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マイクスタンドが譜面台に変身した!

 私は大阪府立A高校軽音楽部の外部指導顧問を務めております(単年度契約ですから4月以降は不明)。

 A高校軽音楽部には、恒常的に6つのバンドが存在していて、バンドアンサンブルの練習は視聴覚室内の3か所で同時に行います(30分で次のバンドに交代)。
 4時~4時半  A、B、C (D,E,F は待機)
 4時半~5時  D, E, F (A,B,C は待機)

 通常のバンド練習は楽しくやることが一番大事なので、現場の顧問(私です)はあれこれ口出ししません。

 よっぽどの地獄的事態、例えば、ベースとギターが違うキーで弾いていて傍で聴いていても不協和音が気持ち悪い、なんていう状態にでもなっていない限りは「本人たちの好きなようにやらせる」という放任姿勢でいます。

 ですからアンサンブル練習の時間帯は、時々気が向いたら3か所の練習場所を順番にブラブラのぞきにいくだけです。

 のぞきにいったところで、彼らの練習を遮るようなことはせずに、ミキサーの音のバランスだとか、電源ケーブルが変にからまっていないか、とかだけを気にしています。

 先日、あるバンドの練習をながめていて、「目からウロコ」状態になったというか、大いに感心したことがありました。

 ギターの2年生女子部員が、ブームマイクスタンドの先っちょのホルダーを水平に傾けて、そこに自分のスマホを置いているのです(タイトル画像を参照)。

 以前の高校軽音楽部の部員の必需品といえば「市販のバンドスコア本からコピーした紙の譜面」でした。
「コピーは違法だろ」という声も聞こえてきそうですが、実は「学校教育活動(授業や部活動)の中においては、必要最小限の範囲で著作権者の許諾を得ずして複製使用が認められる」と文化庁が規定を定めています。

「学校教育における著作物利用のルール」というタイトルで、音楽系の部活動の顧問であれば、知っておくべきルールが詳しく書かれています。
93869701_01.pdf

 しかし令和の現代、紙の譜面をコピーする、という作業は過去のものになりました。
 誰でもスマホを所持していて、A高校のように「授業時間内以外はスマホ使用可」という校則の学校においては、部活動でもスマホが必需品となります。

 なんせ、たいていの有名な楽曲であれば、YOUTUBE に「レクチャーを目的とした演奏動画」がアップされているからです。

 今の部員は、コピー演奏する曲が決まったら、バンドメンバーそれぞれYOU TUBEのtutorial動画を検索します。

 あるいはU-Fret のような、ギターコードが掲載されているアプリ。

 それで、バンドアンサンブル練習の時間は、原曲をスマホで流して、それに合わせてそれぞれの部員が動画やアプリの画面を見ながら、見よう見まねで指の動きなんかを確認していく。

 こうなってくると、「スマホをどこに置くか」 が問題になってきます。
ボーカルは片手で持てますが、楽器の子たちはどうするのか。

 ドラマーはフロアタムに置く。ギターベースはアンプの上に置く。というのが多いようです。

 でもこれだと、アンサンブル練習の最中に、視界の中に他のメンバーの姿が全く入ってきません。

「アンサンブル練習の時は、もっと他のメンバーを見て、息を合わせるようにしないとダメだよ」というアドバイスをしたところ、ある女子部員が余っているマイクスタンドを出してきて スマホ立て として使いだした、というわけです。


マイクスタンドはボーカル専用ではなかった!

 確かにこれだとスマホの位置も自在に調節できますし、姿勢良く練習できますよね。特許申請レベルのアイデアではないかと思います(そんなの、今のバンドじゃあ常識じゃん!と思われたらすみません)。

 ちなみに、私が偶然発見した貧乏軽音楽部裏技のひとつをお教えしましょうか。
 「折り畳み式パイプ椅子をひっくり返して床に置くと、ギタースタンドとして代用できる」というもの。
 すぐ壊れてしまう安物のギタースタンドを購入するよりも手軽です。パイプ椅子ならそこらじゅうにあるしね。特許申請はしてませんけど。

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