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ゆっくりと惹かれ合うディズニープリンセス作品が好き

ディズニーが大好きで、パークに行ったり、作品を見たり、
いろんな角度からディズニーに魅了され続けている私。

どの作品もとっても魅力的だけど、
自分が見てきたディズニー作品(ここではプリンセス作品)の中で「特に大好きなもの」に何か共通点がないかと考えた時、ふと気づいたこと。

それは、

「長い時間をかけて相手を知り、惹かれていく様子を描いている」

作品であるということ。

つまり 「一目惚れじゃない出会い」 を描いている作品です。

もちろん、一目惚れをしたふたりの愛という魔法を描くディズニープリンセス作品もとっても魅力的で大好き。でも、自分がより共感したり応援したくなるのは「一目惚れじゃないふたりを描いたストーリー」なのかもしれないと考えるようになりました。

今回は私の大好きなディズニープリンセス作品をいくつか挙げて、その好きなポイントをまとめてみようかなと思います。

※ネタバレ注意


『魔法にかけられて』(2007)

まずは2007年公開の『魔法にかけられて(Enchanted)』という作品。

アニメーションの中の美しい王国アンダレーシアで暮らす心優しいジゼル。夢にまで見たエドワード王子との結婚式の日、ジゼルは魔女に騙され、恐ろしい世界へと追放される。たどり着いたのは、ロマンティックな“おとぎの国”とは正反対の“現代のニューヨーク”だった!

大都会の冷たい人たちに戸惑うジゼルを助けたのは、現実主義でバツイチの弁護士ロバート。動物と話し、ところ構わず歌いだすジゼルに驚き、時にうとましく思うロバートは、彼女と過ごすうちにその素直で心優しい姿に惹かれていく―。しかし彼女を追って現代にやってきたエドワード王子やその家来、更にジゼルを罠に陥れたナリッサ女王の登場で、ニューヨークの街は大パニックに!!

『魔法にかけられて(Enchanted)』あらすじ|Disney+(ディズニープラス)公式

アニメーションの中の王国から現実世界のニューヨークへとプリンセスが飛び出してくるこの作品は、実際に「アニメーション」と「実写」という二つの媒体を使って作られています。

アンダレーシア王国でのジゼルとエドワード王子
(『魔法にかけられて(Enchanted)』|Disney+(ディズニープラス)公式より)
ニューヨークでディナーを楽しむジゼルとロバート
(『魔法にかけられて(Enchanted)』|Disney+(ディズニープラス)公式より)

実写とアニメの融合という点でも魅力的なこの作品ですが、「おとぎ話の中に生きるプリンセス」と「現代に生きる一人の弁護士」という全く異なる価値観を持つ二人が出会い、互いを知ることによって少しづつ惹かれ合っていくストーリーが本当に素敵なんです。

運命の出会いや真実の愛のキス、自分を迎えに来てくれる王子様の存在を信じ続ける、夢見がちで天真爛漫なジゼルと、バツイチ子持ちで忙しい生活に追われ、彼女にプロポーズできずにいる現実主義のロバート。

初めは互いの物の見方や感性に戸惑い、時にぶつかり合うこともある2人でしたが、共に過ごすうちに相手の世界に触れ、受け止め合えるようになっていきます。

物語終盤の舞踏会のシーンでは、現代風のヘアセット&ドレスに身を包んだジゼルとまるでおとぎ話に登場するプリンスのような格好をしたロバートが、歌を口ずさみながら二人でダンスを踊ります。

物語冒頭ではおとぎ話にでてくるプリンセスのように豪華なドレスやアクセサリーを身に着けていたジゼル、
出会った当初は歌や踊りを拒みおとぎ話に否定的だったロバート、
相手の感性に触れることでお互いの世界に歩み寄っているふたりの様子を言動や装いからも感じ取れる、ロマンティックなこの舞踏会のシーンが本当に大好きです。

舞踏会で踊るジゼルとロバート
(『魔法にかけられて(Enchanted)』|Disney+(ディズニープラス)公式より)

プリンセスと魔法のキス(2009)

続いて2009年公開の『プリンセスと魔法のキス(The Princess and the Frog)』という作品。

貧しくても愛情豊かに育ったティアナは、大好きな父と一緒に夢見たレストランを開くため、懸命に働く毎日を送っていました。ある晩、富豪の娘シャーロットが、ナヴィーン王子を招待して開いた舞踏会に、ティアナも出席します。すると、一匹のカエルが現れ、ティアナにキスをして欲しいと言います。自分は魔法で姿を変えられた王子だと言うカエルに戸惑いながらも、キスするティアナ。すると、今度はティアナまで…。思いがけない展開に、ティアナとナヴィーンの魔法を解くための旅が始まります!互いに好意を持ちはじめたふたりが本当に大切なものを見つけた時、その魔法も解けるのです。旅の途中で出会う仲間たちとの絆を通し、本当に大切なものを見つけ、夢をかなえてゆく―ディズニーが贈る、新しいロマンチック・ストーリーです。

