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③ 監査計画の作成
③ 監査計画の作成
監査計画書には、監査の重点項目、監査方法、監査スケジュールの他、監査役間の役割分担等を取り決め、作成することになります。上場審査上は、監査スケジュール通りに実際に監査が行われているかということが問われますので、実行可能な計画を作成する必要があります。また、監査役の役割分担に関しては、監査役の業務自体が独任制のため、各監査役の業務範囲を調整するということはできませんが、監査役それぞれの経験や知見を基に、法務、会計、労務等お互いの得意分野を明確にしたうえで、専門的な視点からの意見をもとに監査役間で共有することで、監査活動の実効性を高めようという趣旨です。
④ 常勤監査役による日常的な執務の状況
事業所往査、役員ヒアリング、監査法人との定例会議、社内各種定例会議出席等の監査業務の都度、監査調書を作成する必要があります。調書の様式は特に定まったものはありませんが、日本監査役協会が公表しているひな型をアレンジして使用することができます。
監査活動のそれぞれの内容を、どこまで詳細に監査調書に記録し残しておくかという点に関しては、業種による監査役の活動内容の違いから一律にここまで調書として残すべしという線引きをするのは困難だと思います。監査役によっては、オブザーバーとして社内の各種会議に参加することもあると思います。重要な会議へ出席した場合には、会議の内容も含めて調書として残す必要がありますが、日常的に行われている各部署との情報共有的な会議の内容については、自分のノートに日時と会議の内容が記録してあれば足りるというものもあると思います。
但し、常勤監査役については、少なくとも、月間の日程表やスケジュール表を作成し、いつ、どこで、何をしていたかという最低限の記録は残しておく必要があります。
常勤監査役の監査日程表は、常勤監査役の監査活動を監査役会において他の監査役と共有するための資料としても活用できるものなので、必要なコメント欄を設けるなど様式をそれぞれ工夫して作成しておくと良いと思います。
監査日程表や監査調書は、常勤監査役の監査活動に関する審査資料として、証券会社審査部へ提出を求められます。監査調書の内容についても、審査部からは書面質問や監査役面談(ヒアリング)の際に質問をされる場合がありますので、監査調書で指摘した意味や、指摘事項の改善状況、改善予定についても確認をしておく必要があります。
監査役の業務の集大成である会社法上の監査報告は、機関設計の違いによって、記載すべき内容が異なります。日本監査役協会のひな型や日本経団連のひな型を参考に作成することができます。
(続く)
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Ⅰ 上場審査と監査役
(1)証券会社の審査の目的(続き)
(2)証券取引所の審査の目的
2.監査役の業務に関しては、具体的にどのようなことが審査されるのでしょうか?
(2) 提出資料/(3) 審査の内容、観点