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(59) 行き違う温度

ソウの恋の熱はその後もしばらく続き、

わたしの仕事場へなにかと理由をつけて顔を出してきたり、

次の約束をなんとか決めようとしたり、

これは少し距離を置いた方がいいな、という感じになってきた。

そんな中わたしは旅や出張が増え、

今は旅に出ていて会えないけれど、またそのうち、タイミングが合えば連絡するね

と伝えた。

ソウからは、

「かの子に合わせる。いつまでも待ってる!」

という熱い返事。


「かの子は今はどこにいるのかな?次はいつ会えるかな」

という連絡には、

具体的には返事をせず、ふんわりとやり過ごした。

たぶんソウは、そんなわたしの反応から、わたしの気持ちがもう彼にはないことに、充分に気付いただろうとおもう。


わたしは、今は須藤さんのことがとても好きで、

ソウは、その須藤さんの代わりになることはない。

夫からのレスに傷つき続けてはじまった須藤さんへの恋ではあるけれど、

そしてソウが、わたしと"したい"と言ってくれる、ちょうど良い登場人物だとも思うけれども、

でも、そういうことではないのだ。


須藤さんへの恋心はなかなか思うようには報われないし、

昔に恋い焦がれたソウからの気持ちは、もう期限切れで受け取れないし…


なかなかに、

こじらせているなあ

なんて、思う。


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