藤子F不二雄ミュージアムで
子どもとお出かけする機会が多い秋だった。
秋とはいえ暑さがしっかりと残り、急に肌寒さを感じることもあり
少々過ごしにくくはあるけれど、子どもたちには関係ないようだ。
子どもたちがドラえもんの映画をたまに観るようになったので、いまがチャンス!とばかりに藤子F不二雄ミュージアムに行った。ずっと行ってみたかったのだ、自分の子供と同級生の友達になってあっちに行こう!こっちにこれがあったよ!と走り回ることができる場所に。
藤子不二雄の前では、誰でもみな平等に小学生なのだ。それがたとえ子供を持った親でも。
結論から言うと、大変に良かった。
壁、案内板、展示室の隙間…あらゆるところに藤子キャラクターたちが潜んでいて、誰かに見つけてもらうのを待っていた。
館内のレストランの満足度の高さ、ショップのオリジナル商品のレベルの高さ。その商品への愛に、藤子不二雄の作品が好きな人が携わっているであろうことがうかがえる。そういうのってちゃんと買い手にも伝わる。こんなのあったらいいな~、ああいうのが欲しいよな、っていう商品が存在して、お金さえ払えば手に入れられる幸せよ。
子どもは大喜びでタケコプターを頭に乗っけていた。
そりゃ買うよ買っちゃうよ。だってタケコプターだよ。くるくる回るんだよ。空飛べなくたっていい、帰ったらおもちゃ箱の藻屑になったっていい。自分の子供心が「ほしい!」って叫んでいるんだ。
館内のミニシアターでショート作品をみる。
昔の切符みたいなチケットを渡される。
鑑賞時、チケットにこれまた昔の切符みたいにはさみを入れてくれる。
スタッフさんがチケットを妙にぐるぐるまわしてから慎重にはさみを入れているのが気になった。何してるんだろう。うちの家族4人分のだけでなくて、鑑賞するすべてのチケットをぐるぐる回している。なんだ。何を確認してるんだ。
チケットが手元に戻ってきてから理由が分かった。
キャラクターが欠けないように、気を遣ってはさみを入れてくれている!
過去そんな博物館が存在したか?いや私の知るかぎりでは存在しない。その心遣いに舌を巻いた。
なにげなく通り過ぎたおむつ交換台の脇に、小さい絵が飾ってあった。
それは赤ちゃんだけでなく、そのすべての親に向けてのメッセージ。
こんな粋な計らいってない。自分が必死でおむつ替えてるときこんなのが目に入ったら泣いてる。おばあちゃーん。
のび太のおばあちゃんは日本人みんなのおばあちゃんだ。
私のおばあちゃんでもありあなたのおばあちゃんでもある、理想のおばあちゃん。藤子先生のおばあちゃんがどんな人だったかを、私は知らない。でも藤子先生自身の理想のおばあちゃんだったに違いない。
さくらももこの実際のおじいちゃんがとんでもない悪爺さんだったから、理想としてのおじいさんである友蔵が生まれたというし。
そんなに広くない敷地内に人がぎっしりで、予約入館時間までどこかで時間をつぶそうと思っても周囲に何もない、ってとこだけ我慢できれば最高のミュージアムです。
ちなみに私が一番感慨深かったのは藤子先生の右手だけのブロンズ像でした。写真撮影不可だったので写真はないけど、小さくてやわらかそうな、優しい手だった。