優生パラドクス

ヨーロッパの断種法に倣った

旧優生保護法。(1948年施行)

1996年に母体保護法に改定されるまで

「公益上の必要」から強制的に不妊手術やパイプカットされた人は、

この48年間で少なくとも16500人。

政府が謝罪したのは2019年の4月。

つい最近のこと。

ですが、

「優生上の見地から、不良な子孫の出生を防止する」

この思想は消えたでしょうか。

2010年代、

出生前診断による異常発見で9割が中絶を選択。

優生学の核心は、

「人間の淘汰を出生前に完了すること」

今こそ、

優生思想は完成をみたのです。

すると植松聖は、

技術が間に合わずに生まれてしまった不良な命を

この社会から一掃することを引き受けたということか。

そんな植松をまた、

僕たちは殺すのです。

「不良な命」として。

植松は、

自身が心神喪失や大麻依存症であったが為に

死刑を不服としたのではなく、

正常な人間の判断として公共の為に犯行した故に

死刑を不服とした。

「不良な命などない」

「命はすべて等しく尊い」

社会としてこの結論を導き出すために、

植松には最高裁まで

闘う義務があったのだ。

僕たちは途轍もなく大きな、

見えない十字架を背負うことになりました。

僕の中で優生思想がほくそ笑む。



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