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【じいじの生活と意見】トランプ大統領就任演説を読んでみた。


就任演説を読んでみた。


いよいよトランプさんが大統領に就任されました。
ニュースでは今回、就任演説や大統領令に関税などの施策が入っていなかったこともあり「静かな出だし」などと評価しているようです。
そこで私としては、新聞に就任演説が全文掲載されていましたので、忙しい皆さんに変って、隠居の強みとばかり暇に任せて読んでみました。

まず、この日は公民権運動家であるキング牧師誕生記念日でした。
彼は(自分に投票してくれた)黒人やヒスパニックに敬意を表した後「彼の夢を実現するために共に努力する。われわれは彼の夢を実現させる」と言ってきました。
これはキング牧師の有名な人種差別撤廃を訴えた演説「I Have a Dream(私には夢がある)」を下敷きにしたものです。ただならぬトランプがこの日を選び、我々が(俺がでは無く)キング牧師の夢を実現する(今後も頼んまっせ)と言う。
上手だなあと感心しました。

で、今回は意外にリベラルな内容?と思ったのはここまででその後は見事にアメリカファーストでした。

そんな中で気になった点が2点。

不法移民対策について

まず一つ目は不法入国の排除について「1798年の敵性外国人法を発動する」と言ったことです。
この法律はアメリカが独立して間もない頃、ナポレオンが欧州を席巻した際自国保護のために制定した古〜い法律です。
しかし、この法律は200年以上生き残り、第二次世界大戦時、日系人の強制収容の大統領令の法的根拠になったと言われています。
本来この法律は戦時下で無いと出来ないはずなのですが、演説の中で不法入国者→外国テロ組織→軍最高司令官として国を守るために発動する、と言う風に論理を展開させていきます。

明白な天命


そしてもう一つは「マニフェスト・デスティニー(明白なる天命)」です。
TVニュースで「火星へ行く」とか言っているのを聞いて、どっからこんな話が出たんかいな?と思ったのですがこのセリフと共に出ました。
「明白なる天命」は1800年代後半のフロンティア時代、アメリカ合衆国の西部開拓を正当化する標語として唱えられたものでした。下につけた写真は明白な天命といえば必ずセットになって出てくる「アメリカの進歩」という当時の絵画です。

アメリカの進歩


インディアンやバッファローを追い立てながら西へ西へと進む開拓民と女神が描かれ女神の手には鉄道用の電線と本(教科書?)が握られています。
これも今となっては先住民族の手前、あまり大っぴらにには言えない言葉なのですがこれを過去の話では無く未来の話として火星をフロンティアの目標に持ってきました。
火星が目標だとするとメキシコ湾やグリーンランドは通り道どころか単なる発射台ですね。

トランプ大統領の就任演説を読むと、その正誤はともかく、この人は信念の人なんだろうとわかります。

マッキンリー大統領


そしてその信念の方向性を占う鍵は演説にも出てきた1990年代の大統領、ウィリアム・マッキンリーでしょうか。
あの山の名前を変えるという人です。

この辺りは放送大学のアメリカ史の受け売りですがマッキンリー大統領は大不況の中、「企業献金を発明」して大統領になり大規模な関税を導入して国力を養いました。
そしてもう、アメリカ西岸に到達して先がなくなったはずの「明白な天命」を再開すべく、ハワイを併合し、スペインに喧嘩を吹っ掛けてキューバとフィリピンを取り上げて西海岸を飛び越えて太平洋の西の端に到達しました。

まさしくトランプ大統領はこのマッキンリー大統領を模範としているのは明らかです。彼はマッキンリー大統領が行った政策を現在風に変えて実行しようとするでしょう。
「トランプ大統領は予測不可能」とか言う人には一度マッキンリー大統領の事績を勉強する事をお勧めします。

女神が携えるもの


ところでこの「アメリカの進歩」の女神様は鉄道用の電線と本を持っていたのですが、トランプ大統領の女神様は何を持っているんでしょうか?
私はイーロン・マスクさん(火星ロケット)と孫正義さん(AI)を両脇に抱えてじゃないかと思います。

女神に抱かれる孫さん?