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2023年8月のどぎまぎ

あれこれ

中古のマンションを買いました。なんとなく憧れていた街の、小さな部屋。
今年の頭くらいから細々と新居を探していたのだけど、中々これという部屋に出会えず、季節が巡りに巡って夏になってしまった。だけど、件の部屋はほぼ即決だった。正直ほぼ街だけで決めてしまったところがあり、薄っすらとした恐怖があるのだが、もう後には引けない。夫婦二人暮らしなんて身軽なものだ。一生住むつもりはなくて、10年か20年か……とりあえずはそれくらい住めたら良いかなと思っている。憧れのマイホーム!という感じでもなく、賃貸のときと暮らしぶりは変わらない気がする。少しずつ暮らしを整えていく予定なので、機会があれば遊びに来てみてください。良い街だと思います。美味いものがたくさんありそうです。いつか猫も一緒に暮らすことになります、きっと。

結婚前から二人で住んでいた街を、引っ越すことになる。二人とも縁もゆかりも無かった、異邦人として住んだ街だ。結局五年半くらい住んでしまった。何もない、つまらない街。でも、その何もなさを、きっと懐かしく思うこともあるような気がした。というわけで、引っ越す前にカメラマンさんに写真を撮ってもらった。気取らない、普段着の写真だ。部屋の掃除は一応したけれど、特に片付けはせずに生活感たっぷりで撮ってもらった。それでもその生々しい生活感がなんとなく美しい膜を纏っているような、そんなきれいな写真に撮ってもらえた。嬉しい。この暮らしのこと、多分忘れるだろうけど、でもどこかに残っていたら嬉しいよね。

読んだ本と漫画のこと

  • 分冊文庫版 絡新婦の理(四) / 京極 夏彦

  • 踏切の幽霊 / 高野 和明

  • つぎはぐ、さんかく / 菰野 江名

  • 殺したい子 / イ・コンニム

  • 成瀬は天下を取りにいく / 宮島 未奈

  • 小説家と夜の境界 / 山白 朝子

  • 黒蝶貝のピアス / 砂村 かいり

  • エフェクトラ――紅門福助最厄の事件 / 霞 流一

  • 仮面幻双曲 / 大山 誠一郎

  • 麦酒の家の冒険 / 西澤 保彦 ★再読

  • 世界でいちばん透きとおった物語 / 杉井 光

  • あなたはここにいなくとも / 町田 そのこ

  • がらんどう / 大谷 朝子

  • 貴族探偵 / 麻耶 雄嵩 ★再読

  • 一汁一菜でよいという提案 / 土井 善晴

夏休みがあったのでたくさん読めました。夏休み、永遠に続いてほしかった。社会と繋がっていないと人間は苦しくなるというのをよく聞くけれど、本当だろうか。わたしは平気な気がしてしまうが、思い上がりなのだろうか。
わたしは自己肯定感が高いでお馴染みだが、これは自分が成していることに由来しているわけではない、と思っている。仕事を頑張っているとか、誰かと仲が良いとか、ちゃんと生活をしているとか、そういうことを根拠に自分のことを認めているわけではない。ただ理由もなく、盲目的に自分のことをまるごと受容しているだけなので、自分に厳しくいられる人のことを畏怖している。もしかすると自分の中に何か決定的なものがあって、それが欠損してしまったらわたしのこの根拠のない自己評価の高さもポキリと折れてしまうのかもしれない。でもまだ、それが何なのか分からないでいる。分からないままでいられたらいい。

  • 忘却バッテリー(全話)★再読

  • 違国日記(全巻)★一部再読

違国日記が完結したと聞いたので、全巻読み返した。最近よく考えていることとかぶる内容が慎重に丁寧に綴られていて、最終巻で溺れるように泣いてしまった。良かったです、すごく……。

食べたパフェのこと

八月は三本に抑えることができました。見返してみると、桃、無花果、葡萄と、季節の移り変わりを感じさせるラインアップになっていてとても良い。

いっせん

桃と大納言

8月に浅草にオープンした新店。神楽坂にあるVERTというお店監修と聞いて、すぐに予約しました。というのもこのVERT、ずっと行きたいと思いつつ行けていないお店の一つだから。VERTはコース専門店なのだけど、確か15,000円くらいする。わたしは食に金をかける方ではあるけど、デセールコースにその値段は、ちょっとまだ勇気が出ない。
しかし今回のお店は、お茶と季節のお菓子のセットで数千円!わたしでも手が出せる値段!というわけで、行かないという選択肢はなかった。
数種類のお茶の中から一つ、三種類のパフェの中から一つを選び、さらに小さな和菓子がつく。わたしが行った日は、巨峰の大福とパッションフルーツのどらやきだった。このどらやきが本当に美味しかったな……。
パフェは桃と大納言をチョイス。VERTと同じく、あえて見えないグラスだ。パフェでこういうグラスは初めてかもしれない。先が見えない、構造がわからないというのは、思った以上にドキドキする。桃の層を抜けたら出現した煎茶のアイス、濃厚ですごく美味しかった。
お店の雰囲気やコンセプトがとても好みなので、ぜひまた行きたい。

