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舞台ゆゆゆを観てきました
ゆゆゆとは?
この記事を読んでる方の大半は「ゆゆゆ」とは何か知っているとは思いますが、軽く説明しとくと
「結城友奈は勇者である」(略称、ゆゆゆ)は2014年10月から放送開始されたアニメ作品で、3期まで制作されています。舞台は香川(主に観音寺市)。初回放送から10年、3期放送からは3年経った今でも根強い人気を誇る作品です。
そんなゆゆゆですが、放送開始10周年イヤーということで、舞台化と相成りました。放送開始から10年目で舞台化されるというのは、かなりのレアケースなのではないかと思いますが(他にもそーいう作品がゴロゴロあったらごめんなさい)、それもひとえに「勇者」(※ゆゆゆファンの別称)の皆さんの変わらぬ熱量の賜物ではないでしょうか。
1.舞台化はきちんと
アニメ作品を生身の人間が演じる舞台を、いわゆる2.5次元の舞台と言いますが、2.5次元化に際し、いくつかの懸念があります。今回の舞台ゆゆゆで観劇前に関していた不安要素は大きく4つ。
①キャスティング
②バーテックスとの戦闘シーン
③東郷さんの戦闘シーン
④2時間の尺
①:キャスティングに関しては、ゆゆゆに限らず、テレビ化・映画化・舞台化などの実写化において、最も心配になる要素です。いやいやいや、そのキャラクターにその俳優さんをあてるのは無理あるだろ、性別から変わってるやん的な苦い思いをした人も少なくないでしょう。ゆゆゆには突飛なキャラクターが出ているわけではないので、等身大で演じられるとはいえ、「思っていたのと違う」というケースも十分考えられます。
②:ゆゆゆでは、結城友奈をはじめとする勇者部の面々が異空間(樹海)において巨大な敵(バーテックス)と戦います。個々人は武器を用いた特殊能力で敵と戦闘を繰り広げますが、その戦闘シーンをCGや特撮を用いることなく舞台上でどのように再現するのか?陳腐な仕掛けになってしまわないか?は気になるところです。
③:勇者部のひとり、東郷さんについても懸念材料があります。東郷さんは普段車椅子に乗っていますが、これを舞台で再現することは問題はないでしょう。問題は樹海での戦闘シーン。樹海では、東郷さんは自身の能力によって、浮いているような感じでスーッと動きます。ガンダムのように歩くのではなくて、ドムのようにホバー移動しているというか。これをどのように表現するか?割と肝になってくるポイントだと思います。
④:アニメ1期は30分×12話なので、これをどうやって2時間の舞台に落とし込むのか?全話をギュッと2時間に納めようとすると展開が駆け足になってしまわないか?さりとて前半5話くらいまでをまとめようとすると深みが無い構成になってしまうし…どこかの部分にフォーカスして再構築するのは相当難しいのではないか?
1.なるべく舞台ゆゆゆを諦めない
舞台は生で観るのが一番、でも今回の舞台ゆゆゆはどうだろうか?チープな感じにならない?そんな不安(前出の①~④)を払しょくできず、生観劇ではなく配信チケットを購入しました。好きな作品だからこそ、ガッカリするのが怖いというか。結論から言えば、全然杞憂でしたけど。
そして舞台初日。2024年10月12日(土)・13日(月)・14日(月・祝)、それぞれ2公演で計6公演。場所は「ところざわサクラタウン」。
1公演目終演後のXには、数多くの賛辞で溢れていました。腰の引けたフワッとした感想(「思ったより良かった」「キャストは頑張っていた」とか)ではなく、ほぼすべてのポストが「絶賛」でした。これは驚くべきことです。
原作付きの作品は、テレビでも映画でも大体厳しい意見に晒されます。「思っていたのと違う」だの、「原作愛が足りない」だの、「オリジナル要素が邪魔」だの。しかし今回の舞台ゆゆゆに関しては、そういったネガティブな意見を全くと言っていいほど目にしませんでした。
「勇者」の皆さんの熱量がいかに高いとはいえ、これほど賛辞が集める理由はひとつしかありません。舞台ゆゆゆがとんでもなく良かった、としか。
気が付けば千秋楽の観劇チケットを買っていました。