プリンセスと魔法のキス|ディズニー公式

ディズニー最後のセルアニメであるこの作品。
舞台が音楽の街ニューオリンズということもあり、ジャズやブルース、ゴスペルなど、ニューオーリンズゆかりの楽曲がたくさん登場します。

聴くだけでわくわくした気持ちになれる、明るくて楽しい楽曲たちが本当に大好き。

素晴らしい楽曲たちも本作品の魅力の一つですが、やはりストーリーやキャラクターもとても魅力的。

ディズニープリンセス作品というものの、レストランを開くことを夢見る主人公のティアナはプリンセスではありません。
仮装舞踏会でプリンセスの仮装をしていたティアナは、カエルの姿に変えられてしまった本物のプリンスであるナヴィーン王子にプリンセスと勘違いされ、口づけをすることになってしまいます。

ティアナとカエル姿のナヴィーン
(映画『プリンセスと魔法のキス』|Disney+(ディズニープラス)公式より)

自身の目標のため誠実に働き努力を続けてきたティアナと、両親のお金を使って自由奔放に遊びまわってきたナヴィーン。

当初は価値観の違いにうんざりしていたふたりですが、共に冒険をする中で「自分が触れたことのない世界」に出会い、「本当に大切なもの」に気づいていくのです。

「僕は料理、君はダンス」

これは作中に登場する、私の大好きなセリフの一つ。

魔法を解く冒険の中、働いたことのなかったナヴィーンはティアナの手助けを受けながら料理に挑戦します。食材を刻みながら情けない自身の境遇を語るナヴィーンに対し、ティアナは「やるじゃない。あなた、キノコを刻む才能がありそうね。」と優しく声を掛けます。
ナヴィーンは金遣いの荒さやその自由さから両親に勘当されており、これまで褒めてもらった経験も少なかったのではないかな。彼の悩みにあえて触れることはせず、初めての挑戦(ここでは料理)を褒めるティアナの優しさと、その言葉を聞いた時の嬉しそうなナヴィーンの表情がとても印象的。

食事の後、夜も更け、空には星が輝く。
ホタルのレイの歌に合わせてティアナをダンスに誘うナヴィーンですが、「私踊れない、踊ったことないの」と断られてしまいます。
そこでティアナの手を取り、「僕は料理、君はダンス」と声を掛けるナヴィーン。夜空に輝く星の光に包まれながら、ティアナは生まれて初めてダンスをするのです。

互いの得意分野を活かして相手が触れたことのない世界へと誘うふたりの優しい振る舞いが、互いに未知の世界を知るきっかけとなっているふたりの関係性が、本当に大好きです。

ティアナとナヴィーンのダンスシーン
(映画『プリンセスと魔法のキス』|Disney+(ディズニープラス)公式より)

塔の上のラプンツェル(2010)

3つ目は2010年公開の『塔の上のラプンツェル』です。

森の奥深く、人目を避けるようにしてたたずむ高い塔。そこには、金色に輝く“魔法”の髪を持つ少女ラプンツェルが暮らしていました。18年間一度も塔の外に出たことがないラプンツェルは、毎年自分の誕生日になると夜空を舞うたくさんの灯りに、特別な想いを抱き、今年こそは塔を出て、灯りの本当の意味を知りたいと願っていました。そんな中、突然塔に現れた大泥棒フリンと共に、ついに新しい世界への一歩を踏み出します。初めての自由、冒険、恋、そして、彼女自身の秘められた真実が解き明かされ…。

新しい世界へ踏み出す<勇気>のすばらしさを描いた、記念すべきディズニー長編アニメーション第50作目にふさわしい、美しく感動に満ちた物語。

塔の上のラプンツェル|ディズニー公式

記念すべきディズニー50作品目の長編アニメーション作品である本作は、ディズニー初の3Dで描かれたプリンセスストーリーです。

その映像美は言わずもがな、美しい楽曲や表情豊かでユニークな動物たちもとっても魅力的。

パスカル、フリン・ライダー、ラプンツェル、マキシマス
(『塔の上のラプンツェル』|Disney+(ディズニープラス)公式より)

塔に閉じ込められた16歳の少女ラプンツェルと盗賊のフリン・ライダー。
最高とは言い難い出会いを果たしますが、共に冒険をするうちに互いを信頼し合えるようになります。

