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信太巻きの信太とは何か
フキは、和食の素材とたいへん相性のよい野菜です。
湯葉、麩、高野豆腐、厚揚げとよく合います。
とくにお揚げを使った「信太巻き」は昔からの定番です。
「信田巻き」とも表記されます。
フキをお揚げで巻いて出汁で炊いた料理です。
しみじみとしたフキの個性が生きる一品です。
ところで、どうして信太巻きというのでしょうか。
それは「信太の森の白狐」の伝説に由来するからです。
信太の森は、現在の大阪府和泉市です。
そこに一匹の白狐が棲んでいました。
あるとき、白狐が狩人に追われているところを
安倍保名という男性が助けました。
白狐は「葛の葉」という女性に化けました。
そして安倍保名の許にやってきて恋仲になりました。
やがて二人は結婚して子どもが生まれました。
その子どもが、陰陽師の安倍晴明と伝えられています。
しかし、葛の葉の正体が白狐であると知られてしまいます。
葛の葉は夫や子どもと別れて信太の森に帰っていきます。
現在も、信太の森には葛葉稲荷神社が祀られています。
安倍晴明ゆかりの神社として信仰されています。
お揚げは狐の大好物です。信太の森の白狐にあやかって、
油揚げで巻いた料理を信太巻きと呼ぶようになりました。
タケノコやゴボウを巻いた信太巻きもありますが、
フキを巻いた信太巻きは絶品です。
ぜひお試しください。