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30年過ごした東京を離れました。

私ごとですが、昨年末に30歳を迎えました。
年齢の異名は、40歳の「不惑」がよく知られている印象ですが、30歳は「而立」という異名があるようです。

「人は、三十にして立つ」
30歳になるのであれば、独立してやっていかなければならない、という意味合いをもちます。
まさに20代中盤には、「30歳の頃にはーー」という目標を密かにいくつか持っていました。

そのひとつに、「移住」がありました。

さらに私ごとが続きますが、ご報告です。

30年過ごした東京を、離れました。




100%自分の意思での決断

この年になると、引っ越しをするたびに「一人で?」と聞かれることが多くなりました。

余談ですが、このときもそうでした。

移住となると尚更です。
「もしかして……」とライフステージの変化を想像されることも多々あります。……いえ、多々どころかほぼ100%言及されます。

おそらく多くの方が想像されているであろう「もしかして」はなく、単身で移住を決めました。むしろ、相談や議論をする相手がいない単身だからこそ、決めました。

そして、私の主な活動はオフィスを持たない自分の会社の業務と俳優業。
固定の場所へ通う必要はなく、必要に応じて移動するのみです。

そのため、
「籍を入れて結婚相手の実家近くへ」
「遠距離の恋人と一緒に暮らすためにーー」
「仕事の転勤のためにーー」
「親の介護のためにーー」
この移住には、そういった外的要因はありません。

100%、自分の意思での決断でした。

ph/ inagaki koyo

毎日でも海辺に散歩できる街

「移住したい」が先行して、「では、どこに住もうか」と考える流れではなく、移住を心に決めたときにはすでに、行きたい場所は決まっていました。

家から海辺まで徒歩10分とすこし。
毎日でも気軽に海辺に散歩に行ける街。
あたらしく住みはじめたこの場所は、いわゆる海街です。

私はもともと海が好きです。
学生の頃から、気づけば水に惹かれるようになっていました。

水音に耳を澄ませてしまう。
水の流れを肌で感じたくなってしまう。
海や川、水たまりの水面を見つめてしまう。
海をテーマにした写真展には引き寄せられてしまう。

そんな私は、
「いつか、海のある街に住んでみたい」
と数年前からぼんやりと願望を抱くようになっていました。
そして、その願望は想像していたよりもはやく実現しました。

しかしながら、望んだ場所に移り住んだものの、新しい環境に身を移した直後は色々とチューニングが必要です。

実のところ、引越し直後のタイミングは休業するほどではないものの体調を崩してしまっていました。
観葉植物も家に招き入れた直後は葉を落としてしまうように、人間も急な環境の変化には身体が追いつかないことがあるようです。

都内での引越しとは比べ物にならない環境の大きな変化を感じる日々。
でも、それでも、
ここにいると心が落ち着く気がしています。

東京に"通う"ということ

基本的にいまの拠点は移住してきた場所ですが、打ち合わせや撮影などで東京に出張に行く機会が多々あります。

『東京に通う』、『東京出張』
言葉にするとなんてことないものですが、実際に体験してみると少しそわそわするような、ワクワクするような、新しい感覚を覚えています。

東京までは在来線なら3時間以上、新幹線を使っても2時間以上。
これまでに移住先を伝えた取引先の人や友人には「え、そんなにかかるの?」と驚かれます。
そうなんです。実は東京から名古屋出張に行くときよりも、今の街は東京への移動に時間がかかるのです。
でも、移動時間も仕事の作業時間に使えばあっという間なものです。

新たな土地で暮らしているだけでも環境の変化を実感する日々ですが、東京との行き来によって、より一層変化や相違点を感じています。
これまではずっと住んでいたため気づかなかった東京の姿を、客観的に見ることができるようになりました。

ph/ inagaki koyo

電車の本数、地方都市への動きやすさ、人の多さ、情報の速さ、街の移り変わり、人との関わり方ーー
流れている時間は同じはずなのに、なんだか別の世界にいるような感覚を覚えます。

