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十四本目 『海外での指導のメリット』

今回のDJMは海外での柔道指導を通じて、自分自身の役に立った経験をつらつらと書いていくだけの記事です。

何かのメソッドとかではないですが、ご興味あれば目を通して見てください。

それでは参りましょう。「はじめ!」

柔道の多様性

まず1番のメリットとも言えるのは日本で生まれた柔道という武道が世界でどのように広まって教えられているのかを身を以て知ることができたことでしょうか。

国が違えば文化も違うわけで、そこには様々な形で発展していった柔道の姿を見ることができます。今まで自分が持っていた柔道のイメージや価値観というものが大きく変わるきっかけになったと思います。

特にヨーロッパは国どうしが陸続きで繋がっていることから、他国との交流も頻繁に行われ、異国の柔道スタイルや指導方法を見る機会も多くあります。

ドイツでは移民も多く、ドイツ国内にはロシアやルーマニアなどの東ヨーロッパ出身の選手や指導者も多くいます。そういった方々との交流を通じて自分の知らなかった柔道を知れたのは自分の柔道人生の大きな財産になると思っています。

論理的思考が身につく

これは前回の記事『ヨーロッパの技術指導』でも触れているのですが、ヨーロッパと日本では技術習得のプロセスが異なっており、選手に対してまず技の原理を論理的に理解してもらうことから始めるので、必然的にこの思考は身につきます。

また、身に付けたい技術の基礎・土台となる体の使い方(調整力)を発達させるにはどのような準備運動や補強運動がトレーニングプログラムに取り入れられるべきかという、各トレーニングへの意味づけも必要となります。

効率よく技術を習得するための正しく順序立てられたメニューを考える力も自然とついていきます。

特に日本では、部活のキャプテン主導で毎回同じ準備運動や補強運動をルーティーン的にやることが多いですが、ヨーロッパでは準備運動から稽古の終了まで、すべての時間を指導者が指揮をとって、目的に応じてその日のメニューを決めています。

このように毎回の稽古に意味を持たせ、トレーニングプログラムを多様化することは、指導者にとっては負担のかかる仕事だと思います。しかし、それを考え選手の稽古を最適化するのが指導者としての義務だと思うので、今後も気を緩めず日々精進するのみだと自分を戒めております。

とにかく質問が多い

これは自分が指導者になってから本当にたくさん経験としてあったことなのですが、選手からも他の指導者からも年齢関係なくとにかく様々な質問を受けます。

これは技術・戦術を論理的に理解したいという欲求を持つ人々が多い国なので当然起こりうる現象です。特に日本から来た指導者ということでそのハードルは上がりに上がっていることでしょう。

これまで、自分の勉強不足から満足に質問に答えられていないこともあり、自信や気を落とすこともありました。しかし、逆に考えれば様々な質問をぶつけられることで、これまで自分にはなかった視点や発想を持つこともでき、自分が理解していないことが明確になり、それについて調べて考えるきっかけにもなりました。

特に自分にはない視点からの質問というのは物事の理解を深める素晴らしいチャンスになり得るので今後もそのチャンスを活かせていければと思っています。

教えることが最高の勉強

論理的思考を持って柔道の指導をするという環境に身を置くようになってから、柔道への理解が深まったと同時に、柔道がすごく楽しく感じるようになりました。

指導者の方々は同じような感覚をお持ちかも知れませんが、柔道を教えようと思うとそれについて自発的に学習するようになりますし、学習したことをすぐにアウトプットもできるので、柔道に対する理解がどんどん深まっていきます。

もちろん学習して実践に移したものがすべてうまくいくわけではないのですが、何度もトライ&エラーを繰り返すことでその精度を上げていくこともできますし、指導者として成長している感覚もあります。

何よりも自分の考えや指導方法に納得してくれる指導者の方がいることや、自分の指導によって『成長できた』『技がかかるようになった』『柔道がおもしろく感じる』という声を選手から聞けることが指導者としての1番の幸せです。

最後に

今現在柔道人口の減少が問題視されていますが、今後は選手がいかに柔道の楽しさを見いだせるかが鍵になると思います。そのためには反復練習ばかりの伝統的な指導方法だけでなく、目的やレベルに応じた練習方法の発案や指導方法の導入が必要になると個人的には思っています。

『これまでの人がそうして来たから、自分も同じことをする。』というような、思考を放棄するような態度の指導だと、選手によっては柔道へのモチベーションを保つことも、楽しさを見出すこともできなくなることがあります。

別に毎回ゲーム性のあるのようなレクリエーション的メニューを入れろと言っているわけではなくて、選手自身が『今なんの目的のためにこの練習をしているのか』『その目的を達成するにはどのような能力が必要なのか』『あとどれくらいの練習が自分には必要なのか』、などという今自分がいる位置情報の把握、つまり成長の実感があることも柔道を楽しむうえでは必要なのかなと自分の経験から思っています。

仕事にしろ勉強にしろ、目的もわからずしんどいことを繰り返すのは精神的にもきついですからね。ものごとに取り組むための動機づけが重要です。

その柔道の楽しさ・魅力を見出させるためには、指導者は自分の指導方法を常に見直し最適化・改善していく努力が必要なのだと思います。このマインドを持った指導者が増えれば、柔道を楽しいと思える選手も増え、柔道人口減少の歯止めとなるかもしれません。

指導者の努力なくして柔道の発展は望めないような状況になっているように思うので、指導者の質を上げていくことが稽古の質をあげていくことに繋がり、それが柔道の競技人口回復にも繋がるのではないでしょうか。

僕自身、指導者になってすぐには何をすればいいのか右も左もわからない状態でした。また、どういう指導者が求められるのかと今でも日々悩み続けています。そんな時に何か自分の道しるべとなる指標があればいいなと思ったことが何度もありました。(今もありますが…笑)

これから日本にしろ海外にしろ指導者を目指す方がいれば、このブログの記事を読むことで指導のヒントになったり、考え方の参考にしたり、何かの手助けになれば嬉しく思います。

今はまだブログも始めたばかりですが、今後も情報を発信していくことで指導者として悩んでいる人の教科書になるようなものが作れたらいいなとか考えています。

とまあ今回はこんな感じで終わりたいと思います。
ありがとうございました。

それまで。ではまた!

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