見出し画像

まちとかわの関係を考える連載、はじめます

こんにちは、都市整備課です。
本日プレスリリースがあり、R5年1月から関東地方整備局に「流域治水推進室」という組織が設置されることになりました。

私たち都市整備課のメンバーも、数人、流域治水推進室の一員として働いていきます。そんなこともあり、今回は、雨や街、川の関係について、いまいちど考えてみたいと思います。

 近年、雨の降り方が変わってきています。河川整備の考え方も変わってきており、都市整備の考え方も変わることが求められているんじゃないかと日々感じてます。
 そんなとき、この動画に出会いました。この動画では雨と川と都市の関係性の変遷や目指す方向性が描写されています。フランスのローヌ地方・地中海・コルシカ島水資源機構が作成したそうです。

 日本、特に関東地方・首都圏近郊では、開発圧力が高く、これまで雨水の貯留・浸透を担っていた田畑や緑地がどんどん市街地に変わり、コンクリートやアスファルト舗装になっています。未来に持続可能なまちづくりのためには、私たち都市整備部局はどんなことを考えて、実行していったらいいのか。そのきっかけやヒントになるようなことをnoteを通じて発信していきたいと思います。正解があるテーマではないと思います。一緒に考えるきっかけになれれば幸いです。

さて、みなさんは「流域治水」という単語を聞いたことはありますか?まちづくりの分野でも一つの大きなテーマになっています。
まずはじめに、今回は「流域治水」とはなんぞや?というところから、一緒に学んで行ってみましょう。

雨の降り方が変わってきている?

「近年、雨の降り方が変わってきている。」というのはよく聞くフレーズではないでしょうか??
関東地方では、「令和元年東日本台風」が記憶に新しいところで、関東管内の各地で堤防が決壊したり、内水浸水被害が発生するなど、多くの地域が水害に見舞われました。
毎年のようにいままでの過去最大を上回るレベルの豪雨災害が発生しています。

(出典:国土交通省「流域治水」の基本的な考え方

雨に降られる”街”も変わってきている?

これまでは河川管理者が中心となって、堤防や遊水地の整備などの治水対策を講じてきましたが、それだけでは追いつかなくなっています。雨の降り方だけではなく、河川沿いエリア”流域”の市街化が進んでいることも要因といえます。流域とは、降った雨がその川に集まる範囲のことです。

流域のイメージ(出典 川崎市高津区HP「エコシティたかつ」)

 昔(左側の流域未開発時)は雨は一度田畑で受け止められ、また、そこで地下に浸透され、降った雨は徐々に少しずつ河川に流れて込んでいました。
 それが、現在(右側の現在)では、都市の多くが市街化・舗装され、雨を一時的に受け止めたり浸透させる場所がなく、昔よりも多くの雨が、一斉に河川に流れ込むようになってしまっているのです。

鶴見川 鶴見川流域水委員会 資料より

 例えば、東京都および神奈川県を流れる鶴見川の流域では、昭和40年頃は一帯に降った雨が、川に流れ込み、増水するまで、約10時間かかっていました。それが昭和50年代半ばには、市街化が進んだことにより、雨が降ってからたった約2時間で川が増水するようになってしまいました。

 下のグラフは雨が降ってから増水までの時間と、増水ピーク時の流量の関係になります。昔が薄緑色で、現在が青色です。簡単に言うと、昔はゆっくり増水して水量はそこまで増えなかった、それが現在では、一気に増水してピーク時の水量も増えてしまったのです。川から水が下流へ流れていく前に、どんどん入ってきてしまう、ということですね。

鶴見川 鶴見川流域水委員会 資料より

鶴見川の話に戻ります。鶴見川は東京都町田市から神奈川県川崎市・横浜市を通って東京湾に流れています。下の図は鶴見川の流域(鶴見川に降った雨が流れ込む範囲)ですが、昭和のころよりも市街地が増えていることがわかります。先ほどの話のような、雨が降ってから増水するまでの時間も短くなるし、ピーク増水時の水量も増えてしまうことも頷けますね。

鶴見川 鶴見川流域水委員会 資料より

街や田畑での対策も必要!

気候変動にともなう水災害リスクの増大に備えるために、河川だけでなく流域全体で治水対策を行っていく必要が出てきています。繰り返しになりますが、流域とは”降った雨がその川に集まる範囲”、つまり街や農地、森林エリアが含まれています。これらも含めて、洪水対策をしていこう。この動きが「流域治水」となっています。
流域には、都市や市街地も含まれるため、河川整備と一緒になって、まちづくりを考えていく、ということが重要になっているのです。

流域治水とは流域全体で取り組む治水(出典:国土交通省HP

おわりに

「流域治水」、なんとなく伝わりましたでしょうか??
私たち都市整備課もひとごとじゃないんですね。では、都市部局としてはどんなことを実践していけばいいのでしょうか。うーん・・・即答できません・・・もう少し勉強する必要がありますね。
 都市部局としてできることを考えるために、次回は同じ関東地方整備局内で河川整備をしている河川部河川計画課の担当者の方たちに、「流域治水」についてインタビューしに行きます。
どんな話が聞けるのか、楽しみです!下の動画で予習しておきます_φ(・_・