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桂枝茯苓丸は効かない漢方薬?

桂枝茯苓丸は効かない漢方薬?


桂枝茯苓丸が効く患者様を探すのは大変です。


なぜなら、そんな人がいないからです。

桂枝茯苓丸は筋肉がしまり、血色も良く、赤ら顔でのぼせやすいのに足が冷え、下腹部が張る感じがある人に向く漢方薬で、月経異常、更年期障害などに用いられます。 頭痛、肩こり、めまいなどに使われるが、ほぼ効きません。

桂枝茯苓丸が合わない人として、血が少ない方が挙げられます。

桂枝茯苓丸は血の巡りに働きかける漢方ですが、血の少ない方が服用すると、効果が実感できなかったり、調子が悪くなったりする場合があります。

生理中に桂枝茯苓丸を服用すると血の気が引くなどの症状が出る方は、体質的に合わない可能性があります。

ではなぜ効果がないのか?


原典を見てみますと…。

金匱要略・婦人妊娠病脈証幷治第二十

婦人でもともとお腹の中に癥病(ちょうびょう)があり、月経が止まって三か月しないうちに不正出血があり、胎動が臍の上にあるのは癥瘕(ちょうか:かたまり)が妊娠を害しているからである。(中略)血が止まらないのは癥(ちょう)が去らないため、したがってその癥を下すべきである。桂枝茯苓丸を使いなさい。

となっています。

原南陽は桂枝茯苓丸を改良し、甘草と生姜とを加えて甲字湯と名付けました。

この処方は臨床的にも使いやすく、効きの良さを感じさせる名方の一つです。

そしてこの加減は、本方と桂枝湯との繋がりを理解していたからこそ出来た改良です。
桂枝茯苓丸を桂枝湯に近づけることで、より胃腸に優しく、体力を損なわない薬にしているのです。

桂枝茯苓丸は加減方をおこなってこそ効果のある漢方薬です。そのままでは現代人には効果がありません。

桂枝湯の構成生薬は、『 桂枝・芍薬・生姜・大棗・甘草 』

臨床で使う時は、『甲字湯加黄芩紅花』で使います。

まず、どんな患者様を目標にするかというと…。


口調に気の張りがなく比較的穏やか。
恥ずかしいと顔を赤くするなどの面部の充血の傾向がある。
疲れを押して頑張る傾向がある。
子供の頃には腹を冷やすと腹痛下痢することがあり、もしくは昔から便秘で便が出にくいという方もいる。
普段食欲があるもののストレスなどで食欲が一時無くなるか、もしくは甘いものなどの過食の傾向が出ることもある。
総じて胃腸の活動・機能が不安定な方が多い。

桂枝茯苓丸は、桂枝と茯苓が重要。


どちらも駆水剤です。血の巡りを良くするというよりも、お身体の余分な水を抜いて血の巡りを良くするのです。

実は、漢方薬の名称は、構成生薬の最も重要な生薬が名称に使用されているのです。


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