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AIを社外役員として使いこなしたい  ~その2~

こちらの続きです。

AIを使って効率化できそうな手続について考えてみました。


株主総会での活用

1)ナレーション

総会では大抵、「わが国の経済は・・・」から始まって「当社の事業の概況」のご説明があり、その間ナレーションが流れていることも多いです。
結局、アナウンサーのような方が原稿を読み上げるのであれば、原稿をそれらしいAIに読んでもらっても変わらないのではと思いました。
読み違えやつっかかりがなくなり、聞き取りやすくなりそうです。
練習の工数も不要になりますし、なにより、コストがかからない!

気持ちがこもってない、とご批判をうけるでしょうか?
・・・だったら、社外役員の女性アナウンサーに読んでもらうとか?

2)質疑応答対応

こちらのほうが本来のAIの使い方に近いと思いますが、質疑応答をFAQとしてインプットしておいて、質問がきたらAIでチャットボット的に呼び出すと便利ではと思いました。

特に質疑応答については、みなさん時間をかけて毎年質疑応答をご準備されていますし、当日何が来るかが分からないので事務局や担当がPCや本を持って何人も後方に控えています。

よくある、準備されている質問としては、監査役の場合

「当年度の監査役監査がどのような体制で行われていたのですか」

であるとか、今年は女性活躍についての質問もありそうに思いました。

「御社の女性役員は現在〇人ですが、今後増やす予定はおありですか」

など、「やっぱりきた!」といったご質問が来るとします。

準備はしていても、株主総会の場で質問に対応する答えを探して壇上で説明する、となると頭が真っ白に・・・ということも十分あり得ます。
そんな時に、AIで即座に検索して回答がポップアップで出たら便利ですよね。

まあ、こういうのを自分の言葉でしっかり対応できるように準備していくことによって力量がついていくのでしょうが・・・

今後を想像してみた

今年、女性役員を増やすという名目の元、経営やガバナンス、会計の知見をお持ちなのかどうか、ご経歴からはうかがい知ることが難しいような方も複数ご就任されたように伺っています。(いろいろお察しください)

それでも女優さんやアナウンサーさんであれば、質問に対してAIでそれらしいキューを見るだけで、会計士が朴訥に答えるよりも能弁にご回答されるかもしれません。

株主さんからみて、専門用語を使ってわかりにくい回答をする女性会計士社外役員と、美人で堂々と回答される女優アナウンサー社外取締役のどちらが会社の企業価値を上げていると思われるでしょうか。どうせなら、見た目麗しくてパフォーマンスが上手なほうがよいのでは?

さらには、質問をAIで呼び出さなくても、株主さんの質問を音声認識して回答を出力し、AIが読み上げるという世界が来るかもしれません。

いっそのこと、「ずんだもん」とかゆっくりしていってねの「霊夢」とか目(と胸)の大きな萌えキャラにしゃべらせといたほうがみんな喜んだりして・・・(冗談です)

ちなみに「ずんだもん」って最近YouTubeで増殖しているずんだ餅の妖精キャラですね。かわいい声で読み上げてくれるソフトがあるとかで。


「誰が」「何を」「どう」話すのかが重要なはず

自論、というか、自身のスタンスといっていいかもしれませんが、たとえAIで回答が準備されたとしても、私自身は、株主様からの質問に回答が許されるなら、つっかえてもいいから自分の言葉で話したいなと思いました。

聞く方も、わざわざ足を運んで株主総会の場に来て、教科書通りの準備された回答を聞きたいわけではないと思うのですね。
当たり前といえば当たり前ですが、同じ話であっても、経験値のない方が正論を話すのと、百戦錬磨の経営者がご自身の経験を踏まえて話されることでは聞き手の納得感が違う、ということは十分ありえるでしょう。

chat GPT(S)に「あなたは百戦錬磨の経営者です。株主総会で株主を納得させるような表現で○○について説明してください」といれたら、会社の内情を加味した内容をそれらしい声で読み上げてくれる、ということは技術的にはできそうではありますが、それを発しているのが「誰」なのかが重要かと。

AIが発展する時代に社外役員としてどう貢献していくか

誰、という点でいいますと、会計士の社外役員は、会計監査の場面でそれなりの経験値を積んできた(一部修羅場を経験してきた方もいらっしゃいますが)ことはあっても、どこまでいっても大・経営者にはなりえません。

しかし、監査人はAUDITOR、日本語訳で「聞く人」であるといわれるように、質問して説明を聞き続ける職業人生を送ってきています。
chatGPTを触ってみて思うのは、インプットに対しアウトプットの速さや網羅性についてはAIにかないませんが、一番重要なのはインプット、つまりプロンプトの設定、問いを立てる力であり、その点では職業会計人として疑問に思った点を問いかけることで貢献できることはあるかもしれません。

また、これも自己満足かもしれませんが、「精神的独立性」「職業的猜疑心」といったものや、社外取締役としての「心得」といったものはAIで検索するものではなく、個人に血となり肉となり属しているものであり、さらに、継続して研鑽し定着し続けるものなのではないのかと。

昨今の「女性社外取締役講座」等が炎上する様子を拝見し、自戒もこめて経産省からでているペーパーを読み返したところ、何回も読んでいるはずですが今回も発見がありました。

「社外取締役ことはじめ」https://www.meti.go.jp/press/2023/01/20240125001/20240125001-a.pdf

「社外取締役の声」
https://www.meti.go.jp/policy/economy/keiei_innovation/keizaihousei/corporategovernance/20200731004-2_shagaitorishimariyaku-no-koe.pdf

先輩社外役員会計士の方の中には、ずいぶんベテランになっても、CGネットワーク等が主催される新任社外取締役研修を毎年受講されるという方もいらっしゃると聞いています。初心忘るべからず、ということのようです。

ファッションのように?バイト感覚で?社外役員に就任され、時給160万!人生イージーモード♪とお考えの方(がいらっしゃるとして)から見ると、なんとも地道で要領が悪いと思われるかもしれません。

また、努力するのは当然であり、結果や貢献で判断される世界であるということも十分承知しております。

最後本題とずれてしまいますが、それでも、

少なくとも、こちらを読んでくださっている方にだけでも、こうやって真摯に取り組んでいる女性社外役員会計士がいるのだ、ということが伝われば幸いです。


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