![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/38028004/rectangle_large_type_2_4222588901d665ac70bb922ea23f8352.jpg?width=1200)
コンパクトで小音量でも音のいいスピーカーを手作りする・その2
8cm以下のフルレンジユニットを使っていい音のスピーカーを作ることを目標にしています。
今回は製作編です。
使用するユニットはこちらです。
dayton audio nd-64
音を聞いてみるとこのままではあまりよくなかったので、以下のサイトを参考に振動板とボイスコイルを交換しました。
・マイナーオーディオの部屋さんの自作ユニットの作り方
・feastrex社のブログ
・Audio Feast社の励磁スピーカー
・杉原商店さんの和紙の研究室
振動板の素材には岩野市兵衛さんの楮和紙を使用しました。国産の楮のみで漉いた非常に上質な紙です。また、ボイスコイルボビンには手漉きの雁皮紙を使用しました。
製作中の写真を何枚か載せておきます。
不要な部品を外したところ
振動板を保持するダンパーには糸を使用しました。
ボイスコイルを巻いているところ。ボビンには雁皮紙を使っています。
ボビンと振動板を接着したところ
エッジにも和紙を揉んでやわらかくして使いました。
完成したユニット
振動板のしわのようなものはもともとの和紙に含まれていた太い繊維です。
ボイスコイルの直流抵抗は8オームを目標に設計したのですが、計算が間違っていたようで出来上がったものを測定してみると12オームありました。ただ、音を聞いてみると問題ないようなので安心しました。
ユニットと和紙の材料費は1.4万円くらいでした。和紙で作るのと一般的なパルプコーンとでは、同じ紙なのにもかかわらず、まったく違う音がします。和紙は自然で空気感を感じることのできる音がします。美しくきつさのない高音です。また、ほとんどのパーツが紙でできていているので違う素材の音が混ざることがなく音色の純粋さが保たれています。
パイプ部分の制作
材料は以下の通りです。すべて通販かホームセンターで購入できます。材料がそろえばすぐに作れます。合計で1.3万円くらいでした。
・パイプ 素焼き土管
・ゲル ソルボセイン ハード5mm厚
・スペーサー アクリル板
・吸音材 エプトシーラー、ミクロンウール
・スピーカーを乗せるもの 今回は木の厚板を使いました。
パイプの素材
パイプにはアクリルや陶器、ガラス等いろいろな素材が使えます。
パイプの素材についてはこちらの由井さんのfacebookでの発言が参考になりると思いますので引用します。
パイプは単純ですが、さらに向上のためには材料の吟味が必要です。
(Yoshii9)
・アルミパイプの表面の硬度を上げるため、ステンレスベアリングで表面を叩く。
・アルマイト処理をして表面をセラミック化する。
・・これで振動(縦振動)エネルギーが熱エネルギーに変換されて振動は減衰します。
パイプ構造では横振動簡単に制御できます。
(Yoshii9MKII)
・アルミと塗料で対応
(セラミック華)
・各性質の粘土を混ぜる。恵那山山系。
・成型加工後、乾燥と焼成
・釉薬を重ね2回目の焼成。
・・全行程に2ヶ月を要する。一回の実験に2ヶ月だから「華」の基本性能を得るのに2年を要した。他では出来ないことだ。
セラミックを得たことで。無限の性能向上の可能性が在る
R2.3/31
今回はタイムドメイン社の製品を真似て素焼きの土管を使います。
今回使用するもの
できるだけ振動板の直径と近い径のパイプが理想的ですがちょうどいいものはなかなかありませんでした。
パイプの内側に減衰材としてエプトシーラーというゴムのスポンジシートを貼り付けます。長い棒に剥離紙の一辺を固定してくるくる剝離紙を巻き取るよに貼り付けました。
パイプとユニットの間の振動を遮断するためにゲルシートをドーナツ状に切り抜いて挟んでやります。またパイプにユニットを乗せるためにアクリル板で作ったスペーサーをユニットに取り付けます。アクリル板とその加工ははざいやさんでしていただきました。
グランドアンカー
ユニットに重りを取り付けます。今回は直径30mm、長さ400mmのステンレスの棒を使います。
この錘がユニットが動く際の足場になります。質量によって振動板以外が動くのを防ぐ感じでしょうか。できるだけ重いほうが音がいいです。一本で2.2kgほどあります。これをユニットにエポキシ接着剤で接着します。
ステンレスの棒に減衰材のミクロンウールを巻き付けます。
パイプの足
今回は木の厚板の上に置くことにしました。パイプ下端と床との距離でも音が変わります。
あとはユニットをパイプに載せれば完成です。
使用感について
誰かに聞かせたくなる音です。自然でかつ鮮烈な音です。非常に高音に透明感があります。低音の量がもう少しあればいいと思いますが、質の高い低音を再生してくれます。もう少し低い音まで聞こえるといいのですがセッティングと部屋の問題もあるのかなと思います。家庭では十分な音量で鳴ります。歪むまで音量を上げるとマンションでも苦情が来そうです。しかし、音量を上げなくても定位感がいいので小音量でも聞き取りやすいです。苦労してユニットを改造した甲斐がありました。
素焼きの筒を使っているので観葉植物の間に置いてやれば空間に違和感なく収まりそうです。ユニットに水がかからないように水やりには注意が必要ですが。。。
自作でも高音質なスピーカーが作れることがわかりました。今回は和紙を使った工芸品のようなユニットを作ったので、次回は筒にもなんらかの工芸品的な要素を加えられたらと思います。