1.よく観て、また見る
そして10月14日の夜の部(千秋楽)に参戦。
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物販はパンフレット・トートバッグ・缶バッジ以外は全てソールドアウト。パンフレットは買おうと思っていた私はよかったのですが、他のアイテムを切望されていた勇者の皆さんは無念だったのではないでしょうか。
(なおパンフレットを購入する際、レジの方から「ご一緒に缶バッジはいかがですか?」と、ご一緒にコーヒーはいかがですか?的な感じで勧められたのがツボでした)
会場の「ところざわサクラタウンジャパンパビリオンホールA」は客席650名。パッと見でお客さんの入りは9割ほどだったように見えました。
そして開演前、アニメ版の主要6キャストによる動画コメントが1名分流れます。千秋楽の動画コメントは主人公「結城友奈」役の照井春佳さん(以下、ぱるにゃす)でした。アワアワした感じのコメントが既に実家のような安心感で、すーっとゆゆゆの世界観に入っていきました。
その数日後、配信のアーカイブでしっかりと表情を確認し(客席は後方だったので表情まではよく見えなかった)、やっぱりすごい舞台だったんだなと再確認しました。
1.悩んだところの感想
観劇前に感じていた不安材料(①~④)について答え合わせしていきます。
不安材料①:キャスティング
主要5人(そのっちも出ていたけどここでは割愛します)については全員ドンピシャなハマり具合だったと思います。ビジュアル的に寄せるというよりも、喋り方・立ち居振る舞いでちゃんとキャラに寄せるというか、魂がシンクロしている感すらしました。5人全員です。凄くない?2.5次元の舞台ってここまでキャラに寄せられるもんなの?舞台ゆゆゆだけ別格?
・本西彩希帆さん(結城友奈役)
主役と言うことで、ずっと出ずっぱりな上に、アクションも多く、一番カロリーを使う役どころだったと思います。日常パートやって、アクションやって、また日常パートやって、を繰り返すのは相当しんどかったのではないでしょうか。それを元気なテンションを維持したままこなせたのも、2.5次元の舞台の経験値によるものでしょうか。
終演後の挨拶で感極まって、アワアワな感じになってしまった姿に、開演前の動画コメントでのぱるにゃすの姿が重なりました。そういったところでシンクロ感を感じるのもヘンな話ですけど、あの瞬間、間違いなく本西友奈がそこにいました。
・大森莉緒さん(東郷美森役)
先で述べたように、東郷さんは日常では車椅子を使っていて、樹海だと特殊な方法で移動します。これを表現したのが下記画像のようなセグウェイです。重心移動で自分が望む方向に進むのですが、自在に動くのはもちろん、その場にとどまるのも相当難しいと思います。銃を構えたままスーッと横移動したり、目線を落とさずその場に立ちすくんだり、自然な感じで演じられていましたが、とてつもない練度でした。初演後、「東郷さんの体幹強ぇぇえ!!」との感想が多数だったのは当然でしょう。
1期における東郷さんは、友奈を失いたくないがあまり闇落ちし、この世界すらぶっ壊そうとします(友人との離別にそこまでのトラウマがある理由は、2期にて明かされます)。そこを友奈をはじめ勇者部のみんなで支えてもらって自分を取り戻しますが、2時間の舞台でグラデーションをかけて、闇落ちして、再起するという心の起伏を演じるのは想像以上に難しいと思います。それが違和感なく伝わってきた、というところに、大森さんの凄みを感じました。
![](https://assets.st-note.com/img/1729600682-cHmirgwVPFpkB7yQOo59ESIX.jpg)
・原田清花(STU48)さん(犬吠埼風役)
「ゆゆゆが四国を舞台にしているから瀬戸内を拠点に活動しているSTU48から抜擢したんでしょ、演技力なんて二の次で、はいはい」みたいな感じで観劇前は勝手に不安視していました。そんな原田さんですが、風先輩を見事に演じられていて、私の中では一番シンクロ率が高かったように思います。侮って本当にごめんなさい。勇者部の中で誰が一番アニメとシンクロしていたかと問われれば、私は「原田風先輩」に一票投じます(演者さん全て甲乙つけ難いので異論は全然認めます)。とにかく口調や所作が風先輩そのものでした。特に慟哭するシーンは素晴らしい再現度・完成度で、思わず息を吞みました。
