ある日突然、かかりつけ医が自己破産で閉鎖した、という話。
こんにちは、鹿の子です。
最近身の回りで色んなイベントが頻発しており、呪われてるんじゃないか疑惑を通り超えて、ちょっと楽しくなってきてます。
さて、今回もタイトルからして、にわかに信じがたい話ですが・・・マジです。笑
実際に起こったことの経緯と、行動・対策等を備忘録として残したいと思い、今回の記事を書きました。
国内でも数少ない手術に対応できる眼科医
私のかかりつけ医ではなく、同居する母親のかかりつけ医の話です。
母は私が小学5年生の時に急性緑内障発作により、左目を一晩で失明・右目も半分以上の視野を失いました。(急性緑内障発作についてはこちら)
それから約20年、さまざまな眼科を点々とし、埼玉県にある「はんがい眼科」に行きつきました。さて、今回の問題は「はんがい眼科」を起点に始まります・・・。
なお、ネット上では経営のことやらなんやら色々罵詈雑言などなど飛び交っていますが、これでも一応はいち企業のコーポレートを担っている立場なので、思うところが無いわけではないが、
あくまで推測の域を超えないのと、私も、いち、患者家族なのでこの件については差し控えます。
「この眼科の医療レベルが非常に高い」ということ、そして「この眼科に救われた」ということは確かです。
一方、弊社も「技術・スキル」を商材にする企業なので「技量の高さ=経営力の高さ」ではないのでこれは経営上の反面教師としたいと思っています。(すみません)
緑内障の種類と治療について
さてさて、緑内障について聞き慣れない人も多いと思うので、「母がどのようにして緑内障になったか」について触れますね。
緑内障とは「緑内障とは眼圧によって視神経が障害され、視野が狭くなったり、部分的に見えなくなったりする病気」です。
緑内障には大きく分けて以下の3つに分けられます。
ここからさらに細かく細分化されます。(今回は割愛します)
母の場合は、「原発緑内障」の「閉塞隅角緑内障」の「急性」に該当します(長いので、「急性緑内障」とします)。
この急性緑内障のメカニズムは現在もまだ解明されていないらしいですが、母の場合は育児や仕事の「過度なストレス」によるものと推察されています。
急性は、夜中から明け方にかけて急に眼圧が急上昇し突然眼の充血、痛み、かすみ、頭痛、吐き気、嘔吐などの症状が起こります。特に頭痛については、医師でも「くも膜下出血」と診察間違えることもあるくらい、金属バッドで殴られたような激しい痛みを伴います。このため、誤診により治療が遅れることも少なく無いようです。また、急性の場合72時間以内に治療開始しないと失明に至ることもあります。(母の場合は一晩以内の急激な失明だったらしいですが・・・)
緑内障の治療は「眼圧を下げる」ために大きく以下の3つが挙げられます。
ただし、これらの治療は「悪化させないため」のものであり、治療したからといって一度欠損した視力・視野は二度と元には戻りません。
実施した治療方法と、手術に至るまでの経緯
これまで約20年の間に実施した治療は以下の内容です。
【発症〜はんがい眼科にいくまでの20年くらい】
近所の眼科(1件目)で診断され、そこから救急車で総合病院(2件目)に搬送されましたが、そこの病院では緑内障の専門医がそもそも居ない、という状況だったので数年の間は、総合病院(2件目)での治療は以下のとおりです。
その後、総合病院での担当医が転職(?)で別の病院に行ってしまうため、3件目の眼科クリニックで以下の治療をしました(多分10年くらい通ってたと思う)。
その後、3件目の院長が高齢?(そこまで高齢でもないが)を理由に手術対応ができなくなったり、自身が引っ越ししたり、3件目の眼科の最寄駅が当時はバリアフリーではない(というか階段)ので、足も悪い母にとっては通院が苦痛だったり、という理由で、自宅から徒歩数秒の総合病院(4件目)に転院することに。なお、この病院では手術対応ができないのと、担当医が毎回変わるので、治療方針・見解・処方がバラバラ・・・。これにより、「点眼薬でもアレルギーを発症する」「同じような内容でもジェネリック(後発薬)と先発薬で差がでる」ということを知る。
これまで点眼薬等でなんとか抑え込んでいた眼圧が下がらず&白内障も出ているので、4件目の総合病院より「手術しましょう。でもうちではできないので提携の大学病院を紹介します」と宣言される。
5件目となる大学病院で、検査、検査、来る日も検査・・・会社の有給なんてとっくの昔に使い切ったのにこれ以上休めない・・・でも検査・・・(休日出勤やフレックス駆使して休日を作る)。
教授のスケジュールにより、平日に行かねばならん、そして対応もこれまでの病院に比べて柔軟性のかけらもない・・・でも行かねばならん、という日々。
ついに眼科部長の1分にも満たない診察の結果(待ち時間は3時間以上)、「右目手術の段取り組みましょう。術式は〜〜〜〜で、費用は〜〜〜〜で・・・」のフェーズになったが、「2週間程度の入院が必要です」とのこと。
コロナ禍で面会や介助NG、左目失明してるので右目手術したあとは両目とも見えない状態。じゃあトイレや食事、ちょっとした外出など看護師がサポートしてくれるか?というと、それは基本的に無いとのこと。ルール遵守したいのはわからないでもないが、ちょっと意味がわからない。臨機応変って言葉しってます????
