400字で分かる落語「浮かれ小僧」
「う」の9:浮かれ小僧(うかれこぞう)
【粗筋】 若旦那の作次郎が、もう七日も家に帰らない。心配した大旦那が、いつも若旦那の供をする小僧の定吉に問いただすが、定吉はいちいち理屈っぽい説明をしたうえで、「存じません」と答える。そこで、「実は作次郎から、七日も家を空けるのには訳がある。それは定吉が知っているから、一円やって聞いて下さいと言っておったぞ」と言うと、元来おしゃべりの定吉、「そもそもことの発端は……」と、芸者との出会いから、そこ芸者を書こうことになる経緯まで、全てをしゃべってしまう。聞き終えた旦那がすぐに迎えを出そうと言うのはともかく、約束の1円をしまったので、不平を言う。
「これはお前をしゃべらすためのおとりじゃ」
「そうだろうと思って、口から出まかせ、嘘をしゃべったんです」
「あっ、こいつめ、なぜ本当のことを言わない」
「一円下さるなら本当のことを申し上げます」
「ほれ、一円じゃ。本当のことを言え」
「へへへ。確かに頂戴します。さっき言ったのが、みんな本当でございます」
【成立】 お馴染みのキャスティング、設定で、「花見小僧」など同じような噺もあり、演じられない。三遊亭円生(6)が、自分も聞いたことが無いと言いながら説明した内容。