回遊する TASS2020ステートメント
高山建築学校を、今年も開校します。
建築って、モノをたてるコトの先にある。先には、ヒトがいて、中に入ったり、屋根に登ったりする。
虫や、魚や、鳥も巣をつくる。
ナゾナゾではなく、ヒトが過ごす場所となるモノが建築だ。手掛かりは、いつも手の届くところにある。
モノは散らかる、いつか壊れる。片づけかたには、尽きることの無い探求がされてきた。
歩いて、掘って、座って、かじって、寝て、土地をしる。
今年、高山建築学校のテーマは、回遊する。
2011年のテーマは、対自然。そこから、学校を作る、布石を打つ、手で考える、命の世界を測ってみる、うちゅうのようにやってみる、一対一、なくなるモノへの感受性、つくることのリズム。と、テーマは毎年、移り変わったんです。
2011年は、大地震、津波、東電原発事故があった。メルトダウンした炉心は、いまだ取り出せず、海や陸に散らばった放射能を含む粒々を、片づけるコトが、もはや困難であることを知り、分からないなりに、その中で過ごしている。
Migration、えいごにすると移民を想起させる言葉。回遊。
忘れることと、思い出すことの境を、忘れてもいいように、いつでも思い出せるように建築しよう。山菜を見つけられる目と、見えない目の間を、わければわけるほど増える宝として伝える建築をしよう。暑い夏と、暑さを感じられない夏の温度を、もう二度と繰り返さなくていいように、それでもまた朝になれば起きられるように建築しよう。
生活様式は、いつも惰性で、新しい。
建築家は、そのやり方を示す。
建築家じゃなくても、影響を与え合う共有の思考する資源としての時間と場所を持つ、建築学校を今年こそ、やってみたい。
コトをモノ建てる回路に遊び、風穴を開ける。
はやしごうへい