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●展示会・Liuteriaレポート●菊田浩さん in Cremona

広報担当 角真央による工房レポート。

続いて菊田浩さん


菊田さんの日常は、朝起きたら、
まず、猫のお世話とニス塗りから始まるそうです。
仕事をしないのは出張の時位で、
夢の中でも仕事していることがあるとか。

製作作業は、戻ってやり直せないし、
気を抜いたところが最後まで残ってしまうもの。

最適な精神状態を保ち続けていくためにも、
大幅に日常のリズムを変えるほどのリフレッシュ(バカンス)は設けてはいないそうです。

テニスや自転車が趣味で、たまに出かけるそうですが、仕事のための体力維持が目的でもある、と。



菊田さんは、
2012年にテレビ番組「笑ってコラえて」のイタリアで活躍する日本人として紹介されたことがあり、ご存知の方もおられるかもしれません。(YouTubeに一部残っています)

ご自身のブログでは製作日記ほか、飼われている猫たちのこと、修行時代のことなど、優しい文調でわかりやすく書かれているように思います。YouTubeもされています。
覗いてみてください。

菊田ヴァイオリン blog
(カテゴリー 一覧ページ)
https://violino45.exblog.jp/i00/

youtube Kikuta Violin
https://youtube.com/@KikutaViolin

経歴の中で誰もが驚くのは、
40歳でクレモナの製作学校へ行かれたことかと思います。(現在は入学には年齢制限あり。ちなみに、最終成績CENTO(100点)を獲得、首席で卒業された)

渡伊にあたって、奥様が強く背中を押されてたとのこと。奥様は一緒にクレモナに移住し、ミラノの日本人学校で国語の先生に。
その行動力、強さ、尊敬します!



ブログに詳しく書かれていますが、経緯を少し書くと、、、



製作を始められたのは、クレモナへ行く5年前の35歳の時。
クラシック音楽のミクサーとしてNHKに勤務されていたところ、出張先のウィーンで"運命のヴァイオリン"に出会い、仕事を続けながら、楽器製作を始める。良い先生を探して、大阪の岩井孝夫さん(本協会初代会長) に辿り着く。

岩井さんは、クレモナにて、現代の巨匠と呼ばれるジオ・バッタ・モラッシー工房で修業し、長年プロ製作者としてご活躍ののちに帰国。大阪で製作学校を開校されたところだった。
氏による製作解説ビデオから、現代クレモナスタイルを自分の感覚として身につけようと試みる。



そんな中、ニコラ・ラッザリ氏のヴァイオリンに出会い、この楽器を目指したい、本人に習うしかない!とクレモナ留学を決意。
高橋さんより1年あとに、3年次より入学。

学校では、日本人の同窓生と共にロレンツォ・ マルキ氏に習い、
ラッザリ氏の工房では特別に見学を許してもらい、卒業後は、小さなバンコ(作業机)を自ら持ち込んで弟子入り!そしてコンクール受賞。(通常は工房のバンコの空きがないと弟子として通えない)

日本人同窓生との授業の様子
ラッザリ氏の工房に持ち込んだ小さな作業机



ラッザリ氏もマルキ氏も、岩井さんと同じ
モラッシー氏の直弟子であり、菊田さんも濃くその流れを受け継がれていることに。

モラッシー氏の晩年の、工房での仕事や製作中の楽器を間近で見れたことは、クレモナで修行をした意義のひとつでありました。



作業は一人でするものですが、その過程で
師匠や仲間と出会っていく。
菊田さんの言葉からは、
ストイックだけども厳しさよりも温かさを感じました。

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