400字で分かる落語:「油売り」
70:油売り(あぶらうり)
【粗筋】「おい、なにやってる。油を売っているんじゃないぞ」
「でも、ここはガソリンスタンドですよ」
【成立】 まあ20世紀にはよく聞いた小噺。
江戸時代の油屋は灯油などの店と、髪油の店とに大きく二分される。
「油を売る」というのは、油を容器に移す時に中々切れないので「長引く」ということから。また、そうして売っている間に、油屋が世間話などしている様子が、商売をしながらもサボっているように見えたところから出た言葉という。
【蘊蓄】 戦国の斎藤道三、坊主から油売りとなり、そこから身を起こして一国一城の主となるが、穴あき銭を口に置いて油を注ぎ、銭にちょっとでも脂が付いたらお代はいらないという売り方をしていたという。