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細胞が焼かれた焦げ臭さと玉袋の写真 あと炎症

画像のガキみたいになりたくて大金払ったんだ。


医療脱毛に行こう

 ある日突然思い立って医療脱毛の契約をした、なんの前触れもなく……。
せっかく脱毛をするのなら、メンズクリアにでも行って6万円分のAmazonギフトでも頂きましょうかねギョホホ と思ったが、あの"当店、抜きもご用意しておりますよ。グフフ。"みたいな雰囲気の広告はちゃんと不愉快だし、サロンで脱毛するのバカらしいため医療脱毛へ。
そもそも脱毛屋なんて抜きしかやってないだろ。

 初めはチンポとかケツ穴とか(いわゆるVIO)とヒゲとワキだけやったろ〜と思っていたが、なんかもう全身やっちゃわね?って気になって完全にノリで頭髪眉睫毛以外の表皮にある全部の毛が無くなることが決まった。
はじめからVIOやる気マンマンだったのは本当になんでなんだろう(恐らくケツ毛だけ本当に消したかったんだけどじゃあせっかくひとまとめにされているし他も……という流れだと思う、ここでもノリだ)。
40年後、ネイキッドジジイ確定である。

 お代は言わないが安いのか高いのかもわからんが、おれは金を騙し取られることにさほど抵抗がないので、なんの躊躇もなく契約へ。
いいのかな人生こんなので、まあいいか、高校も大学も就職先も決めた理由に大したことがない人生だし。

抜き初回 準備編

 素人童貞を捨てに行くみたいに書いているが、そもそも医療脱毛は抜毛ではない。

 予約をした日時にワクワクしながら脱毛屋へ到着、女性スタッフに出迎えて頂き、死んだ細胞の焼却炉へ案内される。
さて、今日おれの身体に蔓延る黒いバカ共を火葬してくれる先生はどなたかな……とか思っていたら女性スタッフの方の口から「本日担当させていただきます……」と飛び出し涙を流してしまった、おれは今からこの人にケツ穴まで焼かれることになるんだ……と。

 泣いていてもしょうがないが、男性が担当するもんだと思い込んでいたため看護師(さきほどの女性スタッフ)が出ていったあとに全然泣きながら全裸になり施術台に寝転がった。
しばらく経つと看護師が登場し、よろしくお願いしますで脱毛スタート、よろしくお願いしますッつったってあんた……と知らん女性に肛門や陰茎を焼かれる未来が確定しテンション鬼下がりのおれだが、もうこうなってしまってはしょうがないのでデカい声で「よろしくお願いします!」って返事したらちょい笑われた。
笑ってくれてありがとう。

 まずは顔にタオルをかけられ視界が無になってから、全身の剃毛がスタート。
脱毛レーザーは黒色に反応するため、脱毛したい部分は剃毛をしなければレーザーが反応しなくていい部分にまでダメージを与えてしまい、火傷や炎症に繋がるらしい。
毛がボーボーの状態じゃないと意味なさそうとか思い込んでいたため、意外だな〜と思いながら前々日に家で剃れる範囲の毛を剃った。
結構しっかり自分で剃れていたようで、ケツ穴を剃毛されている時には「Oライン綺麗に処理していただいて」とお褒めの言葉を頂いた。アナルの毛を剃って褒められた経験ってお前らにはある?おれはあるよ。
今度Twitterでフォロワーの何割は経験したことないナンチャラ、のタグが出てきた時はこれを胸張って自慢して、タイムラインを肩で歩こうと思う。

 続いて髭とVIO部分に軟膏タイプの麻酔を塗るフェイズに。
毛が濃い部分ほどレーザーが強く反応するため、痛みが強く出やすい、そのため特に毛の濃い上記2部位は麻酔をして施術をするのだ。
髭と鼠径部とチンポと玉袋、アヌス及び蟻の門渡りに入念に軟膏を塗られたあと、ラップで蓋をされた。
陰部に軟膏を塗られている時の「ありえん、どうしてこんなめに。」という気持ちと、ラップをかけられた時の「この状況さすがに面白すぎるだろ」という気持ちの組み合わせでテンションが下がって上がって…となってしまい、チンポの躁鬱乱高下になったあの時間をきっとおれは一生忘れない。
次回は三脚持って行って動画撮影可能か聞いてみるよ。
見たい人いたら連絡くれな。FC2へアップするよ。
 

痛くて痛くて痛くて偶に痛くなくて少し焦臭い


 いよいよメインディッシュのレーザー照射が始まった。
最初に焼かれた部位は手足の甲と指である。結構痛いので頑張ってくださいね〜という看護師の注意を完全に舐め腐り、別に余裕だろと思っていたおれの心を完璧に焦がし尽くすには十分な痛み、熱量がおれの細いくせに関節だけ太い指を襲った。
マジで痛い、嘘みたいに痛い。脱毛痛いとはよく聞くけど、そんな大した事ないでしょとタカを括っていた過去のおれよ。
恐れ見よ、赤き痛撃の熱線を。 

 瞬間的に"毛穴へしっかりと熱された太めの針を、骨まで刺されたような痛み"が1回の照射ごとに来る。
1秒に1回程のペースで照射されて、「ぴッ ぴッ」と鳴く機械の音はまさしく恐怖の声であった。
本当に嘘みたいに痛かったからおれは終始「うそみたい、うそみたいに痛てぇー」と言っていたら、看護師はそれに対して「本当に痛いですよねー。」と返していた。
現実を見ろってことだな、残念ながら。

