知識ゼロのど素人が、自力で相続放棄申請をやってみた話
こんにちは、鹿の子です。
タイトルからしてちょっとドロドロしてそうですが、ドロドロ要素は極力割愛し、「相続放棄申請」を自力でやってみたので備忘録兼ねて投稿です。
ある日、「父が亡くなった」という話と同時に「土地・家屋の相続」「固定資産税」の話についての電話をもらいます。
表面上冷静を装っているがもうこの時点ですでに頭の中は
「は・・・?なにがどうなってるの?」と、パニック状態。
なお、父は私が小学校に上がる前に離婚してます。
さて。父が亡くなったことも大変残念ではありますが、
目下の問題は「土地・家屋の相続」「固定資産税」です。
普段仕事上では一人バックオフィスなので「法務」も担当しているとはいっても、あくまで企業法務。
民間の「相続」とかの話は全くもって無知状態です。
そこで、知り合いの司法書士に手続きの依頼相談をしました。
司法書士「鹿の子さんなら自分でできるでしょ。やってみたら?」
鹿の子 「ええええ・・・(やるけどさ)」
1. そもそも「相続」とは?
「相続」というと、よくドラマとかである・・・預貯金や不動産などの「財産を受け取れる」などの良いイメージが先行しがちですが、実は「借金」などの負債も相続対象なります。
一般的に相続対象になるものは以下の通りです。
「プラスの財産だけ受け取って、マイナスの部分は受け取りたくない」と思うのが人間の自然の摂理ですが、残念ながらそんな都合の良いことは出来ないので、「プラスもマイナスも全部」が相続対象になり、自動的に受け継がれてしまいます。
つまり、1か0かの二択しかないのです。
個人的見解ですが、明らかに「プラス」が多いと分かっている場合には相続するでもいいと思いますが、
今回の私のケースは、以下の理由で相続放棄を選択しました。
2 .「相続放棄」とは?
端的に言うと、被相続人(亡くなった人)の財産について相続の権利を放棄することです。これをすることで、プラスの財産相続も無くなりますが、借金などのマイナスの相続も無くなるので、借金を肩代わりするなどの損害を回避できます。
相続をしたくない場合には「相続放棄」の手続きを裁判所に提出します。
↓書式などはこちら。
https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_kazi/kazi_06_13/index.html
また、亡くなったことを知ってから3カ月以内に行わないといけない、というルールも存在するので、「ついつい忙しくて後回し〜♪」とかしてると、時すでに遅しのゲームオーバー・・・なんてこともあるので要注意です。
ただし、裁判所の回答だと、以下のような例外ケースも存在します。
https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_kazi/kazi_06_13/index.html
3 . 相続の対象人物は?
法定相続人になれるのは、配偶者と血族です。 同じ順位の人が複数いる場合は、全員が相続人となります。
(参照:http://www.souzoku-sp.jp/souzokunin/)
さて、今回の私の場合「私自身」と「別居する兄」の2名分の手続きを行いました。つまり、父から見たら「子」なので両名ともに「第1順位の相続人」になります。
母はというと、婚姻の状態にあれば配偶者なので、相続の対象になりますが、すでに離婚している(=配偶者ではない)ので相続の対象になりません。
4 . 必要な書類は?
先ほどの「2 .「相続放棄」とは?」で述べた通り、亡くなったことを知ってから3カ月以内に行わないといけない(3ヶ月ルール)だったり、必要書類が多いので、できれば弁護士や司法書士に依頼することを推奨します。
(私のようなケースはおそらく稀なんでしょうね・・・地味にめんどくさかったぞ・・・)
必要とされる書類一覧は以下の通りです。
https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_kazi/kazi_06_13/index.html
なお、(1)の「相続放棄の申述書」はここから取得可能です。https://www.courts.go.jp/saiban/syosiki/syosiki_kazisinpan/syosiki_01_13/index.html
・・・これだけ見ると、大変気の遠くなる一覧のようですが、
今回の私のケースの場合、以下の書類になります。
上記の書類を準備、記入し、収入印紙800円分と連絡用の切手とともに、「被相続人(亡くなった人)の最後の住所地を管轄する家庭裁判所」に提出になります。
提出は郵送でもOKですが、私は夏休み(?)も兼ねて、直接提出しに行きました・・・車で往復600キロ走って(距離ガバです。楽しいからいいんです)。
なお、私は提出時に以下を貼り忘れてたので、要注意です。
そして連絡用の切手の代わりにレターパックはNGです(怒られた)。
5 . 提出後の流れは?
提出で終わり!ではなく、提出後も以下の流れが続きます。
特に、3の「裁判所からの照会書に記入して返送する」を忘れないように注意しましょう。
相続放棄は、家庭裁判所内での審査がありますので、申述すれば100%受理されるとは限りません。
特に3ヶ月経過後の相続放棄の場合だと、家庭裁判所では照会書の内容や事情等を総合的に考慮したうえで決定されるため、申述の状況によっては不受理になることがあるとのことです。
相続放棄申述書の提出から、早くて3週間程、通常は1ヶ月程で受理されますが、長い場合でも2ヶ月程で受理されます。
相続放棄が受理されると「相続放棄申述受理通知書」が家庭裁判所から送られてきます。この通知書は1回しか発行されず、紛失しても再発行はできないので要注意です。
ただし、場合によっては複数の宛先に相続放棄した旨の書類提出が必要な場合があります(例えば、消費者金融とかへの提出)。 その場合には、「受理証明書」の発行依頼で対応可能です。なお、1通あたり150円の手数料がかかります。画像の通り、通知書と書いてあること自体はほぼ同じです。
ここまで終わったら、相続放棄については完了です。
6 .「固定資産税」は誰が払う?
さて、ここまでの「相続放棄」の手続きですでにお腹いっぱい状態ですが、実は私の場合、もう1つ手続きが残っています・・・。
それは「相続人代表者指定(変更)届」の処理・・・。
話を遡って、兄から父の訃報を聞いた際に、こんなことを言われました。
「父の居住してた市役所から「相続人代表者指定(変更)届」って書類が来てて・・・」
この書類は、裁判所での相続放棄の書類とは関係がなく、父が住んでた市の市役所からの書類です。
要約すると、「本来払うべき固定資産税について、払うべき人が亡くなったから代わりに誰か払ってよ」の書類です。
結論。離婚してるし縁を切ってるので、払いたくないというかお金の余裕が無いです(言い方)。
さて、これについては、「相続放棄申述受理通知書」のコピーを添付で市役所に提出でOKでした(各市区町村によって対応が異なる可能性がありますので、事前に確認しましょう)。
以上、連絡を受けてからここまでに要した時間は2ヶ月程度でしたが、なんとか全行程を終了させることができましたので、記事にしました。
少しでも、ご参考になれば幸いです😌