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地方中小企業の組織文化にアップデートがいまこそ必要な理由

異文化とのビジネス

先日、ビジネスと異文化適応力に関する本を読みました。この本は「異文化に対してどう上手く付き合ってビジネス結果を出せばいいのか?」という事について書いた本でとても面白かったです。

「文化」は芸術や伝統文化を示す事もあるのですが、この本では文化を「暮らし方、制度、感情の表し方や抑え方、コミュニケーションの仕方など、ある1つの集団のなかの固有なルール」と定義しています。

そして、「異文化の特徴をどうやって評価すればいいんだろう?」という問いに対して、6個の基準で文化を評価するフレームワークを利用します。評価といっても、良いとか悪いではなく、集団の特徴を知ることで仲良くすることに役立ててね、と言うことだそうです。

■ホフステードの6次元モデルの評価軸

①人間は平等ではない⇄人間は平等
②集団主義⇄個人主義 
③生活の質の重視⇄人生での達成を重視 
④リスクを避ける⇄リスクを受け入れる 
⑤短期思考⇄長期思考
⑥人生は禁欲的に⇄人生は欲望のままに

※わかりやすくするために、私の方でかなり語句を書き換えてます。左の項目寄りか、右の項目寄りかを上の6個の軸で評価して文化の傾向を見ます。
経営戦略としての異文化適応力 ホフステードの6次元モデル実践的活用法   宮森 千嘉子

例えば、アメリカだと、①人間は平等、②個人主義③人生の達成を重視、④リスクを受け入れる、⑤短期思考で、⑥人生は欲望のまま、と言う傾向があります。

ですので、例えば、アメリカ人の部下に「上司の言うことは無条件に聞くものだ。」と言うのはアメリカの人は①の項目で人は平等と思ってので反発されるし、「明日は休みだけど納期遅れるから出てこい」というのは、②の項目で集団の都合より個人の都合が優先される文化にいるので、無条件には聞いてもらえないでしょう。

「アメリカ人は上司を尊重しない」とか「怠けものだ」と言いたくなるのかもしれません。ただビジネスで成果を出すためには「あいつらは〇〇だ」とバッサリ諦めるのではなく、異文化の特性を知り、異文化に受け入れやすい形でビジネスを進めなくてはいけません。文化というファクターがビジネスの中で重要になっていると言えるでしょう。

文化評価の中小企業組織への応用

そして国や民族ごとに文化があるように、同じ国や民族の中でも地域や組織単位でも上記のような文化の違いがあります。スタートアップと官公庁では組織文化が全然違うのはイメージしやすいんじゃないかと思います。

そして今、多くの企業、特に地方の中小企業は「組織文化と社会のギクシャクさ」を抱えています。「うちの会社のカルチャー時代遅れだよね」と、組織文化を時代に合わせて変えていかないといけないんじゃないかという危機感を持ってる人も多いんじゃないかと思います。

ややステレオタイプですが、日本の中小企業では
❶上司の言うことは絶対、
❷個人の都合より会社のために忠誠を尽くすべき(集団主義)
❸会社の目的達成のためには家庭は二の次(家庭より仕事の達成の重視)、
❹リスクは可能な限り避けて計画通り進めたがる、という傾向あるのではないでしょうか(⑤⑥は中庸でしょうか)

ただ、今の社会では特に上記でいう❶-❹のような「日本の中小企業的」カルチャーは忌避されます。社会の停滞と社会の個人主義へのシフトもあるでしょうが、このような組織には優秀な人は来てくれないですし、中の社員の幸福度も下がってしまいます。以前はこれで良かったのに、今はこのアプローチでは「ブラック企業」となってしまいました。

かつての市場が拡大し続けており、若い人もたくさんいた社会では「日本の中小企業的」カルチャーが会社の拡大には最適解でした。ただ、市場が縮小し、少子高齢化でヒトの価値が上がったいまの社会と採用市場に合わせるため、そして何より今の社員の幸福度を上げるため、組織文化を意識的にアップデートしないといけません。

一般的な理想的な組織文化を想像すると、
①フラットで上司と部下はカジュアルな対話ができ
②個人を尊重してくれて
③達成も生活もどちらも大事にしてくれ
④リスクやチャレンジを受け入れてくれる
そんな組織文化を持つ会社かもしれません。

Yahooが全社員にリモートや地方ワークを認めましたが、それはいち早く組織文化のアップデートに危機感を持って取り組んでる証左かと思います。

自分の会社を見るとまだまだな部分が多いです。組織文化は過去の成功体験にもリンクしているし、上の世代に今の社会の空気感とのズレを伝えるのもなかなか難しい。なりたい方向をしっかり決め、今の経営層が粘り強くマネージャーを教育し、かつ社員と対話していく事で組織文化をアップデートする取り組みが今こそ必要かと思います。

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