社外役員もやもや・・・任期中の退任
人間100人いれば100通りの考え方がある、といいます。
古い人間なのかもしれませんが、最近の「もやもや」案件として、就任された社外役員が任期中に辞任する(らしい)事例をいくつか見聞きしたので考えてみました。
不祥事は別
ちなみに6月25日の株主総会で再任された社外監査役が同日逮捕され、27日に辞任の申し出があり、同日付で退任した、というニュースがありました。
こういうのはやむなしと思いますし「もやもや」することもないのです。
「ポートフォリオの組替」、って?
ご就任には株主総会での選任が必要なので、上記のようなケースですと補欠の監査役が就任するなどの対応となります。
社外取締役であれば1年任期ですが、監査役の場合は任期4年、監査等委員の場合は任期2年になりますので、さすがに期中ではないものの、定時株主総会での交代であっても途中の場合、任期中の退任になります。今回の話はこのケースです。
引く手あまたの女性社外役員については「取り合い」の状況とのことで、ご就任されていて十分お忙しい状況であっても、先方からいくらでもお声がかかるのだとか。
新しい先と現状就任先を比較し、比較して条件がよくない先や、会社との相性が合わない、自身のスキルがマッチしないといったご状況の先を任期中退任し、新しい先にご就任される、それは、「ポートフォリオの組替」なのだとか。
もちろん社内で事前に調整されての退任なのでしょうが・・・
辞任のリスクと責任
Claudeで検索したところ下記でした。
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会社役員を任期中に辞任する場合、いくつかのリスクと責任が生じる可能性があります。主な点を説明します:
1)損害賠償責任:
突然の辞任により会社に損害を与えた場合、損害賠償を請求される可能性があります。
・会社法第423条第1項 「取締役、会計参与、監査役、執行役又は会計監査人(以下この節において「役員等」という。)は、その任務を怠ったときは、株式会社に対し、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。」
2)信用・評判への影響:
突然の辞任は、個人の信用や評判に悪影響を及ぼす可能性があります。
・具体的な法令はありませんが、民法第709条(不法行為の一般原則)が関連する可能性があります。 「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。」
3)競業避止義務:
退任後も一定期間、同業他社での就職や競合する事業の開始が制限される場合があります。
・会社法第356条第1項第1号(競業取引の制限) 「取締役は、次に掲げる場合には、株主総会において、当該取引につき重要な事実を開示し、その承認を受けなければならない。 一 取締役が自己又は第三者のために株式会社の事業の部類に属する取引をしようとするとき。」
4)秘密保持義務:
退任後も会社の機密情報を保護する義務が継続します。
・会社法第355条(競業取引の制限等) 「取締役は、その職務を行うに当たり次に掲げる義務を負う。 二 法令及び定款並びに株主総会の決議を遵守し、株式会社のため忠実にその職務を行うこと。」
5)引継ぎの責任:
適切な引継ぎを行わないと、善管注意義務違反とみなされる可能性があります。
・会社法第330条(株式会社と役員等との関係) 「株式会社と役員及び会計監査人との関係は、委任に関する規定に従う。」
・民法第644条(受任者の注意義務) 「受任者は、委任の本旨に従い、善良な管理者の注意をもって、委任事務を処理する義務を負う。」
6)株主代表訴訟のリスク:
在任中の行為について、退任後も株主代表訴訟の対象となる可能性があります。
・会社法第847条第1項(株主による責任追及等の訴え) 「六箇月(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前から引き続き株式を有する株主(第189条第2項の定款の定めによりその権利を行使することができない単元未満株主を除く。)は、株式会社に対し、書面その他の法務省令で定める方法により、発起人、設立時取締役、設立時監査役、役員等(第423条第1項に規定する役員等をいう。以下この節において同じ。)又は清算人の責任を追及する訴え(以下この条において「責任追及等の訴え」という。)の提起を請求することができる。」
これらのリスクや責任の詳細については、会社の定款や契約内容、適用される法律によって異なる場合があります。具体的な状況に応じて、法律の専門家に相談することをお勧めします。
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社外役員の場合、業務を執行しないので、突然の退任でない限り「信用」「評判」にはあたらないでしょう。秘密保持などは当然として、新たな就任先との競業避止義務あたりが論点になるでしょうか。
仁義、というか・・・・
実は会社もご退任されて内心ほっとされているかもしれません。
ご事情は各社様々かもしれません。
法令規則上は問題ないにしても、就任承諾時、少なくとも任期中は責務を果たされる前提だったばず、ですよね。
それでもどんどん良い条件に「ポートフォリオを組み替えて」行かれる。
もちろん、新たに就任する先はそのご事情をご存じの上で内定をだされているわけです。
任期中の交代でご退任先の経営が傾くということはないかもしれませんが、次の人選もありますしご退任された企業にとっては極めて失礼で、ご迷惑な話なのでは・・・と思ったりするのですが
やっかみなんでしょうかね?
しかし、もしかすると、ご退任先の会社がその方を冷遇していたり意見を聞き入れずで、就任している意味がないとお思いになったのかもしれず、で
もやもや、としたわけでした。
今回は他の方のお話でしたが、ある日突然、私のところにも、リソース的にお受けできない状態の時に、すばらしい条件のお話が来るかもしれません。
その時にどうするのか。(来ないかもしれませんが)
普通で考えれば今の会社の任期終わってからでお願いできますか、と申し上げると思いますが、それだったら次の方に、ってなるのでしょうね。
いい人の取り合い、などと言いながら、誰でもよかったわけですね・・・・
どっちもどっち。
仁義、とか言ってる自分が純真すぎるのかもしれません。
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