(1)かの子
わたしと夫は音楽家同士。
20代前半に友人の紹介で知り合い、
お互いすぐに恋に落ちて、
出会って1ヶ月くらいであっという間に一緒に暮らしはじめた。
最初からとても好きで、
25年以上経った今でも、好きな気持ちは変わらない。
ただ、
一緒に暮らす中、
少しずつ、夫から誘われることがなくなっていった。
もともと夫は毎晩お酒を飲むタイプで、酔うとあまりそちらがうまく機能しない、というところはあった。
そして彼はいつも自分の音楽に夢中で、
その音楽がうまくいかなくてピリピリしたりしていて、
だんだん、
イトナミの頻度が減っていき、
その頃はわたしもまだ若かったので、
1ヶ月も2ヶ月も放っておかれると、
なんで?どうして?わたしに魅力がないの?
と、彼に泣いて訴えたりして、
たぶん、どんどん彼を精神的に追い詰めてしまって、
余計にやっかいな感じにしてしまったのだと思う。
それでも、なんとか応えてくれる日もあったりしつつ、
でもこちらから誘わなければ永遠にないのではないか、という状態のまま、
とはいえ好きな気持ちは変わらなかったので、
20代半ばの頃に、
お互いの気持ちで、籍を入れた。
けれども、人にプレゼントしてもらった新婚旅行でも、"夫婦のイトナミ"は、なかった。
悲しかった。
そんな日々を重ねて、
わたしはどんどん自分に自信をなくしていき、
年に何度か気持ちが爆発して夫に泣いて、
断られて、
また今度、と言われて、
その約束もなかったように日々スルーされて、
さらに傷ついて...
その繰り返しだった。
それでもなんとか工夫したりして、
20代の終わりに、奇跡的に息子を授かった。
そして今、
夫とわたし、40代半ば。
息子、高校生。
相変わらずのセックスレス。
セックスレスということをのぞけば、夫婦仲は良いと思う。
二人でランチに行ったり、飲みに行ったりしてたくさんしゃべる。
そういう時間はお互いに楽しいと感じてる。
キスも、ハグも、する。
朝起きておはよう、と言い合うと、
ほんのりとうれしい気持ちになる。
なにより、わたしは、夫が好きだ。
でも、いつもどこか寂しさをぬぐえない。
そんな中、2017年に今の好きな人への恋がはじまってから、
いろんなことがすごく変わって、
その恋と、
その恋がきっかけで起こった(起こり続けている)いろんなことを、
このnoteで少しずつ綴って行きたいとおもいます。