PCR検査のお値段。

また芸人さんが新型コロナウイルスに感染してしまいました。
無症状とはいえ心配ですね。

ところで個人でクリニックでPCR検査を受けると3万円かかって高いという話はよく聞きます。
どうしてそういうお値段になるのか意外と世間では知られていません。マスコミも説明しません。高いのは利権だとかなんだとか思われているみたいですが実際にかかるお金と手間ひまについて書いてみようと思います。金額の話を聞いたら納得できると思います。大雑把に書いているのでPCR検査についてもともと知っている方は正直読まないでいただいた方が助かります。

日本有数の信頼できる検査機器の会社の島津製作所の検査時間が半分になる画期的な検査キットのリンクです。
100人分まとめ買いをして1人分2250円です。この2250円を安いと取るか高いと取るかお任せいたします。-20℃で保管と書いてあるので保管用の冷凍庫も必要です。
この記事の一番最後にこのような但し書きがあります。

本キットの使用には,PCR装置や分注ピペット,恒温槽,小型遠心機をはじめとする機材や,試料・遺伝子の取り扱い技術を要するため,ドラッグストアなどの小売店や個人への販売は予定していない。

問い合わせがすごく来るだろうからこういう但し書きがあるのだと思います。ドラッグストアでPCRの検査薬がほしいと言う人がいるのでしょうね。機材の話ですがPCR装置が300万円、分注ピペットは数千円~数万円、小型遠心機は数十万~数百万円です。分注ピペットは何種類も必要なので揃えるだけでかなりお金がかかりますしピペットの先は使い捨てなので馬鹿になりません。検査用の入れ物も結構高いです。

新型コロナウイルスのPCR検査には厚生労働省の手順書がネットに公開されています。A4用紙15枚程度のpdfファイルがアップされていて読んでみたのですが読むのを途中でやめました。手順からして失敗するなという方が無理な検査なのですが臨床検査技師の皆さんはがんばってやってくださっています。人手が足りないので臨床検査技師の資格がない人も検査をしていると思うのですが誰でもできるわけではない専門職なので医療従事者としてなかなか名前は上がってこないのですが感謝していただけるとありがたいです。

PCR検査は臨床検査技師という国家資格を持った技師さんが中心になって行います。
臨床検査技師という職業は医療従事者だけれどあまり耳にされたことはないでしょう。
血液検査や健康診断や色々な検査のプロです。
臨床検査技師さんだけでは人手が足りないのでプロではない派遣の人も検査をしていると思いますが誰にでもできるお仕事ではありません。
PCR検査ができる技術がある人は毎日毎日何度も何度もPCR検査を繰り返ししている人たちです。
そうやって技術を習得しています。
他の医療従事者さんたちとともに感謝の念を送ります。

実際の検査はこういう感じですので3万円というのは決しておかしな金額ではありません。
日経メディカルオンラインに「自分の唾液をキットに入れて送り返す9千円の検査キット」の話が出ていました。
検査費用が9千円では安すぎてまともな検査機関は受け付けてくれないそうです。
9千円でもきついとは思いますが当面はこのお値段でしか個人で検査を受けられないようです。

PCR検査にはこれだけお金がかかりますよということを書きたかったのです。
保健所を通じて無料でしてもらう検査も同じだけの手間がかかっています。
保健所や保険適用の話は横においてPCR検査いうものはこれだけのお金がかかっているということを知っていただけると幸いです。実際の現場のことを知っていただけると新型コロナウイルスへの見方も変わって少しでも検査を受ける必要がない状況になればいいなと思うのでした。

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