恋人が異常に屁をこく「屁こき人間」でもお前は愛せるか
俺は愛せる。
20そこそこの時に付き合っていた彼女が、とにかく「屁をこく女」だった。普段から笑った拍子や何気ない動作の度にアホみたいな音をケツから鳴らしていた。
「プッ」
「プゥーッ」
ときて、
「ブッ」
「ブーーッ」
と、濁音から半濁音へとどんどん変化していき、
「ブゥーオゥ」
「バフンッ!」
バイソンの鳴き声みたくなり、
「ヌーンヌッ」
と最終的に落ち着く。
そんな七色の屁を自在に操る彼女。でも、俺はそんな屁は全然良かった。むしろ好きだった。落ち込んでも、イライラしてても、彼女の屁で元気になれた。
彼女の奏でるメロディが、俺を救ってくれたのだ。俺にとっての日本レコード大賞は、いつも彼女だった。
しかし、非常に大きな問題があった。
それが音のない屁、そう「サイレントサイレン(無音の警告)」の存在だった。
なんの気配も感じさせず鼻元まで接近し、致死量レベルの激臭をブチ込んでくる、それが彼女のサイレントサイレンの特性。
特にメシあとの屁、ただの殺人未遂。最終屁器彼女。
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