 突然課された激痛の試練を乗り越え、続いて腕外側
及び肩への照射が始まった。
広範囲に渡って今の痛みが…と恐れていたのも束の間、恐怖の機械は「ぴぴぴぴぴぴぴぴ」と絶叫を始めた。
音だけ聞いておれは完全に終わったと思っていたが、腕の毛がさほど濃くなかったため、ほとんど痛みを感じずに腕への照射は終わった。
痛くないかと看護師に聞かれた時に、思わず「ぬるいぬるい」とジジイの剣豪みたいなセリフを吐いてしまった。しかしジジイの剣豪、うなじという強敵を前にあえなく撃沈。
うなじは本当に痛かった。ありえない。人生でも三本の指に入る痛みであった。
天晴れ天晴れと痛さを褒め称える言葉を口にしながら、余裕を取り戻しつつあったジジイの剣豪は死んだ。
黒色が濃ければ濃いほど強くレーザーは反応するため、うなじのような濃い毛の多い部分は激痛が走るのだ。
気持ちの余裕が無い若造へと戻ったおれは終始絶叫していた。
ジジイの剣豪へのレクイエムである。

 そして足、腹、背中、とつづいていよいよVIO、
まずは尻の穴である。
これまでの激闘で完全に憔悴していたおれは、恐怖に身を固め、ケツの穴もキュッと固まっていた。
施術中にビビりまくって何度も菊紋を固めたおれに対し、その度に看護師は「力を抜け」と言った。
カルテに「括約筋強シ」とか書かれたんかなーとか思いながら頑張って臀部の力を抜いていた。

 そして陰毛、及び陰茎陰嚢へと恐怖のレーザーはやってきた。
さきほどのやおい穴代理が麻酔の効果もあってかビビり損の痛くなさだったため、多少黒いとはいえチンポ周辺も乗り越えられるさ……と思っていた矢先に、問題が発生。
(看護)師曰く、「陰嚢が赤すぎる。写真を撮って医師の判断を仰ぐ。」
は、はい?ワタクシは今、キンタマ袋が真っ赤になっているうえ、その写真まで撮られるのですか?などとは言うことも出来ず、「は、ハァ」と曖昧な返事をした途端、何か機器を取り出し数枚タマキンの写真を撮られた。
そんな何枚も撮るなよと思いながらも無抵抗なおれをよそに、看護師は「じゃあ医師に確認してくっからさ、待ってろよな。」と言い放ちおれは悲しいまま焼却炉にひとり。
散々触られまくったガーリーなサイズのチンポを労りながら待っていると、看護師登場。マジで真っ赤なキンタマの写真を互いに確認し、あまりに赤かったため笑うことも出来なかった。
(医)師曰く、「麻酔に反応して皮膚が炎症になってしまっている。このまま照射するとキンタマが火傷するため、今回の照射はやめておけ。そして次回からは麻酔の使用を取りやめる。」
は、はい……。玉袋の毛が今回薄くならないことが確定したうえ、麻酔が解けたあとの痛み、ヒリつきも確定し、さらに次回からはVIOと髭に超激痛が走ることが確定したおれは、おれは……。

 落ち込んでいても仕方が無いので、で片付けられる出来事ではなかったが本当に仕方が無いので、何故か無事だった陰茎の毛とVラインの毛への照射がスタート。
こちらも排泄用穴と同じく麻酔の成果もあり、痛くはあったがうなじほどでは無いねと涼しい顔をしていた。
しかし、次回からは麻酔がないため本当に意味がわからない痛みが来ることを思い出す度、巨大なため息が止まらなかった。
看護師も可哀想にねぇ、といった口調で施術を続ける。
チンポ触る度スンマセンスンマセンと謝られたが、謝りたいのはこっちである。スンマセン。

 最後に顔への照射である。
モミアゲはなかなか凄かった、照射した時の音がほかと異なり、「ばちんッ」とかいっていた。
もちろんウルトラ痛てぇため、気を紛らわさんとおれは絶叫していた。
「よいしょ」「ソイヤ」「うりゃあ」などと照射される度に叫ぶおれを見て、看護師は大ウケしていた。
手元をぶれさせてすまない。
最後に顎髭への照射が始まり、ここでもモミアゲと同じような痛みと音だったが、ひとつ違う点があった。
臭いである。
今までの部位はなんの匂いもしなかったのだが、顎髭だけは焦げ臭い臭いが広がった。
熱破壊式レーザーのお名前を再確認した瞬間である。
「痛てぇ〜、痛てぇしくせぇ〜」とおれは泣いていた。
男には人生で泣いていい瞬間が3つある、痛くて臭い時もそのうちである。

 クソ痛し2時間半を終え、真っ赤なキンタマと共に
おれは帰路に着いた。
家に帰りシャワーを浴び、メシ食って寝ようとした矢先、キンタマがやばいくらい痛み、巨大な熱を持ったようになってしまった。
痛いし熱い、こんな時も男は泣いていい。
キンカンを塗った時と同じような感覚になり、「ありえん、どうしてこんなめに。」とうわごとを言いながらキンタマにステロイド軟膏をぬりたくって人生で四度目の涙を流しながら眠りについた。

 翌朝キンタマは真っ赤なままで、だんだんかぶれてそれも収まって今はキンタマのシワの形のかさぶたができている。芸術的である。


 ネイキッドジジイへの道は、まだまだ長い。




スキを押すとなんか食ってるおれが出るぞ。

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