UV材料の可能性

この前、材料屋さんのUV講習会に参加しました。
3年ぐらい前に出て以来かな。
結論、この間の2・3年でUV(光硬化材料)はグッと使いやすく値段も落ち着いてきた。と実感しました。

今でこそ当店もUVを取り入れていますが、数年前はパテも、照射機もかなり高価であまり選択肢がなく、様子見というスタンスでした。しかし現在は手頃な値段(と言っても10万~)でしっかりと硬化させる照射機も各社リリースしていますし、パテも用途や好みで選択できるようになってきました。

鈑金塗装だけに目を向けると、UV材料=塗料メーカーや材料屋から買うパテ・サフの事だけにおもわれますが、アマゾンなんかで調べると様々な用途の物があることに気が付きます。
手芸に使われるUVレジンなどは飛石による色剥げの簡易補修にも転用できますし、UVで硬化するシートなんかも欠損したバンパーやFRPの補修に使えます。
使えるUV材料の出現と進化で、ボディの穴埋め等も比較的容易にできるようになりました。
以前はボディの穴埋めといえば溶接が主流でしたが、溶接のための準備やスパッタのリスク、溶接後の錆の発生など考えると気が進まないのも本音でした。もちろん強度が必要な箇所は溶接を使いますが、そうではない箇所にはUVで。というように、選択ができるのはとてもいいことです。しかもUV材料は塗布して光を照射するだけなので手間もかかりません。
UV材料の進化に加えて様々な副資材がネットで簡単かつすぐに手に入るようになったこと。SNS等で使い方や応用の仕方が無料で見れることで、何が必要でどういう手順を踏めばいいのか?といったこともあまり困らなくなりました。

用途はアイデア次第ですが、UV材料の本当の利点は圧倒的な時短にあります。
パテで言えば、従来の2液パテでは必要分を計量し混ぜ合わせ、塗布してから熱を加え、硬化したら冷まして研磨という手順が必要でした。
ところがUVは、塗布して照射すれば硬化は終わりです。
硬化剤を入れないため混ぜ合わせ量の誤差による品質のバラツキも心配ありません。誰が使っても同等の品質になります。そもそも混ぜ合わせる必要が無いのでその時間もカットできます。
2液のパテでは塗布後のパテベラの清掃や再利用不可の余ったパテの処理など少しの時間だけど確実に必要な作業もあります。
それもUVでは解消しています。
そもそも硬化剤が不用なので必要な分のパテだけを塗ればいいのです。
余ったパテはパテベラごと光の入らない容器に入れておけば次回はそのまま使えばいいだけです。

今までと同じか、それ以上の仕上がりがより短時間で誰でも可能になる。という事は品質も安定しますし、加えて時間に余裕が生まれます。
時間に余裕が出てくると今までもう少し時間をかけて追及したかった工程にその時間を充てて品質改善が出来たり、残業を減らすことが出来たりと好循環を生むことができます。
UVパテだけに限らず、UVサフも同等の効果があります。
UVパテ+UVサフにすると今日塗装できるか分からない、残業してギリギリ塗装できるかな?なんて仕事も時間内で収まったりします。
これ、UVパテを使う十分なインセンティブになると思いませんか?

時間自体を増やしたり減らしたりはできませんが、材料を見直してUVを導入すれば今まで必要としていた作業時間の圧縮が出来るというわけです。

いやいや、だってお高いじゃん!という人も居ますが、UVパテ1缶、照射機10万~は使うと安く感じると思います。(自分はそう感じています)
従来のパテを塗って乾かしている間に3倍以上の仕事量をこなせるし材料代に以前より利益を載せて価格転嫁できます。
仕事はより早く進み請求は多く出来るわけです。
手間をかけて仕上げた仕事にこそ価値がある。みたいに思い込んでいる人がいますが、それは職人視点の思い込みにすぎません。
いかに手間をかけずに高付加価値の物を売れるか?という風に考えを変えなければ一生儲かりません。儲からなければ事業の存続もできなくなります。
昔勤めていた社長に「鈑金塗装は慈善事業じゃねぇ!!!」と言われたことがありますが本当にその通りだと思います。儲けあっての鈑金塗装なのです。

ちょっと話が逸れてしまいました。

今でこそUV 製品をメインで使用していますが、2液のパテが悪い!ダメだ!というつもりは全くありません。自分もまずは取り入れてみて使い、2液と併用するところから始めました。それぞれ利点や悪い点があります。
現在もパテはUV、サフは2液や、その逆も試したりしている最中です。
確かに全く知らない材料を安くない金額で導入して使わなくなる。というのは避けたい気持ちも分かります。
でも新しいものには積極的に投資をしてまず使ってみるのが大切だと思うのです。使ってみてダメならやめればいいだけです。
使う前にダメな物と決めつけずにぜひUV試してみてください。

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