MAZDA46Gを補修して感じた必要な失敗とは
マシーングレープレミアムメタリック
“機械が放つ精緻な美しさの追求”をテーマに、コントラストの力強さと表情の緻密さを高次元で両立。光が当たる面全体が強く輝き、そうでない部分は鉄独特の力強い黒色に。https://blog.mazda.com/archive/20200821_01.html(MAZDA HPより)
MAZDAのこだわりが詰まったこのカラー、同じMAZDAソウルレッドクリスタルメタリックと並んで難しく厄介と言われているボディーカラーです。
初めて塗装したのですが、実際塗装をしてみるとすごく難しい。と表現するより
下準備から塗装完了までかなりの時間を要する。
というのが印象に残る色でした。
難しいというのは恐らく塗り慣れていないという経験値の無さからくるものだと思われます。
それよりも単純に、塗る範囲を広く取る必要があったりとか、何層も色を重ねるという事によるゴミ付着のリスクや塗膜トラブル等気を付けるポイントが多い分作業にかかる時間も増えめんどくさいな。というのが本音かな。と思います。
じゃなぜ通常のカラーより時間がかかるのか?
手前でも触れましたがより細かく理由を見ていきましょう。
※使用した塗料はアクサルタセンタリ6000です。塗料メーカーによって塗装方法や配合は変わると思いますが、目指す仕上がりは同じです。
この46Gという色、メタリックという名前こそ使っていますがホワイトパールと同じ3ステージカラーです。
しかし、メタリックベースの工程に特殊な点が挙げられます。
通常のメタリックカラーは2ステージと言って、
メタリックベース→クリアーの2ステージで済みます。
ですが46Gは、
カラーベース→メタリックベース→クリアーという3ステージ必要です。
特に2ステージ目のメタリックベース塗装は極薄、均一な塗膜を複数回塗る技術が求められます。
必要な塗膜を得るために300〜400%に希釈されたメタリックベースを3・4回ムラなく均一に薄く塗装する必要があり、塗装完了まで通常塗装の倍以上の時間を要しました。
それはメンタル的にも技術的にも負荷の多い塗装ということになります。
ちなみに通常のセンタリ6000の希釈率は40%程度、2回コートで色が染まる濃さです。
つまり10倍に薄めたメタリックベースを4回塗装しても、通常塗装の1コート分にも満たない。という事になります。
それは極端に隠蔽の悪い色という事でもあります。
そんな理由から、下地に黒のカラーベースを入れる必要があるという事です。
今回の修理はリアドアの取替ですが,塗装は側面全てを想定しました。
MAZDAさんのブログにあるように、この色はMAZDAにしか出せない。
従来の技術では生み出せないさまざまな特性の上に成り立っている色。
だという事。
自動車メーカーが優秀な人達にタップリ時間とお金を投入して作り上げた塗装。
それを一個人がいきなり短期間で再現できる。と考えるのは無理があります。
頻繁にこの色を塗装しているならまだしも、数年に一度塗るか塗らないか?の色をぶっつけ本番でやって上手くいくはずもありません。
ですので、完璧を目指すより70点ぐらいで雰囲気を出す。方が結果いいのではないか。という結論に達しました。
ですが70点といっても、手抜きで仕上げるという事ではなくて、機械で塗ったようにはならないけども、限られた時間で工夫しコツを掴んでより近い感じに仕上げる。
ということです。
ロボットが塗装している薄膜な塗装を人がやってもうまくいきません。
この色特有の無機質で均一なメタル感を出すにはプログラムで決められた一定のガン距離・パターン重ね・吐出、それに加えて塵一つないクリーンな塗装環境と整った完璧な下地が必要です。
その全てを個人で再現するのは現実味がありません。
現実問題、今ある設備や道具で対処するほかないのです。
設備がとか環境がとかグダグダしていても埒が開かないのでとにかく進めます。
そこでとりあえず塗ってみて、一度前向きな失敗をする必要がある。と思いプランを立てて進める事にしました。
まずテストピースを作成し、だいたいの色の特徴を掴んでリアドアをブロック塗装します。
ブロック塗装は本番ですが、46Gの失敗パターンを洗い出すための実験的な塗装という位置づけで塗ります。
当然色合わせもするのですが、この時に掴んでおきたいのは、
メタリックの塗り方で仕上がりがどう変化するのか?
というところです。
色自体の配合に沢山の原色は入っていませんので、ほぼメタリックの塗り方次第で仕上がりが左右される感じになります。
この46Gというボディーカラーは車全体を見たときにプレスラインや角度で変わる陰影を楽しむ、もしくは感じさせる。そういうコンセプトのカラーなのでそこをどう再現できるのか?
というのが最大のポイントだと思います。
偉そうに講釈をたれましたが、自分も完璧にできた!とは思っていません。
腕に自信のあるペインターさんはブロック一発決めにチャレンジするのも楽しいと思います。自分はそのつもりでいつも他の色なども挑戦しますがだいたい誤差が出ます。
その後リアドアを仮組し、隣接パネルとの誤差・テストピースとの違いを確認して再補正した後、側面塗装にフィードバックさせてキッチリ決める。
と言うものです。
この手順を踏むことで、ぶっつけ本番で側面塗装失敗という大惨事を回避できる可能性が高まります。
一度リアドアのブロック塗装をすることで46Gの免疫ができるのと、ミスったポイントを洗い出し、対策を打てる状態で側面塗装に臨むことができるからです。
どうですか?46G克服できる気がしてきませんか?
重要なのは、必要以上に恐れない事、とりあえず塗装してみて自分の思っていた感覚とターゲットとしている塗装との誤差をどう補正するか考える事だと思います。
続きは「MAZDA46G塗装を失敗しないコツ」で実際の塗り方、ガンのセッティングなど書いていこうと思います。
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