気持ち
彼女と離れなくてはならない状況になった。
金、親、未来。その全ての不安が混合物になり渦巻きを起こす。その渦の中でひたすらもがく日々が続く。
何をしているのか?という気持ちがずっと心の奥底に残っていた。
社会に出るということは何の印もない荒野に置かれ、ただ「進まなくては。」という言葉を頼りに進むことだと思った。自分の歩みがやがて道となるなんてきれいごとではない。むしろ逆でそれはあまりにも険しくて乱雑なことであろう。今もそうだ。何も分かっていないままずっと何かの答えを強いられている気持ちである。勉強しなかったテスト範囲の問題をずっと解くような感覚が体中から離れない。
金がなくなった。自分の無能さがお互いを締め付けるようになった。
親が病気になった。自分の業が形になった気持ちである。
未来が見えなくなった。足場はとっくに無くなり、ずっと見ていたはずの空も姿を隠した。
感情は一つになることなく各々がそれらのやり方で脳をかき混ぜる。鬱になり、酒を飲み、喧嘩をして彼女を殴る。薬を飲み、会社をサボって、首を吊った。
何をしても答えはわからない。いや、最初から答えなどないってことくらい知っている。そうにも関わらず、レールが敷かれた人生は最適解を欲望する。丸く収めたい、損したくない、卑しい卑しい。卑怯者である。
それで最愛の人を傷つけた。相手のことが今でもわからない。話してくれないと駄々をこねてみても閉ざされているのは自分の耳。心の耳である。
時間は待ってくれない。私の悲しみで雨が降ることもない。また朝日が昇れば物事はテキパキとその足を運び、私と彼女を不確かな未来へと連れて行く。
何も解決してはいないが解決した気になって、そうでないとお互いが崩れ落ちそうで怖い。彼女の笑顔を失いそうで臆病になった。
何をして何を求めるべきなのだろうか。人々は揃いも揃って後悔のない選択をしろと言うが、どの選択をしようが未練は残るのではないだろうか?
愛情、執着、私の愛の形が何であろうが心が痛むことには変わりがない。何も失いたくない。一時期離れることが全ての終わりではないことくらいは知っているが、不安が大きいのは確か。寂しさも確か。この寂しさの道はどこへたどり着こうとしているのか。
何であろうが進むのみ。私に許されたことと言えばそれしかない。愛する人を愛でる、愛でられる資格すらない私は、ただ頑なにその重い足を運ぶことしか許されていない。
進もう。きっとどうにかなる。信じよう。報われはしなくても何かが待ってるはず。生きよう。幸せを誓ったのであれば、その使命果たすのみ。守れなくても一緒に苦しむことくらいは出来るであろう。大好きだ。愛している。ごめんね。