「そもそも2週間の入院ってちょっと長くないか?日帰りとかないの?」と疑問に思い、「緑内障 手術 日帰り」でネット検索を始める。
ネット検索めっちゃでてくるやーーーーーーん!!!!!!
そして「Express®を使用した緑内障インプラント手術」なるものを知り、対応している眼科医を片っ端から調べて電話する。もうインサイドセールス時代のアタックリスト作る感覚と似てる・・・懐かしい。
立地条件、予約受け入れ状況、クチコミなどの評判、手術実績などなどを加味して6件目となる「はんがい眼科」への転院を決めたのである。
なお、「緑内障インプラント手術」自体が、2012年から保険適応なのでまだ取り扱っている眼科が少ないらしい。
5件目の大学病院から転院となると、大学病院側もプライドがあるのであろう。紹介状取得するにも、なかなか受け付けてもらえない。「はんがい眼科」の情報について根掘り葉掘り聞かれる。銀行ローンの審査か?ってくらいに厳しい上に、色々と注文をつけてくる。
苦労の末、やっと手にした秘伝の書、ならぬ「紹介状」を手に、いざ。
手術当日〜約1年の経過観察
「はんがい眼科」・・・噂に違わぬ、その辺のビジネスホテルよりも豪華な設備で、検査機材もどれも最新鋭。
特に驚いたのは、眼圧測定の機械。私も母も、眼圧を測る「風が出る機械」が大の苦手であるが、ハンディタイプのなんか一瞬で終わる機械とかある・・・え・・・いままでの眼圧測定ってなんだったの・・・?技術の進歩、すげえ・・・。
執刀医は理事長先生である。
手術前に術式の説明を受け、看護師と打ち合わせをし、手術自体の時間はおよそ30分程度の手術らしい。しかも日帰り。5件目の大学病院は一体・・・。
金額は保険適用だが、たしか30〜40万円くらいの手術だったと思う。仕事柄、人事でもあるのであらかじめ協会けんぽに連絡し、「高額療養費制度」を利用して「限度額適用認定証」を入手する。これにより、窓口負担は10万円程度に抑えられる。(詳細はこちら)
手術は日帰りだが、手術後から数日は目が見えない状態になるので、あらかじめ家の中の導線も整備し、必要な物資を揃え、いざ手術当日。
30分程度の手術とは聞いていたが、これまでの長年の点眼薬生活の影響か、出血量が想定以上に多く、2〜3時間くらいの手術だったと記憶している。手術自体は問題なく終わり、しばらく院内で安静にしたのち、そのまま帰宅。マジで日帰りできちゃったよオイ。
数日間は見えない状態と聞いていたものの、翌朝にはある程度見える状態にはなったので、あとは傷口に触れないように感染症対策を徹底。
術後、3日程度は毎日通院し、執刀医の理事長先生から人当たりのよさそうな別の先生に担当が変わり(母の推し)、術後の経過も問題ないので通院頻度を1週間、2週間、1ヶ月、2ヶ月・・・と開けて行った。
あとは、加齢による白内障によって見えづらい状況ではあったので、近々白内障の手術も検討しましょうね〜と担当医から言われ、2ヶ月後に予約をとった。ここまではいつも通りである。
このとき2週間後に、まさか病院が倒産するなんて夢にも思っていなかった。
かかりつけ医が倒産した・・・!?
病院から連絡もらったわけでもなく、たまたまネットで調べた時に発覚したのだ。
とある日曜の夜。
実は転居(マンション購入含む)を検討しており、その日は不動産会社から物件紹介されたあとだった。クッソ田舎だけど、なかなか周辺に郵便局やホームセンター、推しのスーパー(西友・ヨークベニマル・ヤオコーetc)だらけで生活の便がよさそうな土地・・・でも交通の便はあまり良くなさそう・・・悩む。
その転居先候補地の近くにも腕の良さそうな眼科があるので、このまま今の「はんがい眼科」に通い続けるか、それとも利便性を重視して眼科を変えるか・・・の比較検討をしていた。
じゃあ設備や手術実績の対比をしよう、と思いしばらくぶりに「はんがい眼科」をネットで検索する。
すると・・・
「営業終了」ではなく「閉業」・・・?