塔に忍び込んだフリン・ライダーとそれを捕まえるラプンツェル
(『塔の上のラプンツェル』|Disney+(ディズニープラス)公式より)

中でも心が揺さぶられるのは、ふたりがお互いの秘密を明かすシーン。
自身の髪に宿る魔法について語るラプンツェルと、偽名「フリン・ライダー」を使って自分を偽っていたことを明らかにするユージーン・フィッツハーバート。
当初は自身の目的のために行動を共にしていたふたりでしたが、危機を乗り越えお互いの心の内を知ることで、距離がぐっと縮まります。

少しずつお互いのことを知り、嫌なところも良いところも理解した上で、「真実の愛」が芽生えていく2人の冒険が大好きです。

ランタンフェスティバルでのユージーンとラプンツェル
(『塔の上のラプンツェル』|Disney+(ディズニープラス)公式より)

物語の最後、ヴィランであるゴーテルに命を奪われたユージーンがラプンツェルの涙によって息を吹き返す、というシーンがあります。

これは個人的な意見ですが、ユージーンが息を吹き返すのはラプンツェルの目から零れた涙に宿っていた「魔法の花の魔力」のおかげなのではないかなと思っています。

あくまで「魔法の花の力」であり、「愛の魔法」ではないのでは、と。

違うストーリーだったら真実の愛のキスで生き返りそうなところを、このシーンでは涙が零れ落ちて息を吹き返しているんですよね。

『塔の上のラプンツェル』の物語としては「攫われ、閉じ込められていた少女が外の世界へと足を踏み出し、真実に出会う」ことが主軸。公式サイトのあらすじでも「新しい世界へ踏み出す<勇気>のすばらしさを描いた」と書いているように、ラプンツェルの冒険に焦点を当てたストーリーになっています。

外の世界に踏み出したラプンツェルが辿り着いた「真実」は様々。
自分の出自、これまでの暮らしの真相、本当の家族、そして真実の愛。
冒険を通じてラプンツェルが得たものは決して「(恋愛的な)真実の愛」だけではないんです。

確かにふたりには愛が芽生えていたけれど、ラプンツェル自身に魔法の力はありません。そして、これまで魔法の花の恩恵をラプンツェル本人が受け取ることはできませんでした。

16年間本当の家族に会えず、(魔法の花によって)自由を奪われ続けていたラプンツェルの<勇気>に対する(魔法の花からの)贈り物こそが、あの涙だったのではないでしょうか。

冒険のきっかけである「勇気」冒険の成果である「愛」が、ラプンツェルの中に残っていた魔法の花の力を引き出した。

ユージーンが息を吹き返すことができたのは、「ラプンツェルの新しい世界へ踏み出す<勇気>」が起こした奇跡なのではないかなと思っています。

まとめ

このnoteを書くにあたって久しぶりに作品を見返したり、あらすじを調べ直したりしたけど、年を重ねるごとにプリンセスの描き方が本当に変化してきているなぁと。

「美女と野獣」(1991)が転換期となってフェミニズム要素が含まれ始めた(実写版「美女と野獣」でベルを演じたエマ・ワトソンはフェミニストとしての観点から実写版「シンデレラ」のオファーを断り、より自身が共感できるベル役でオファーを受けた)と言われているのは聞いたことがあったけど、実際にその後の作品を見てみるとより感じられる。


「アナと雪の女王」を初めてみた時、自分は小学生だったけど、幼いながらに衝撃を受けた記憶がある。

「一目惚れだと思っていた相手に裏切られる(そもそも一目惚れなんてありえない、どうかしてると作中で諭される)」
「プリンセス自身が冒険に出て問題を解決する」
「プリンセスを救うのは友情、姉妹の絆、家族の愛」

といった、これまでと全く違うディズニープリンセスの物語に驚きつつも、その新鮮さと(メタ的に描く)ユーモアさと魅力あふれるキャラクターにとても惹き込まれた。

時代背景によって制作陣が受ける影響は全く異なるし、受け手がその作品をいつどのタイミングで見るかによって受ける印象は全く異なる。それでも、すべての作品がそれぞれにしかない魅力をもっているし、その当時にしか描き出すことのできなかった魅力的なキャラクターとストーリーがある。

だからこそ、制作背景も踏まえて過去の作品と向き合い、受け止め、理解した上で愛せるようになりたいな。

これまでの作品(魅力的なものだけではなく偏見や差別的表現も含む)を忘れず胸に刻み、時代ともに進化し続けるディズニーが、これまでもこれからも本当に大好きです。

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