鈑金塗装のデジタル化を難しく考えないこと
どこもかしこもDXDX!と言われて久しいですが、なんかそういう事やってますか?
お宅の会社もデジタルトランスフォーメーションせいや!って言われたって何したらいいの?って感じですよね。
まあ、DXなんて言われても広義過ぎてわけわかんないですよね。
だからいきなりDXなんてしようとせずに、まずどういったことがどういう風になれば自分が楽になって業務がスムーズになるのか?
どうしたら時間的にも金銭的にも余裕を持って鈑金塗装ができるようになるのか?
そのためにはどこにデジタルを取り入れるのか?
というような事から想像していけばいいと思います。
自分もバキバキデジタル化に詳しい訳じゃないんだけど鈑金塗装においてこれはやってよかった。と思うデジタル化を何個か紹介します。
デジタル化なんて言うとそんな高度な事できませーん!て思われますが、簡単な事から始めて出来る範囲でデジタル化するだけでもだいぶ仕事の流れが変わるんじゃないのかなと思います。
一つの事ができたら少し余裕が生まれるので、出来たその余裕で次のデジタル化を考えてみる。というのが良い流れです。
決して鈑金塗装の全部をいきなりデジタル化しないと時代に遅れる!とかダメとかそういう事じゃないんですね。
そもそも手仕事がメインの、人の技術や知識に頼らざるを得ない鈑金塗装の業務をフルデジタル化するのは無理があります。
ペッパー君に鈑金しろ!って言ってもできませんし、塗装ロボ導入したところでマスキングには人が必要です。
サポート的にデジタル機器を取り入れたり、生産性の高い材料等を使う事で負担を軽くする事ができる。
その結果、技術者がより現場に注力出来て、よりいい仕事が短時間でできる環境にしていくというのがデジタル化の狙いです。
例えば紙に手書きだった物をデータにして保管すれば場所も取らず劣化もせず見たい時にすぐ見れるようになります。
一から手作業でやっていた事をいい感じの所まで機械でやってもらって仕上を人の手でやりましょう。
とか、自社情報をグーグルマイビジネスに登録する。
とかも言えばデジタル化という事なんですよね。
過去はそれぞれに担当が必要だったことも、デジタルの仕組みに乗っかることで手間も人手もかからず出来るようになる。
現場が1人のような小さい工場でも集客はSNSとHP、連絡はLINEに。そして現場は生産性の高い材料を使って回すというのも普通に成り立つのが今の鈑金塗装です。
鈑金塗装の担い手が減る中こういったデジタル化を少しでも進めていくというのは自分自身の負担を少しづつ減らす。という事でもあるんですね。
当然、負担が減れば余裕が生まれます。
鈑金塗装をしていてめんどくせーなーと思う事柄あるじゃないですか。そういうのを代わりに誰かやってくれたら自分がどんなに楽か?と思う事ありますよね。
100%とは言わないけど7割ぐらい自動化できたらよくないっすか?
だって自分という資源は一日24時間しか持ち時間がありません。
更にその内8時間は睡眠で、もう8時間は食事や生活で消えるとすれば実質仕事に使えるのは8時間しかありません。
この辺の考え方や時間の使い方は人にもよりますが。
実際、納車引き取り、見積り、写真撮影、FAXの送受信に塗装する為に調色もしないと・・・なんてやってたら8時間はソッコーで溶けます。
その中でどのように効率的に時間をやりくりするのか?が問われているという訳ですね。
鈑金塗装という仕事は自動車の事故修理がメインな事がほとんどなので、非常にイレギュラーな仕事の入り方になりがちです。
いつ、どの瞬間に事故が起きるか分からないものに対応しなければなりません。
特に少人数で仕事をしている場合、今日はここまでやろうと予定を立てて進めたとしても途中で事故車の入庫があったり、見積もりを求められたりほとんど予定は意味をなさない日もあります。
つまり、イレギュラーに対応するためにはこちらにも余裕が必要という事になります。余裕を作るためには積極的にデジタル化を進めて余裕を捻出する必要があるという訳なんですね。
そこで結果が同じであれば従来よりも高速化できるものや、何回も同じことをしないで済むように考える必要があります。
見積りなんかは最たる例で、時間をかけて手書きで丁寧に作る物ではありません。時間をかけて書いても終盤で誤字脱字に気が付いて修正したり最悪書き直しなんてしてたら見積りだけで恐ろしいほど時間を気力も奪われます。
そんなことやってたら見積書を書き直している間にできたであろう現場の仕事は後回しになってしまいます。
そのしわ寄せは夜中まで残業みたいなことになってしまいますよね。
だったら見積もりソフトを月数万で導入してサクッと作成してください。
そこで産み出された時間を他の事に活用する。
デジタル化する醍醐味っていうのはこれの連続です。