金木犀茶店

鉄観音パフェ夏至2023(無花果)

金木犀茶店の名物パフェ。無花果、大好きなんだ……。
このお店のパフェは、甘くない。薬膳に近い。二種類のアイスがかなり良い仕事をしている。味噌のアイスなんてはじめて食べたな。はじめて食べるものが入っているパフェは、それだけでいい。こちとらおもしれー食べ物が食べたくて生きているのだ。なぜかこのパフェのお店のパフェは、冷たく感じない。おそらく水分量が少ないのだ。甘くない部材の中、チェリーのグラニテのしゃっきり感が際立っている。無花果の優しい甘さも嬉しい。
ただ、この日はちょっと暑すぎて、食べている最中も汗が止まらなかった。パフェに集中できたかというと正直そういうわけでもなく、本当に申し訳ない。新陳代謝機能がぶっ壊れてしまったのかと思うくらい汗が止まらなかった。夏、自分が汚いので嫌すぎる!!

As

巨峰とクインニーナとエピスのパフェ

こちらもずっと行きたかったお店。基本的にコースのみ提供しているので、自分の誕生日祝いで行こうと思っていたら、8月はアラカルト営業だった。
パフェとクレープをいただいたのだけど、本当に、心から、美味しかった。スイーツでここまで感動したのは久しぶりだ。トップの二種のソルベの味の深みがすごい。理解を超えた美味しすぎるものを食べたとき、訝しむ顔になってしまう。なぜこんなに美味いのか混乱するからだ。よほど険しい顔をしていたのか、シェフに「…お口に合いましたか?」と訊かれてしまった。慌てて「美味しいです!!!」と答えて、そこからは普段行くパフェ屋のお話しなどをさせてもらった。
あーーー美味しかったな。コースもいつか絶対に行きたい。

食べた美味しいもの

例によって自炊の記録はインスタを見てくれ!
ダイジェストはこう。

ピーチメルバ

敬愛するsrecetteさんのカフェ営業にて。
普段はパフェを供してくださるお店だが、今回はお茶とピーチメルバ。とてつもなく愛らしい。そうは思わんかね。キュルリとしている。いつもは温かい中国茶をいただくのだが、冷たい中国茶のミルクティをいただいた。これも唇にやさしく当たって美味しかったな。
一応食べログのリンクを貼っておくけれど、srecetteさんは完全予約制の不定期営業なので、SNSをチェックしてもらうのが間違いないと思う。

チキンライス

この料理ってチキンライスという名前で合っているのだろうか。絵を見ずに「チキンライス」と聞くと、ケチャップライスが頭に浮かんでしまう(ハマちゃんが歌っていた方である)。
元々好きな食べ物ではあるけど、このお店のはとても美味しかった。鶏胸肉ってこんなにしっとり水分をふくんだ仕上がりにできるのか。ちょっと驚いた。一緒に食べた肉骨茶も美味しかった。

ハンバーガー

誕生日に食べたハンバーガー。そういえば8月は誕生日があった。忘れていた。もう本当にどうでもいいかもしれない、誕生日。
ハンバーガーってかなり疲れる食べ物なのでめったに食べないのだが、ここのはお上品な仕上がりでたいへん美味しかった。塩バーガーが名物らしいのだが、個人的には松坂ポークバーガーのほうが好みでした。味がたくさんするほうが好きだ。あと、添え物のポテトが歴代トップクラスで美味しかったです。

9月に向けたあれこれ

最初に書いたように、来月(これを書いている時点での来月)には引っ越しが控えている。その準備が、本当に、心底大変である。いわゆる「大きな買い物」なので、当然ながらたくさんのお金が動き、人も動く。わたしは世の中に存在しているあらゆる手続きが嫌いで、自分の一番愚かな部分が浮き彫りになるので、憎んでいる(手続きのほうを)。本当にありがたいことに、配偶者が様々なことを力強く推進してくれているので、わたしは言われるがまま署名をしたり捺印をしたり入力をしたりしている。もし彼が詐欺師であったら、わたしは全財産を持っていかれることになると思う。

次にこの月記を書くときには、おそらく新しい家にいるのだろう。マジか。怖い。怖すぎる。なぜかというとまだ何も引っ越しの準備をしていないからだ。いや、何もは嘘。引っ越しの日取りは決まっているし、部屋に段ボールの空箱がたくさんある。粗大ゴミの収集日も決まっているし、引っ越し先のクリーニングの見積もりも取った(引っ越し先は中古物件である)。

でも何というか、心のほうがまだ何も整っていない。そういうものが徐々になんとかなっていってほしい。そんな9月。


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