13日の金曜日(2009)
マグさんと見た!今週はこれとリングで正統派ホラー週間です。
多分1作目が5分で終わってる
1〜4作をまとめたリバイバル版の2009年制作をみた。初めは「約90分×4を93分のにまとめて大丈夫なのか…?」と思っていたけどジェイソンの性質上大丈夫だった。
今回初めて知ったし、リバイバルの都合かもしれないけど13日の金曜日って「パニックホラー」っぽくない。つまりタメと引きと遊びが全然ない。躊躇いなく襲ってくる暴力が純粋に恐ろしい映画で、淡々と人が殺されていく様がめっちゃクールな映画だった。もちろん被害に遭う大学生はパニックになってるし怖いのでパニックホラーなんだけど「逃げられる/勝てる かもしれな…あああ死んだ!!」みたいな余地がなくて1人になった時点で敗北が決まってるので「どうなるかわからない」タイプの怖さはなかった。ジェイソンの狩人というか復讐を遂げる覚悟の鋭さと丸太みたいな首の太さからくる筋力に震える映画だった。
今回見たリバイバル版だと冒頭と口頭でしか語られない「頭がおかしいといじめられた男の子のお母さんが人を殺して最後の1人に返り討ちにあい、残された息子に復讐を託した」という悲痛な話が多分1作目で、そこから1陣目が妹以外全滅して〜っていうのが2〜4なのかもしれない。何もわからない。面白いことはわかる。
この構成、ジェイソンの生い立ちはなんとなくわかる母親という弱点も開示されるので一見理由のわかる恐怖に思えるし「頭がおかしくて」みたいな下りで「策略でジェイソンを撒くのかな」とか思うけど実際のジェイソンは戦闘IQがめちゃくちゃ高いし電波の通らない山の中に電気引いてるし1〜4を合わせたバージョンだっていってるのに1回も背後を取らせてくれない。嘘みたいに頭がいい。あと単純に被害に遭う大学生がアホ。アホというか…アホではなくて…至って普通の大学生なんだけどジェイソンが出てきた時点で酔ってたりセックスしてて裸だったりしてかなり不利な場面が多い。
序盤の大学生が果てしなくアホの描写、確かにこの人たちが「湖のゴミを拾いに来たボランティア」だと映画の趣旨が変わっちゃうので仕方ないんだけどそれにしてもめちゃくちゃ酒は飲むしセックスする。それでも自然を破壊したり明確に人に危害を加えたりしないので「クリスタルレイクに近づいた」って理由で死んでいる。たぶんゴミ拾いボランティアだったとしても死んでるし、全員理性的だったとしてもみんな死んでる。こんな湖近寄らない方がいいに決まってるけど全員死ぬので語り継がれないし、大学生の親とかが知っててもそれらの忠告を無視した大学生のみやってくるので大概アホなんだと思う。すごいサイクルだな…。
でも仕方ないと思う。ジェイソンに全滅もやむなしの強さがあるから本当に仕方ないと思う。殺人鬼というか狩人みたいな強さで襲ってくる192センチの筋肉の塊、ホラーっていうか恐怖っていうか暴力の権化なのでめちゃくちゃ怖い。
4作まとめてるからかもしれないし、初めから言ってるけど淡々と殺人を繰り返すジェイソンがかなりクールでいい。「1人になる」→「姿がチラつく」→「後ろにいる」→「殺される」まで3分とかからないし、この時にジャンプスケアをしない余裕がある。殺された後に別の大学生が死体を見つけるシーンとかもかなり良くて、吊るされた死体が画面内に現れる時に「視聴者を驚かせようとしてる」というより「今1人になった大学生の視線誘導をしてる」感じが強いのもめっちゃよかった。このあと逃げた大学生を長距離から斧を投げて傷を負わせてわざと声を上げさせたりして「俺たちを誘き出そうとしてる…!」って言われたりしてるのも冷徹でかっこよかった。
最近読んだ葬送のフリーレンに「人間はなぜか死体を出すと1人になってでもそれを守ろうとする」みたいな血も涙もないこと言う人外出てくるんだけどかなり近いものがあった。人間の情とかを加味せずに生態として観察して利用する所がかなりいい。人間って泣き叫ぶと仲間が寄ってくるんですよね〜!!寄ってこないとわかるとサクッと殺して身を潜めたりして戦法に多様性があるのところもかなり怖い。
あと絶対に背後を取ってくる。ガラスくらいなら突き破るので壁越しでも背後取った判定で腕が伸びてくるので逃げ場とかはない。かっけ〜!!もうだんだんジェイソンに対する気持ちが恐竜を好きな男児みたいになってきてしまっている。どれだけB級だとしてもジェイソンが宇宙に行く回みたい。12作あるのも納得の恐ろしさと面白さだったので本当に見てよかった。
警察の処理とか今でも惚れ惚れするくらい好き。
この手の映画で警察が来ない、ってことはよくあるし来たとして全滅まで間に合わないのもわかるけど「来た上で30秒で殺される」は絶望の質がかなり違うのでテンションがかなり上がった。この時点で電話は通じないし車は湖の向こうにいるから逃げられないしパトカーは別の人間の死体で使えなくしたりしていて隙がないのもうまかった。そう、人間って人間の死体見るとどれだけ優位な場所だったとしても逃げるんですよね…。
93分基本こんな感じなのでラストに蘇っても「まあ!!そうでしょうね!!」って納得感があった。頭と胴体を切り離さなかった君らに非がある。
母親
母親を弔う祭壇があり、「電気…欲しいな…!」で電気を自宅に通してるくらいなので大抵の人間より土木工事ができるし信仰も自我もある。電気は生活の豊かさと言うより明るいと人が寄ってくるし隠れてるのを見つけやすいからみたいな側面が強そうではあるけど…。
母親に対してなんらかの感情を持っていそう、と言うことしかわからないけど少なくとも祭壇を作っているし母親似の女性を拉致監禁してその人に名前を呼ばれると動揺を見せるので執着はしていそう。そもそも母親の遺言に従い人を殺しまわっているので当たり前ではあるんだけど殺意が研ぎ澄まされすぎて「母親の無念を…!」みたいな感情の余地を読み取る隙がない。
その辺にプロテインが生えてないとおかしい巨大をしておいて頭もよくて絶対に油断しない人殺し、勝てるわけがないし勝てるとして「パーティ内に赤髪の女性がいる」必要があり、わかるわけないのでこれまでもこれからも大学生は全滅していく。
母親似の妹も「人が近寄ると鈴がなる」システムの近くに監禁されていて神経の摩耗が酷いので多分長く生きていけないと思う。母親に執着してる感情と助けを呼べるかもしれない希望を常に抱かせておくことの乖離というか情を換算してなさそうなところがより「泣き落としが効かなさそう」という雰囲気があっていい。
泣き落としが効かない殺人鬼、かなりいい。これからも嬢に絆されないでほしい。
オマージュ作品
「キャビン」と「タッカーとデイル」ほぼ13日の金曜日だった。13日の金曜日逆張り作品、この完成度の作品に類似で迫りたくない気持ちがよくわかるので納得した。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?