区議会議員としての立場をもって、問責決議を提案したそうだが、広報誌で確認したところ、“「LGBTで足立区が滅ぶ」と発言し全国から怒りが殺到した白石議員は(…)” と書かれていて、正しい情報を伝えていなかったので、これにもげんなりだ。鍵カッコを使うのであれば、白石区議の発言そのままを載せるべきだろう。そのまま載せないのであれば、せめて東京新聞のように、“LGBTなど性的少数者に関して、同性愛が広がれば足立区は滅びるとの趣旨の発言”といった表現を使うべきだ。

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 結論として、白石区議の発言は間違っていたが、多くのメディア、足立区議の批判の仕方も間違っていたため、事態は良い方向に進まなかったという例を見させてもらった。

 ふだんは新聞・テレビの偏向報道を第三者として見ていたが、自分の住んでいる地域の住民全体を偏向報道されるととても不快である。




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