【詩:朗読】雲の中から
雲の中から 作:カノン
雲の中から 作:カノン
雲の中
今は周りが見渡せなくて
ぼんやりとしか見えなくて
どの方向に進んだらいいのか
足元がふわふわしていて
戸惑っている
どうしたらいいんだろう
後ろを振り返ってみる
その身体を向けた方向が
本当に後ろなのか、前なのかも分からない
とりあえず、すすんでみる
視界が開けた場所にテーブルと椅子があった
その椅子に誰かが座っているのが見えた
するとひとりまたひとりとそのテーブルに着席していく
残った最後の椅子に私が座った
椅子が全て埋まるとひとりまたひとりとポツリポツリと話し出した
雲の中で彷徨っていたこと
雲の中で心細かったこと
ああ、雲の中で迷っていたのは私だけじゃなかった
今雲の中にいる人
今雲の中にいるけれど外へ出る方法を知っている人
過去に雲の中にいた人
このテーブルは雲の中の体験を共有できる人たちだった
こころの中の石ころみたいな固い塊が溶けていくのがわかった
キミが話した
雲をかき分けて、このテーブルを見つけてくることができてよかった
こうして君達に会うことができてよかった
私もだよ
心の中でそうつぶやいた
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