・岡田あずみ(STU48)さん(犬吠埼樹役)
初日公演後のXでもっとも多かった感想が「樹ちゃんが樹だった!」だったように思います。とにかく声質・口調がアニメ版とそっくりで、この舞台の台詞はアニメの音声を流してるんだよ、と言われれば信じてしまうほどのシンクロ具合でした。またちょっとした仕草もアニメ版をトレースしているかのようで、何をどのように修練すれば、ここまで寄せられるの?って思いました。観音寺市の某勇者の方は「STU48の中でも特に勇者適正値の高いメンバーを選出したのでは?」と自論を述べていましたが、私もそれに賛同します。原田さん・岡田さん共にSTU48の中でも勇者適正値が高くて抜擢されたに違いありません。そうじゃないとあのシンクロ度の高さは説明できない。
・伊藤優衣さん(三好夏凜役)
「樹ちゃんが樹だった!」に次いでよく見かけた感想が「夏凜ちゃんが夏凜ちゃんだった!」だったように感じました。2.5次元と言うのは、大なり小なりコスプレ感が出ると思うのですけど、伊藤さん演じる三好夏凜(以下、にぼっしー)は全然違和感がなく、アニメからそのまま出てきました、と言ってもいいほど、ビジュアルの再現度が別格だったように感じました。にぼっしーと言えば、最終決戦での口上が見せ場なんですけど、弱気になる自分を奮い立たせて、ビシッ!と決めるその姿に、にぼっしーはこれだよ、これ!と勝手に(内心で)盛り上がってました。
不安材料②:バーテックスとの戦闘シーン
バーテックスとの戦闘シーンは、アニメの場面を背面スクリーンに投影しつつ、舞台上では、バーテックスに見立てたアンサンブルの方々と勇者部の面々が戦う。戦うといっても、新体操の道具(リボン・ボール・フープ)を使い、戦っているような雰囲気を演出していました(文章での表現が難しい)。
見立てとしての戦闘シーンなので、雰囲気は伝わってくるのですが、せめて満開時はもうちょっと派手な演出が欲しかったかなと思います。にぼっしーの満開時の太刀を持った4本の腕や、友奈の満開時の2本の腕なんかは見立てではなくそのまま出てこないかなぁって。東郷さんの満開時の浮遊砲台はさすがに無理としても。満開は自己犠牲の上に成立する形態なのでパワーアップ感がもう少し欲しかったところです。
不安材料③:東郷さんの戦闘シーンは前出の大森莉緒さんの項をお読みください。
不安材料④:2時間の尺
どんな感じで2時間にまとめるのだろうと期待半分不安半分で、観に行ったのですが、1期12話を2時間にギュッとまとめた感じでした。2時間の中に、ストーリーはもちろん、感情の移ろいも盛り込まれてて、これが正解なのだと思います。世界観を構成するパーツは全て入っていたのではないでしょうか。少なくともダイジェスト感は感じませんでした。
1.なせば大抵、凱旋公演できる
とても素晴らしい内容だった舞台ゆゆゆですが、だからこそもっと多くの方に観てもらいたい。特に舞台となった観音寺市の人々にこそ観てもらいたい。
観音寺市には「ハイスタッフホール」という1,200人収容のホールを擁する市民会館があります。こちらでの凱旋公演をやるべきではないでしょうか!
2024年11月10日に、当観音寺グランドホテルの大ホールを使ってゆゆゆ10周年のイベントが行われます。席数500人の入れ替え制で2回、計1,000人が参加できるイベント(抽選制)なのですが、それでも落選した勇者の皆さんが多数いたと聞きます。つまり1,000人以上の勇者がイベントのために観音寺に足を運ぶのです。ハイスタッフホールで、1,200人を動員することも夢ではありません。何なら2回公演でも満員になる可能性すら全然あります。
興行として成立すると思いますがいかがでしょうか?物販も飛ぶように売れますよ!今回買えなかった勇者も一杯いますので!
いつかまた同じ演者・スタッフの皆さんと観音寺で会えることを信じて、拝っ!