東京は人々がつくり出す情報にあふれています。
そしてそれによる変化は著しく、街の姿も、並ぶ店も、個人個人の考え方や動き方さえも日々変化が繰り返されているように思います。

私の会社のメイン事業はPRのため、そういった変化を汲み取りながら、時には予測もしながら進めていくべき仕事です。だから常にアンテナを張り続ける必要はありますし、今後は一層積極的に自ら情報をキャッチしにいかなければいけないのだろうな、と覚悟しています。

ただ、この情報の流れは果たして、"ほんとうのもの"なのか。
いや、”ほんとうのもの”というと少し大袈裟かもしれません。
でも、その地しか知らなかった私は、最近すこしちがった角度から変化し続ける様子を見るようになって、回し車を走り続けるハムスターと重ねてしまったり、映画『トゥルーマン・ショー』を思い返したりする瞬間があります。
(……すごく烏滸がましいことを言っているような気がする)

世界がどうだとか、都会はどうだとか、社会に対する問題提起をするほどまで確固たる意見があるわけではなく、単純に自分自身が盲目的になっていたのかもしれない、と反省しています。
激流に飲まれていたから気づかなかったけれど、視野を広げてみるともっとたくさんの発見があるんじゃないか。そう思えば新たな生活に一層ワクワクするものです。

この気持ちはもう少し整理してから、あらためてnoteにしたためようと思います。

移住のワケ

①今後企てているプロジェクトのため
②自然の近くに身を置きたかったため
③住んでみたい、もっと知りたい街があったため
④これからの人生、気合を入れ直すため
etc…

移住のワケはさまざまにあるのですが、なかでも大きな「①今後企てているプロジェクトのため」については、おいおいご報告していきます。

ここでは、"住まいを移す”という決断について書き残します。

前項の話ともすこし重複しますが、生まれてから今までずっと東京都内で過ごしてきたため、都内の環境がよくも悪くも私の当たり前になっていました。
そんな中、出版社時代のイベントでの地方出張、そして、2021年の秋に独立し、勤務地に縛られることがなくなったことで、積極的にワーケーションに行くようになり、それぞれの地域性を身をもって感じる機会が一層増えました。

生き物の順応性とは優れたもので、置かれた環境にすっかり慣れていた私にとってその体験はたいへん刺激的で、新鮮で、新たな場所に訪れるたびに気分が高揚するような、時には逆に落ち着くような、不思議な感覚を覚えていました。

実は移住先に選んだ場所には昨年よりよく訪れるようになっていました。
四季ごとに訪れることで自然の表情の変化が見られたり、魅力ポイントの解像度があがったり、その地に対する愛着が徐々に深まっていくのを感じていました。
ただ、「短期滞在」と「そこに暮らすということ」では得られるものがまったくちがうだろう、とも思うように。

移住を考える上で、色々と懸念点は出てくるものですが、人はきっと、考える時間を作れば作るほど、やらない理由が出てくるものです。
動かない時間がもったいないので、「30歳になっても単身ならば移住しよう」といつか漠然と思っていた考えを掘り返し、すぐに移住を決めました。

30歳になって半年後に移住完了。
思い立ったが吉日の行動としては、まあ及第点でしょう。

そして、都内では実現が難しい「庭付き一軒家に単身で暮らす」。
これはなかなかいい経験です。
学びの多い日々です。
移住しないことにはできなかった経験を得られています。

これからのこと

現状、東京出張の頻度もかなり高い状況が続いており、正直まだまだこちらでの生活は初心者。

ただ、少しずつでも前述した「今後企てているプロジェクト」を進行させつつ、ここでの暮らし自体や、ここで暮らすからこそできるコンテンツを発信していけたらと思っています。絶賛準備中です。

まずは(おそらく近日中に)ちょっとした動画企画からスタートさせますので、Instagramをチェックしていただけたらうれしいです。

お取引先さま各位 //
こちらでの打ち合わせも大歓迎です。
お待ちしております。

長文にお付き合いいただきありがとうございます。

2024.08.10
松井花音

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