仮に同じ見積りに時間を使うとしても、見積りを作る事より、見積りの内容自体に時間を割くべきです。単調な見積りより、それぞれのお客さんに合わせた伝わる見積りを作る方が価値があります。
考える事に時間を使い、作る事には時間をかけないというのが大事です。
どうせ夜中まで残業するなら、出来るところはデジタル化して効率を高めたけども、それでも現場仕事が追い付かないほどたくさんあるって状況の方が良いですよね。
そこでまず、簡単にデジタル化できるもの、簡単にデジタル化が
出来ないものに分けて考えましょう。
デジタル化できるもの
・見積り
・FAX
・調色
デジタル化できないもの
・鈑金
・塗装
・来客対応
・納車引き取り
だいたいこんなことでしょうか。
余談ですが自動運転技術が普及すれば納車引き取りも軽度な損傷であれば自動化できそうですよね。
さて本題に戻ります。
言ってしまえばデジタル化できるものも、デジタル化できない現場仕事も無茶苦茶効率化が出来さえすれば生産性は上がる訳です。
今まで1時間かかっていた事が、30分で同じ事ができるようになれば従来の倍仕事ができるようになります。
そこで先ずは誰でも簡単にプチデジタル化というか、半デジタル化ともいう感じでできるものから取り組んでいきましょう。
最初は見積りです。
手書きの見積書と現像した写真を郵送やFAXで送るのはやめましょう。
見積りソフトで作成した物をPDFで保存し、データをLINEで送りましょう。
損傷写真や途中経過も同じくLINEで送りましょう。
なぜLINEか?ですが、大多数の人がLINEでやり取りをしているからです。
LINEは議事録にもなるので、言った言わないなど後々のトラブル回避にもなります。添付したPDFや画像は必要に応じて相手がプリントアウトすればいいだけです。
LINE内であれば紙によくある探す手間や紛失の可能性がありません。
また、トークルーム内で一定期間を過ぎると見れなくなってしまう画像データは、ルーム内にアルバムを作成しその中に損傷画像や途中経過の画像を追加してあげれば半永久的に見直すことができます。
LINEで位置情報を送ってもらえば、事故の引取に現場に行く時も迷いません。
お次はFAX。
自動車業界FAX大好きですよねー。
なんでもかんでもFAXFAX、部品の図面や保険の案内に見積り。どこからか送られて来るチラシ。
それ全部を自分のとこの金で買った紙に高いトナー使ってプリントアウトする必要ないですよね。
誰に何を伝えたいのか?にもよりますが、FAXで出来る事は全部LINEに置き換えられます。LINE使いましょう。
取引先がFAX主体の時がありますが、その場合はPCFAXが便利です。簡単に言うとFAXの送受信をデータで出来るという物です。
なので紙不要となります。受信したFAXは自動的にPC内のフォルダーに入るので、本当に紙で必要な物だけプリントアウトすればいいという事です。
送信時も送りたいPDFを選んで相手に送ります。
すると相手のFAXが受信し、紙なりデータなりでアウトプットされます。
この辺は仮に自分のとこだけデジタル化しても取引先が紙文化のままなんてこともあったりでまだまだ障壁は多いですね。
最後は調色。
これはもう各塗料メーカーが出している測色機を導入しましょう。
初期費用高いけど¥○,○○○,○○○ー
でも少人数で仕事してるとこなら1年以内にペイすると思います。
コツはひたすら使い込む事一点です笑
測色機は測った通りの色を再現するものではありません。
1から探りながら調色するところを、測色機を使えば7とか8からスタートできるという感じの物です。
ゴルフでいえば全ホールショートコースみたいな感じです。全コースワンオン狙えます。
たまに超ロングコース引くときもありますが笑
サッカーならキックオフが相手ゴールエリア前から出来るみたいな感じ。キックオフゴール狙えます。
たまに自陣エリア内キックオフもありますが笑
その状態に価値があると思うかどうかはその人次第ですが、自分は導入して良かったと思います。
せっかく色見本を見てデータどおり調合したのに全然違うじゃん!ってめっちゃ遠いとこから近付ける時間、だけど結局ダメで新たに違う調合で作り直ししてたら時間も材料も無駄になります。
極力そういうの減らしたいですよね?
新人に調色させるのにいい。という意見もありますが、自分はどちらかというとある程度調色で苦労してきたペインターの方の方が使って得られるものが多いと思います。
それは今まで自分が培ってきた調色の見方に加えて最新のデジタル機器で読み取った配合との誤差を感じれるという事です。
それだけで2つの視点から同じ色を見る事が出来るので偏りが減るというのと、どうしてこういう配合になるのか?という事を改めて考える事が出来るからです。
さあさあさあ!まだまだ書きたい事ありますが4,000文字も近くなったので今回はこんなとこで。
ではまた。