そしてwebサイトを開くと、突然の「高橋メソッド」とご対面・・・
なんだ?誰かのイタズラか?webサイトのサーバーでも落ちたか、契約更新し忘れて閉鎖されたか?(おい)
不吉な検索サジェストが並ぶ。まさか・・・?
まあなんということでしょう。
おかしいな。今日ってエイプリルフール?それとも最近の残業デスマーチでついに幻覚でも見たのか?
Twitterなどでも調べても、やはり倒産したらしい。もう建物に立ち入り禁止らしい。まじかー。ドラマだけの話だと思ってたー。まじかー。おかーーーさーーーーーん!!!!
紹介状請求するにも、自己破産なのでおそらくスタッフや担当医(母の推し)も解雇され、連絡取れないであろうと推察。さあどうする。手術も終わって、次は2ヶ月後の予約だったのが不幸中の幸い。どこに問い合わせたらいい?裁判所?弁護士?保健所?埼玉県庁?私はどうしたらいい???
答えは一択、「次の病院を探す」(ものすごく考えたがここまでおそらく5秒程度)。
就寝で布団に入った直後の母を申し訳ないが起こし、倒産した旨を説明。
母「あら、どうしましょう。次の病院探すしか無いわね。推しの先生は大丈夫かしら?」
これはすぐさま眼科を探さねばならん。
2ヶ月分の点眼薬はあるとはいえ、万が一発作が起きたり、悪化したりしたら受け入れ先がない。
そもそも1年くらい前にもめっちゃ苦労して探した眼科である。受け入れ先の眼科はあるのか・・・?
翌日は大事な会社の経営方針に関わる全社会議・・・年末調整・・・給与計算・・・請求書・・・採用戦略・・・契約書締結・・・
いや、仕事は1日くらい止めたってなんとかなるだろう・・・
ていうかこれくらいでもしクビになったりでもしたら、いい機会なので起業するなりフリーランスになるでもいいか。むしろ私1人で機能しないような業務設計をした覚えはない。仕事なんてもうどうにでもなれ。
そんなことより、気丈にしているが、かかりつけ医を突然失った母の内心はとてもとても不安であろう。ストレスで眼圧上がって悪化でもしたら取り返しがつかない。
とりあえず3時間くらい仮眠してから会社に連絡を入れる。
「社長すみませーん。母のかかりつけの眼科が自己破産で倒産したんで、大至急眼科探さねばならんので休ませてください。なお、会議資料は共有ください。」
「部下よ。議事録共有と、その他の業務はまかせた。具体的には***と***と****のタスクを・・・」
かくして再び、受け入れ先眼科のアタックリストを作成する。
手術終わってるとはいえ、「Express®を使用した緑内障インプラント手術」をしているので、術後経過観察なども対応できる眼科。
あと、追加条件として、クチコミ等の評判だけではなく、経営状況や地域に根付いてること。
もうインサイドセールス時代のスキルがここで生かされるとは当時の私も思っていなかったであろう。
そもそも関東近郊で対応できる眼科は30件程度(ざっくり短時間調査だったのでもっとあるかもしれないが)。
そのうち、通院立地・クチコミ・手術実績・開業からの年数等で絞り込むと・・・3件程度。なんと少ないことか。
あとはネットなどの情報では分からない部分である「受付の電話応対」「実際の立地(駐車場や、道中の交通の便など)」「混雑具合」などで判断。
結果、転居検討候補地の眼科が良さそうなので、そこで様子を見ようと思っている。
あとは実際にかかってみないと分からない部分があるので、転居も含めた今後については改めて考えることにする。
緑内障の予防も大事
ここまでドタバタの大騒動を繰り広げたが、できることなら緑内障を発症しないように心がけるということも大事である。
発症原因はまだ解明されていないことが多いが、ストレス・遺伝・飲酒・喫煙・睡眠不足・血行不良・肥満・高血圧などなど・・・様々な要因がある。
生活習慣病予防と近しい対策でも悪く無いかもしれない。
私自身も過去に3件目の眼科で「遺伝的に緑内障になりやすい」と言われているので、気をつけたいところではある。
さて、今後通うであろう7件目の眼科から8件目にならないことを祈りたい。